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[経過措置]施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、旧法が適用される(附則21条1項)。
民法に定められた、保証人保護のための、保証人に対する情報提供義務(465条の10、458条の2、458条の3)を表の形で整理しました。下記をクリックしてご覧下さい。
〇 民法458条の2(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)(平成30年改正により新設)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証した場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
1 主債務者が履行遅滞に陥ったが債権者が長期間これを放置し保証人も知らないと、負債額がどんどん膨れあがる。このような事態を招かないよう、債権者に対し、主債務者の委託を受けて保証人となった者に対する情報提供義務を規定し、その限度で主債務者に対する守秘義務を解除した。
2 情報提供義務違反の効果は規定されていない。損害賠償請求(※)や保証契約の解除が想定されている(潮見)。
※ 保証人は債権者に対し、生じた損害の賠償を請求できる(新415条)。(筒井=松村132頁)
3 保証人の請求がある場合で、① 対象となる保証契約は全ての保証契約(法人が保証人である場合にも適用される。)、② 義務者は債権者 ③ 義務の相手方は委託を受けた保証人であり、これには法人を含む。委託を受けた保証人に限定されるのは、主債務者の経済的信用に関する情報であるから、主債務者の委託を受けていない保証人にまで情報開示することは適当ではないと考えられたためである。
4 本条及び458条の3の位置づけ
保証人の負担を重くしないようにする債権者の協力・配慮義務を具体化したものであり、債権者の保証人に対する付随的義務である(齊藤由起「保証人に対する情報提供義務」法学教室478号23頁~)。
(筒井=松村Q70)
〇 民法458条の3(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)(平成30年改正により新設)
1項 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
2項 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することがではない。
3項 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。
1 趣旨
458条の2と同じである。
主債務者が期限の利益を喪失したことを保証人が知ることができれば、保証人は早期に支払をすることで、多額の遅延損害金の発生を防ぐことが可能である(筒井=松村133頁)。
2 要件
【1】主債務者側の要件
主債務者が期限の利益を喪失した場合
【2】対象保証契約・保証人の要件
① 全ての保証契約
② 保証人が個人(個人保証)である場合のみであり、保証人が法人である場合(法人保証)※は除く。
個人保証であれば、主債務者の委託を受けないで保証契約をした者も含まれる。
※ 法人保証を除外した事情(筒井=松村134頁)
保証人が法人である場合、保証債務の負担の増大により生活の破綻といった極めて深刻な事態が直ちに発生しないこと。
真に必要な場合に限り、債権者に義務を課す。
保証人が法人である場合、保証債務の負担の増大により生活の破綻といった極めて深刻な事態が直ちに発生しないこと。
【3】債権者側の要件
① 主債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2か月以内に、その旨を通知すること
② 2か月以内に通知が保証人に到達することが必要である(筒井=松村133頁)。
3 効果
(1)通知をしなかった場合、債権者は、保証人に対し、期限の利益喪失時から通知を現にするまでに生じた遅延損害金を請求できない。
債権者が法定の通知を怠った場合でも、保証人に対し期限の利益の喪失は主張できる。
(筒井=松村Q71)
【参考・参照文献】
このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。
□ 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)127頁
□ 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)214頁
□ 筒井健夫・村松秀樹 一問一答 民法(債権関係)改正(2018年、商事法務)