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第一審の裁判手続も終盤となると、当事者本人及び証人の尋問手続が行われるのが通常と思います。
当事者による証拠申出(尋問の申請) → 裁判所の採否 → 尋問の実施(宣誓→実施)
民事訴訟法(202条、207条)及び民事訴訟規則(106条~128条)並びに実務の運用は、次のとおりです。
【1】当事者による証拠申出
① 当事者本人の尋問は「当事者尋問」といい、第三者の尋問は「証人尋問」といいます。
② 尋問は当事者の申請によるため、当事者本人の尋問が常に行われるわけではありません。例えば、追突の交通事故の裁判で被害者に過失がない事案で被害者の損害のみが争点である場合、通常、被告(加害者)は、自身の尋問を申請せず、また、原告(被害者)も、加害者の尋問を申請しません。よって、被告(加害者)の尋問は実施されません。
【2】裁判所の採否
① 当事者尋問の申請があれば、その必要性がない例外的な場合を除き、裁判所は採用します。
② 証人尋問の申請があれば、裁判の争点となっている事実について、当事者が経験していないが、第三者が経験しているような場合等第三者を証人として調べる必要性があれば、裁判所は、第三者を証人として採用し、尋問を実施します。これに対し、第三者が経験している事実が当事者の経験している事実と重複している場合は、当事者尋問を実施すれば事実の解明ができますので、当事者が第三者の証人として申請しても、裁判所は当該第三者を証人として採用する可能性は低いです。
【尋問の実施】
① 「当事者尋問 → 証人尋問」の順で実施されますが、「証人尋問 → 当事者尋問」の順で実施されることもあります。事案によっては、その順の方が分かりやすいためです。
② 当事者1人、証人1人毎に尋問が実施されますが、その中では次の順番で実施されます。
尋問を申出をした当事者による質問・回答(「主尋問」といいます。)→他の当事者による質問・回答(「反対尋問」とといいます。)→裁判官の質問・回答(「補充尋問」といいます。) ※ なお、裁判官が常に最後に質問するのではなく、必要があれば、当事者による質問・回答に介入して質問します(介入尋問:民事訴訟規則113条3項)。
【例】
原告が原告本人尋問を申請し、被告が被告本人尋問を申請し、裁判所は両当事者の尋問を決定した。当事者双方に弁護士が選任されている場合
原告及び被告の宣誓
→ 原告本人の尋問
原告側弁護士の質問 原告本人の回答(主尋問) ※1
被告側弁護士の質問 原告本人の回答(反対尋問) ※2
原告側弁護士の質問 原告本人の回答(再主尋問) ※3
被告側弁護士の質問 原告本人の回答(再反対尋問)※4
裁判官の質問 原告本人の回答(補充尋問)
→ 被告本人の尋問
被告側弁護士の質問 被告本人の回答(主尋問)
原告側弁護士の質問 被告本人の回答(反対尋問)
被告側弁護士の質問 被告本人の回答(再主尋問)
原告側弁護士の質問 被告本人の回答(再反対尋問)※4
裁判官の質問 被告本人の回答(補充尋問)
※1 主尋問の範囲
※2 反対尋問の範囲
※3 再主尋問の範囲
※4 再反対尋問以後は、裁判所の許可を要する(民事訴訟規則113条3項)