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債権法改正、保証債務(その3) のページ
<保証人の求償権>

民法 第3編 債権
第1章 総則
第3節 多数当事者の債権及び債務
第5款 保証債務

             第1目 総則

[経過措置]施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、旧法が適用される(附則21条1項)。

〇 民法459条(委託を受けた保証人の求償権)(平成229年改正)

1項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。

2項 第442条第2項(連帯債務者間の求償権)の規定は、前項の場合について準用する。

旧459条(委託を受けた保証人の求償権)

1項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し求償権を有する。

2項 新459条2項と同じ。

 

1 改正法は、改正前の法の内容を実質的に維持している。

2 保証人の支出した財産の額<又は=主債務の免責額

  保証人の支出した財産の額の求償権を有する。

3保証人の支出した財産の額>主債務の免責額(例:代物弁済)

  主たる債務の免責額

  改正前の一般的な考え方を( )において明記した。

4 改正前の法459条1項「過失なく債権者に弁済すべき旨の裁判の言渡しを受けた」場合

 → 改正法460条3号 

〇 民法459条の2(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)(平成30年改正により新設)

1項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。

 この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2項 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

3項 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

1 改正前の法は、主債務者から委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等した場合の取扱いが明確でなかった。

 改正法は、この場合、委託を受けた保証人は主債務者の期限の利益を害することができないことを考慮して規定を整備した。

2 求償権の範囲(1項)

① 主債務が消滅当時、主債務者が利益を受けた限度

② 主債務者が債務の消滅行為日以前に相殺原因を有していた場合、主債務者は保証人に対抗でき、保証人は債権者に請求できる。

3 求償権の範囲(2項)

① 1項前段の金額

② 主債務の弁済期(弁済日ではない)以後の法定利息

③ 主債務の弁済期以後に履行したとしても避けることができなかった費用

④ その他の賠償

4 求償権の行使時期(3項)

  主債務について弁済期が到来した以後

〇 民法460条(委託を受けた保証人の事前の求償権)(平成29年改正)

1項 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき

二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。

三 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。

旧460条

本文並びに1号及び2号は、改正法と同じ。

3号 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後10年を経過したとき。

1 旧460条3号は、事前求償に馴染まないので、削除された。

2 旧459条は事前求償権を定めたもの故、新460条3号に移動された。

旧461条(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)

1項 前二条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。

2項

〇 民法462条(委託を受けない保証人の求償権)(平成29年改正)

1項 第459条の2(※)第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。

2項 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。

 この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

3項 第459条の2(※)第3項の規定は、前2項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。

※ 第459条の2:委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権

〇 民法462条(委託を受けない保証人の求償権)

1項 第459条の2(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。

2項 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。

 この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

3項 第459条の2(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)第3項の規定は、前二項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。

旧462条(委託を受けない保証人の求償権)

1項 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない。

2 新462条2項と同じ。

 

1 改正法は、改正前の法から実質的に変更はない。

2 改正法462条1項

  改正法459条の2第1項を準用 →

① 「その当時」=「債務の消滅行為をした当時

② 主債務者の保証人に対する相殺の対抗

  「債務の消滅行為の日以前に」相殺の原因

3 改正法462条2項

  「現に」=「求償請求がなされた当時」 

  主債務者の保証人に対する相殺の対抗

  「求償の日以前に」相殺の原因

4 改正法462条3項

  期限前弁済における求償権の行使:主債務者の弁済期後

 

〇 民法第463条(通知を怠った保証人の求償の制限等)

1項 【保証人の事前通知】

 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。

 この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2項 【主債務者の事後通知】

 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証した場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、

その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。

3項 【保証人の事後通知】 

 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、

保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、

保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、

主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。

旧463条

第1項 第443条(※)の規定は、保証人について準用する。

第2項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、善意で弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、第443条の規定は、主たる債務者についても準用する。

※ 連帯債務者の他の連帯債務者に対する求償の要件等

 

1 旧463条1項は、保証人の主債務者に対する求償の場面について、連帯債務の他の連帯債務者に対する求償の要件を定めた旧443条1項を準用していた。

 新463条1項は、必要性から、主債務者の委託を受けた保証人が求償する場面に限定した(※)。また、通知の対象を「債権者が履行の請求を受けたこと」ではなく「債務の消滅行為をすること」に改めることにより、事前通知の趣旨を徹底した。

※ 委託を受けない保証人は、そもそも、求償権の範囲が

① 主債務者の意思に反しない場合

  免責行為当時、主債務者が利益を受けた限度

② 主債務者の意思に反する場合

  求償当時、主債務者が利益を受けた限度

に、それぞれ制限されている。

→ 新463条1項の規制対象から除外した。

 

2 主債務者の主債務者から委託を受けた保証人に対する事後通知

 新463条2項は、旧463条2項の内容と実質的に変わりない。

① 主債務者→保証人 保証委託

② 主債務者→保証人 債務消滅行為の通知義務

③ 主債務者が②の通知を怠る。+ 保証人が善意で債務消滅行為 → 保証人の債務消滅行為が有効

 

3 保証人の主債務者に対する事後通知

 旧463条1項は、保証人の主債務者に対する求償の場面について、443条2項を準用し、保証人が債務消滅行為をした場合における主債務者に対する事後通知義務を定めていた。

 新463条3項は、旧463条1項(旧443条2項準用)の内容と実質的に同じである。

① 保証人(主債務者の意思に反する保証を除く)が債務消滅行為

② 保証人→主債務者 債務消滅行為の通知義務

③ 保証人が②の通知を怠る。+ 主債務者が善意で債務消滅行為 → 主債務者の債務消滅行為が有効

 

 また、主債務者の意思に反する保証では、保証人が債務消滅行為をした後、主債務者が債務消滅行為をした場合、保証人は主債務者に求償できない(前記)ので、その旨明らかにした。

〇 民法464条(連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権)

 連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。

〇 民法465条(共同保証人間の求償権) 
1項 第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2項 第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)頁

② 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)218頁

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