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解雇(1)

<労働契約の終了>

1 労働契約の期間満了によるもの

2 期間の定めのない契約における定年制

3 当事者の一方的意思表示による解約

(1)当事者=使用者

   解雇

(2)当事者=労働者

   辞職

4 当事者の合意による解約

  合意解約

 

<解雇>

第1 解雇の制限の歴史

  解雇は、使用者にる労働契約の解約である。

 民法の定めによると、労働契約に期間の定めがない場合(無期労働契約)、当事者双方はいずれも、解約の申込みをすることができ、この場合、2週間が経過すれば、契約は終了する(民法627条1項)。

 これは、使用者からすると、解雇の自由を規定したものといえる。

 しかし、使用者による解雇の自由を貫くと、日々労働に従事することより生活の糧である賃金を受領することにより生計を立てる労働者の生活・生存を脅かすことは明らかである。

 労働基準法は、使用者による解雇の自由を前提としながら、産前産後・業務災害の場合の解雇の制限(労基法19条)及び解雇予告義務(労基法20条)等を定めているが、それだけでは不十分であった。

 そこで、判例により、使用者の解雇の自由そのものを制限する解雇権濫用法理が形成され、それが、法制化(平成15年労基法、平成19年労働契約法)された。

 

第2 判例による解雇権濫用法理の形成

1 日本食塩製造事件

 最高裁第二小法廷昭和50年4月25日判決

 使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き 社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる。

2 高知放送事件

 最高裁第二小法廷昭和52年1月31日判決

 普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情の事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になる。

3 解雇には正当事由が必要であるとする考え方もあったが、使用者の解雇の自由と正面から抵触することもあり普及しなかった。解雇権濫用法理は、使用者の解雇権を前提としながらも、権利濫用法理により制約を課するもので、司法による法創造としても理論的に無理がなく、フレクシブルな基準であるため具体的事案において結論の妥当性を確保できる利点があったため、普及したものと思われる。 

○ 労働契約法16条(解雇)

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

【参考・参照文献】

 下記文献を参考・参照して作成しました。

菅野和夫・労働法第11版補正版737頁

水町勇一郎・詳解労働法(第2版)(2021年、東京大学出版会)950頁 

③土田道夫 労働法概説(第4版)(2019年、弘文堂)259頁

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