T O P I C S

　交通事故の被害者Ａさんは交通事故に遭われ、仙腸関節捻挫を負い、杖で短い距離をゆっくりと歩行するのがやっとの状態となりました。

　仙腸関節とは、仙骨と腸骨との間の関節で、この関節に微細なズレが生じると、仙腸関節部及び下肢に疼痛が発生します。

　この病態は、村上栄一医師の「診断のつかない腰痛　仙腸関節の痛み」（南江堂、２０１２年）に詳しく解説されています。

　交通事故の裁判例で仙腸関節捻挫又は仙腸関節機能障害が取り上げられることは珍しいですが、Ａさんに見られるとおり、交通事故によっても、仙腸関節捻挫又は仙腸関節機能障害となることはあります。

　Ａさんは自賠責保険に対し、後遺障害の認定申請（事前認定）をしましたが、自賠責保険は、Ａさんについて、後遺障害を認めませんでした（自賠責非該当）。

　私がＡさんの訴訟代理人として大阪地方裁判所に訴え提起した結果、先日、後遺障害等級１２級１３号（局部に頑固な症状を残すもの）を前提とする金額での訴訟上の和解が成立しました。担当裁判官曰く、仙腸関節捻挫又は仙腸関節機能障害が主要争点となったのは、裁判官ご自身初めてであるとのでした。

　交通専門部のある大阪地裁でも、このような状況ですので、交通事故により仙腸関節捻挫又は仙腸関節機能障害が認められた例は極めて珍しいといえます。