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債権執行

民事執行法

第二章 強制執行 

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第一目 債権執行等

○ 民事執行法143条(債権執行の開始) 
 金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。

○ 民事執行法144条(執行裁判所) 

1項 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

2項 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。

3項 差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。

 

4項 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

○ 民事執行法145条(差押命令) 
1項 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2項 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
3項 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
4項 裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、債務者に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、第百五十三条第一項又は第二項の規定による当該差押命令の取消しの申立てをすることができる旨その他最高裁判所規則で定める事項を教示しなければならない。
5項 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
6項 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
7項 執行裁判所は、債務者に対する差押命令の送達をすることができない場合には、差押債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に債務者の住所、居所その他差押命令の送達をすべき場所の申出(第二十条において準用する民事訴訟法第百十条第一項各号に掲げる場合にあつては、公示送達の申立て。次項において同じ。)をすべきことを命ずることができる。
8項 執行裁判所は、前項の申出を命じた場合において、差押債権者が同項の申出をしないときは、差押命令を取り消すことができる。

(登場人物等)

 執行裁判所 

 

 甲(差押債権者)→請求債権→乙(債務者)

               ↓

               被差押債権

               ↓

               丙(第三債務者)

 

1 預貯金債権を被差押債権とする場合おける特定(民事執行規則133条2項)の問題

 特定の程度の問題は、差押債権者の利益と第三債務者の負担の調整の問題である(文献②152頁)。

① 店舗割付方式(原則)

 取扱支店を特定した上で、預金の種類等により順位付けをして特定する。  

② 全店一括順位付け方式

 全店舗を対象とした上で、預金の種類等により順位付けをして特定する。

 最高裁判所平成23年9月20日決定

 否定

(理由)

差押えの効力が差押命令送達時点で生じることにそぐわない事態にならない程度に、第三債務者が、速やかに、かつ、確実に、被差押債権を識別できる必要がある。

 この方式では、それができないため。 

 

 この方式が最高裁判所により否定された後、預金額最大店舗方式(支店を特定しないで、最大額の預金がある店舗の預金を被差押債権とする。)の可否が争点となったが、最高裁判所は、これも否定した(平成25年1月17日決定)。

2 1項関係

  差押命令の内容

① 対 債務者

  取立てその他の処分の禁止

② 対 第三債務者

  債務者への弁済禁止

3 2項関係

 債務者・第三債務者の審尋は行われず、書面審理のみ。

 裁判所は、被差押債権の存否を考慮しないで、差押命令を発令する。

4 5項関係

 差押命令の効力発生時期=差押命令が第三債務者に送達された時  

5 6項関係

① 申立て却下決定に対し、債権者

  発令決定に対し、債務者又は第三債務者

② 請求債権の不存在及び消滅等実体権の存否に関する主張

  請求異議訴訟(民執法35条)

③ 第三債務者が被差押債権の不存在の主張

  ×執行抗告 〇取立訴訟において抗弁として主張

6 4項関係

  令和元年改正 文献②189頁

7 7項8項関係

  令和元年改正

 差押命令が債務者に送達されないが、第三債務者の陳述により被差押債権額が僅少の場合、差押裁判所が送達場所の調査をしないで放置する例が見受けられ、手続上問題であったため、本条項のとおり改正された。文献②183頁

○ 民事執行法146条(差押えの範囲) 
1項 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2項 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。

2 超過差押えの禁止(本条2項)

(例)

  請求債権&執行費用 100万円

〇 被差押債権α 110万円

× 被差押債権β  60万円

 

 超過差押えは、債務者の財産処分権に対する、不必要かつ過度な制限となるため、許されない。

○ 民事執行法147条(第三債務者の陳述の催告) 
1項 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2項 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
 
※ 民執規135条

1  差押債権者は、差押え前、被差押債権についての詳細な情報を取得することが難しいため、第三債務者の陳述により詳細な情報を得ることになる。

○ 民事執行法148条(債権証書の引渡し) 
1項 差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
2項 差押債権者は、差押命令に基づいて、第百六十九条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。

○ 民事執行法149条(差押えが一部競合した場合の効力) 
 債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。

1 差押債権者間の公平(←債権者平等)を図るため、二重差押えの場合、差押えの効力を全部に及ぼす。

2 例

  被差押債権:預金48万円

  差押債権者Aの請求債権:40万円

  差押債権者Bの請求債権:20万円

 

  A:48万円×40万円/(40万円+20万円)

    = 32万円

  B:48万円×20万円/(40万円+20万円)

    = 16万円

   

○ 民事執行法150条(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
 登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。

○ 民事執行法151条(継続的給付の差押え) 

  給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。

○ 民事執行法151条の2(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例) 
 1項 債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項(※)の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
一 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
2項 前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
 
※ 民執法30条1項 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。

1 扶養義務等に係る定期金債権

 これら債権は月々少額で発生する債権であるが、毎回、差押えを要するとするのは大変である。

→ 弁済期未到来の請求債権による差押え(予備差押え)を、

給料その他の継続的給付に係る債権を被差押債権とする差押えを許容した。

○ 民事執行法152条(差押禁止債権) 
1項  次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2項 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3項 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

1 給料・退職金等債務者が生計を維持するために必要な債権

 (本条1項2項)

① 3/4=差押禁止

② 3/4が1か月33万円(民事執行法施行令2条1項1号)を超える場合(退職金除く)

  33万円超の部分は、差押え可

2 請求債権=扶養義務等に係る定期金債権(民執法151条の2第1項各号)(本条2項

 差押え禁止の範囲

 「3/4」(原則)→<縮小>→「1/2」

 債務者の生活保護のため。

○ 民事執行法153条(差押禁止債権の範囲の変更) 

 1項 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。

2項 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。

3項 前二項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。

4項 第一項又は第二項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

5項 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

○ 民事執行法154条(配当要求) 
 1項 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2項 前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
3項 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
 ○ 民事執行法155条(差押債権者の金銭債権の取立て) 
1項 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2項 差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「一週間」とあるのは、「四週間」とする。
3項 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
4項 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
5項 差押債権者は、第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日(前項又はこの項の規定による届出をした場合にあつては、最後に当該届出をした日。次項において同じ。)から第三項の支払を受けることなく二年を経過したときは、同項の支払を受けていない旨を執行裁判所に届け出なければならない。
6項 第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日から二年を経過した後四週間以内に差押債権者が前二項の規定による届出をしないときは、執行裁判所は、差押命令を取り消すことができる。
7項 差押債権者が前項の規定により差押命令を取り消す旨の決定の告知を受けてから一週間の不変期間内に第四項の規定による届出(差し押さえられた金銭債権の全部の支払を受けた旨の届出を除く。)又は第五項の規定による届出をしたときは、当該決定は、その効力を失う。
8項 差押債権者が第五項に規定する期間を経過する前に執行裁判所に第三項の支払を受けていない旨の届出をしたときは、第五項及び第六項の規定の適用については、第五項の規定による届出があつたものとみなす。

1 差押債権者の第三債務者に対する取立権を規定したものである。

2 取立権の発生

(1)原則(本条1項)

 差押命令送達日より1週間の経過が要件

← 差押命令に対する抗告期間(民事執行法145条6項)の満了を考慮した。

(2)被差押債権が給与・退職金等(民執法152条1項・2項)の場合(本条2項)

① 差押命令送達日より4週間の経過が要件 ※1

② ①にかかわらず、請求債権が扶養義務等に係る定期債権の場合、(1)と同じく、1週間の経過 ※2

 

※1 本条2項 

  令和元年改正

  債務者の生活に与える影響大

→ 取立権が行使される前に、差押禁止範囲の拡張を求める申立て(民執法153条)の機会を保障

 

※2 本条2項( )書 

  令和元年改正

  この場合は、債権者の生活維持の利益>債務者の利益

  → (1)の原則どおり。

3 取立権行使により回収した場合

① 債務者が債権者に対し弁済したとみなされる。(本条3項)

② 債権者→裁判所 取立届の提出(本条4項)

 

[文献]①270頁、 ②187頁

 

○ 民事執行法156条(第三債務者の供託) 
1項 第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2項 第三債務者は、次条第一項に規定する訴え(取立訴訟)の訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3項 第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

1 権利供託(本条1項)

 これにより、第三債務者は、差押債権者・債務者間の紛争から解放される。

2 義務供託(本条2項)

  取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに

① 差押えの競合が発生した場合

  被差押債権の全額

② 配当要求があった旨の文書の送達を受けた場合

  差し押さえられた部分に相当する金員

を供託する義務を負う。

 

 

 

2 義務供託(本条2項)

○ 民事執行法157条(取立訴訟) 
1項 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
2項 前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3項 取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
4項 前条第二項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
5項 強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
○ 民事執行法158条(債権者の損害賠償) 
 差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
○ 民事執行法159条(転付命令) 
1項 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2項 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3項 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4項 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5項 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6項 差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
7項 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
○ 民事執行法160条(転付命令の効力)
 転付命令が効力を生じた場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
○ 民事執行法161条(譲渡命令等) 
1項 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
2項 執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3項 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4項 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5項 差し押さえられた債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
6項 執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
7項 第百五十九条第二項及び第三項並びに前条の規定は譲渡命令について、第百五十九条第七項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第六十五条及び第六十八条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第百五十九条第二項の規定は管理命令について、第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十四条第二項、第九十五条第一項、第三項及び第四項、第九十八条から第百四条まで並びに第百六条から第百十条までの規定は管理命令に基づく管理について、それぞれ準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百六十一条第七項において準用する第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
〇 民事執行法162条(船舶の引渡請求権の差押命令の執行) 
1項 船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
2項 前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
3項 第一項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第百十六条第一項の規定により選任された保管人とみなす。
〇 民事執行法163条(動産の引渡請求権の差押命令の執行) 
1項 動産の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができる。
2項 執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならない。
〇 民事執行法164条(移転登記等の嘱託) 
1項 第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の抹消を嘱託しなければならない。
2項 前項の規定による嘱託をする場合(次項に規定する場合を除く。)においては、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
3項 第一項の規定による嘱託をする場合において、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十六条第二項(他の法令において準用する場合を含む。)において準用する同法第十八条の規定による嘱託をするときは、その嘱託情報と併せて転付命令若しくは譲渡命令があつたことを証する情報又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の内容を証する情報を提供しなければならない。
4項 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
5項 第百五十条の規定により登記等がされた場合において、差し押さえられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹まつ 消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
6項 前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。
〇 民事執行法165条(配当等を受けるべき債権者の範囲) 
 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。
一 第三債務者が第百五十六条第一項又は第二項の規定による供託をした時
二 取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
三 売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
四 動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時

〇 民事執行法166条(配当等の実施) 

1項 執行裁判所は、第百六十一条第七項において準用する第百九条に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、配当等を実施しなければならない。

一 第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定による供託がされた場合

二 売却命令による売却がされた場合

三 第百六十三条第二項の規定により売得金が提出された場合

2項 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。

 

3項 差し押さえられた債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者(数人あるときは、そのうち少なくとも一人以上)の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)には、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、配当等を実施してはならない。

〇 民事執行法167条(その他の財産権に対する強制執行) 
1項 不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。
2項 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。
3項 その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
4項 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。
5項 第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は、権利の移転について登記等を要するその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。

民事執行法

第二章 強制執行 

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第二目 少額訴訟債権執行

1 少額訴訟債権執行の意義

少額訴訟(民訴法368条~)にあわせて、簡易な執行手続とするため、平成16年(2004年)の法改正で新設された。

2 特徴

① 執行文は不要(民執法25条ただし書)

② 裁判所書記官が執行する。

 → 差押処分

〇 民事執行法167条の2(少額訴訟債権執行の開始等) 
1項 次に掲げる少額訴訟に係る債務名義による金銭債権に対する強制執行は、前目の定めるところにより裁判所が行うほか、第二条の規定にかかわらず、申立てにより、この目の定めるところにより裁判所書記官が行う。
一 少額訴訟における確定判決
二 仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決
三 少額訴訟における訴訟費用又は和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分
四 少額訴訟における和解又は認諾の調書
五 少額訴訟における民事訴訟法第二百七十五条の二第一項の規定による和解に代わる決定
2項 前項の規定により裁判所書記官が行う同項の強制執行(以下この目において「少額訴訟債権執行」という。)は、裁判所書記官の差押処分により開始する。
3項 少額訴訟債権執行の申立ては、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
一 第一項第一号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
二 第一項第二号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
三 第一項第三号に掲げる債務名義 同号の処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所
四 第一項第四号に掲げる債務名義 同号の和解が成立し、又は同号の認諾がされた簡易裁判所
五 第一項第五号に掲げる債務名義 同号の和解に代わる決定をした簡易裁判所
4項 第百四十四条第三項及び第四項の規定は、差押えに係る金銭債権(差押処分により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押処分がされた場合について準用する。この場合において、同条第三項中「差押命令を発した執行裁判所」とあるのは「差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所」と、「執行裁判所は」とあるのは「裁判所書記官は」と、「他の執行裁判所」とあるのは「他の簡易裁判所の裁判所書記官」と、同条第四項中「決定」とあるのは「裁判所書記官の処分」と読み替えるものとする。

〇 民事執行法167条の3(執行裁判所) 

 少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分に関しては、その裁判所書記官の所属する簡易裁判所をもつて執行裁判所とする。

〇 民事執行法167条の4(裁判所書記官の執行処分の効力等) 
1項 少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分は、特別の定めがある場合を除き、相当と認める方法で告知することによつて、その効力を生ずる。
2項 前項に規定する裁判所書記官が行う執行処分に対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。
3項 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による執行異議の申立てがあつた場合について準用する。
〇 民事執行法167条の5(差押処分) 
1項 裁判所書記官は、差押処分において、債務者に対し金銭債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2項 第百四十五条第二項、第三項、第五項、第七項及び第八項の規定は差押処分について、同条第四項の規定は差押処分を送達する場合について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「第百五十三条第一項又は第二項」とあるのは「第百六十七条の八第一項又は第二項」と、同条第七項及び第八項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と読み替えるものとする。
3項 差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4項 前項の執行異議の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5項 民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、前二項及び同条第三項の規定を準用する。
6項 第二項において読み替えて準用する第百四十五条第八項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
7項 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
8項 第二項において読み替えて準用する第百四十五条第八項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
〇 民事執行法167条の6(費用の予納等) 
1項 少額訴訟債権執行についての第十四条第一項及び第四項の規定の適用については、これらの規定中「執行裁判所」とあるのは、「裁判所書記官」とする。
2項 第十四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定による裁判所書記官の処分については、適用しない。
3項 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4項 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5項 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定により少額訴訟債権執行の手続を取り消す旨の裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
〇 民事執行法167条の7(第三者異議の訴えの管轄裁判所) 
 少額訴訟債権執行の不許を求める第三者異議の訴えは、第三十八条第三項の規定にかかわらず、執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
〇 民事執行法167条の8(差押禁止債権の範囲の変更) 
1項 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押処分の全部若しくは一部を取り消し、又は第百六十七条の十四第一項において準用する第百五十二条の規定により差し押さえてはならない金銭債権の部分について差押処分をすべき旨を命ずることができる。
2項 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押処分が取り消された金銭債権について差押処分をすべき旨を命じ、又は同項の規定によりされた差押処分の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3項 第百五十三条第三項から第五項までの規定は、前二項の申立てがあつた場合について準用する。この場合において、同条第四項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。
〇 民事執行法167条の9(配当要求) 
1項 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、裁判所書記官に対し、配当要求をすることができる。
2項 第百五十四条第二項の規定は、前項の配当要求があつた場合について準用する。
3項 第一項の配当要求を却下する旨の裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
〇 民事執行法167条の10(転付命令等のための移行) 
1項 差押えに係る金銭債権について転付命令又は譲渡命令、売却命令、管理命令その他相当な方法による換価を命ずる命令(以下この条において「転付命令等」という。)のいずれかの命令を求めようとするときは、差押債権者は、執行裁判所に対し、転付命令等のうちいずれの命令を求めるかを明らかにして、債権執行の手続に事件を移行させることを求める旨の申立てをしなければならない。
2項 前項に規定する命令の種別を明らかにしてされた同項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
3項 前項の規定による決定が効力を生ずる前に、既にされた執行処分について執行異議の申立て又は執行抗告があつたときは、当該決定は、当該執行異議の申立て又は執行抗告についての裁判が確定するまでは、その効力を生じない。
4項 第二項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5項 第一項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
6項 第二項の規定による決定が効力を生じたときは、差押処分の申立て又は第一項の申立てがあつた時に第二項に規定する地方裁判所にそれぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立てがあつたものとみなし、既にされた執行処分その他の行為は債権執行の手続においてされた執行処分その他の行為とみなす。
〇 民事執行法167条の11(配当等のための移行等) 
1項 第百六十七条の十四第一項において準用する第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定により供託がされた場合において、債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができないため配当を実施すべきときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
2項 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令又は差押処分が発せられたときは、執行裁判所は、同項に規定する地方裁判所における債権執行の手続のほか、当該差押命令を発した執行裁判所又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続にも事件を移行させることができる。
3項 第一項に規定する供託がされた場合において、債権者が一人であるとき、又は債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、裁判所書記官は、供託金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
4項 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられたときは、執行裁判所は、同項の規定にかかわらず、その所在地を管轄する地方裁判所又は当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
5項 差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられた場合において、当該差押命令を発した執行裁判所が第百六十一条第七項において準用する第百九条の規定又は第百六十六条第一項第二号の規定により配当等を実施するときは、執行裁判所は、当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
6項 第一項、第二項、第四項又は前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
7 第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十一条(第一項第六号及び第七号を除く。)、第九十二条第一項並びに第百六十六条第三項の規定は第三項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続について、前条第三項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定が効力を生じた場合について、それぞれ準用する。この場合において、第百六十六条第三項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。
〇 民事執行法167条の12(裁量移行) 
1項 執行裁判所は、差し押さえるべき金銭債権の内容その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
2項 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
3項 第百六十七条の十第三項の規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。この場合において、同条第六項中「差押処分の申立て又は第一項の申立て」とあるのは「差押処分の申立て」と、「それぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立て」とあるのは「差押命令の申立て」と読み替えるものとする。
〇 民事執行法167条の13(総則規定の適用関係) 
 少額訴訟債権執行についての第一章及び第二章第一節の規定の適用については、第十三条第一項中「執行裁判所でする手続」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行の手続」と、第十六条第一項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第十七条中「執行裁判所の行う民事執行」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行」と、第四十条第一項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「裁判所書記官」と、第四十二条第四項中「執行裁判所の裁判所書記官」とあるのは「裁判所書記官」とする。
〇 民事執行法167条の14(債権執行の規定の準用) 
1項 第百四十六条から第百五十二条まで、第百五十五条から第百五十八条まで、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十五条(第三号及び第四号を除く。)の規定は、少額訴訟債権執行について準用する。この場合において、第百四十六条、第百五十五条第四項から第六項まで及び第八項並びに第百五十六条第三項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第百四十六条第一項中「差押命令を発する」とあるのは「差押処分をする」と、第百四十七条第一項、第百四十八条第二項、第百五十条、第百五十五条第一項、第六項及び第七項並びに第百五十六条第一項中「差押命令」とあるのは「差押処分」と、第百四十七条第一項及び第百四十八条第一項中「差押えに係る債権」とあるのは「差押えに係る金銭債権」と、第百四十九条中「差押命令が発せられたとき」とあるのは「差押処分がされたとき」と、第百五十五条第七項中「決定」とあるのは「裁判所書記官の処分」と、第百六十四条第五項中「差押命令の取消決定」とあるのは「差押処分の取消決定若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、第百六十五条(見出しを含む。)中「配当等」とあるのは「弁済金の交付」と読み替えるものとする。
2項 第百六十七条の五第六項から第八項までの規定は、前項において読み替えて準用する第百五十五条第六項の規定による裁判所書記官の処分がされた場合について準用する。

民事執行法

第二章 強制執行 

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例

〇 民事執行法167条の15(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制) 
1項 第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項に規定する方法により行う。ただし、債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、この限りでない。
2項 前項の規定により同項に規定する金銭債権について第百七十二条第一項に規定する方法により強制執行を行う場合において、債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たつては、執行裁判所は、債務不履行により債権者が受けるべき不利益並びに債務者の資力及び従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならない。
3項 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、債務者の申立てにより、その申立てがあつた時(その申立てがあつた後に事情の変更があつたときは、その事情の変更があつた時)までさかのぼつて、第一項の規定による決定を取り消すことができる。
4項 前項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第一項の規定による決定の執行の停止を命ずることができる。
5項 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
6項 第百七十二条第二項から第五項までの規定は第一項の場合について、同条第三項及び第五項の規定は第三項の場合について、第百七十三条第二項の規定は第一項の執行裁判所について準用する。
〇 民事執行法167条の16(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例) 
 債権者が第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち六月以内に確定期限が到来するものについても、前条第一項に規定する方法による強制執行を開始することができる。

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 平野哲郎 実践民事執行法・民事保全法(第3版)(令和2年、日本評論社)239頁~

② 東京弁護士会法友会編 Q&A 改正民事執行法の実務(令和2年、ぎょうせい)

③ 藤田広美 民事執行・保全(2010年、羽鳥書店) 

④ 浦野雄幸編 基本法コンメンタール民事執行法(第6版)(2009年、日本評論社)

⑤ 近藤崇晴・大橋寛明・上田正俊編 民事執行の基礎と

応用(補訂増補版)(平成12年、青林書院)

 

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