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43条 ~ 44条
1 強制競売:不動産の交換価値を現実化(金銭化)
2 強制管理:不動産の使用価値を現実化(金銭化)
3 民事執行法の建前
不動産:一般的に価値が高い・隠匿が困難→責任財産の中核的位置
不動産執行について詳細に規定した上、これを、他の強制執行や担保執行手続に準用している。LQ134頁
45条 ~ 92条
1 手続の流れ
申立て→審理→手続開始決定・差押え→差押え登記
2 審理の方式と対象
(1)方式
決定方式(法4条)、書面審理が主、審尋(法5条)
(2)対象
強制執行開始の要件
(3)裁判
債務者が対象不動産を処分するおそれ
→ 差押えによる処分制限効が生ずるまて債務者に知らせないで、手続を進める(密行性)。
→ 裁判所は、債務者を審尋しないで審理を行う。
(青木)
① 要件充足
ⅰ 強制競売開始決定 法45条1項
ⅱ 不服申立て 執行異議 法11条1項
ⅲ 開始決定 債務者に送達 法45条2項
債権者に告知 規則2条2項
ⅳ 裁判所書記官による付随処分
a 差押登記の嘱託 法48条
b 配当要求の終期の決定 法49条1項
c 開始決定・配当要求の終期の公告 法49条2項
② 要件充足せず
ⅰ 申立て却下
ⅱ 不服申立て 執行抗告 法45条3項
開始決定の附随処分の一つ。(青木)
○ 民事執行法54条(差押えの登記の抹まつ消の嘱託)
1項 強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その開始決定に係る差押えの登記の抹まつ消を嘱託しなければならない。
2項 前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、その取下げ又は取消決定に係る差押債権者の負担とする。
○ 民事執行法55条の2(相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等)
1項 前条第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずる決定については、当該決定の執行前に相手方を特定することを困難とする特別の事情があるときは、執行裁判所は、相手方を特定しないで、これを発することができる。
2項 前項の規定による決定の執行は、不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができない場合は、することができない。
3項 第一項の規定による決定の執行がされたときは、当該執行によつて不動産の占有を解かれた者が、当該決定の相手方となる。
4項 第一項の規定による決定は、前条第八項の期間内にその執行がされなかつたときは、相手方に対して送達することを要しない。この場合において、第十五条第二項において準用する民事訴訟法第七十九条第一項の規定による担保の取消しの決定で前条第四項の規定により立てさせた担保に係るものは、執行裁判所が相当と認める方法で申立人に告知することによつて、その効力を生ずる。
1 地代等代払許可制度の趣旨
① 借地上の建物が差押え
② 借地契約の借地人(債務者)が借賃を支払わない場合
→ これを放置すると、借地契約の賃貸人(地主)が借地契約を解除する。買受人が借地権付き建物を取得することができなくなる。
→ 差押債権者が執行裁判所の許可を得て、債務者に代わって 借賃を支払う。
2 差押債権による第三者弁済との違い
(1)第三者弁済(民法474条)
共益費用の一般先取特権(民法307条)
+ 配当要求(民執法51条1項)
→ 優先弁済(民執法85条2項)
(2)地代等代払許可制度
配当要求をしなくても、共益費用として優先弁済を受けることができる(民執法56条2項、55条10項、42条2項)。
(青木②)
1 手続
執行官 現況調査 → 現況調査報告書を執行裁判所に提出
2 目的
① 執行裁判所に売却条件の確定や物件明細書の作成等のための判断資料を提供する。
② 不動産の買受希望者に買受けのための判断資料を提供する。
3 執行官の権限
① 本条2項 本条不動産への立入り、質問、文書提示要求
② 本条3項 強制立入・強制開扉権
③ 本条4項
④ 本条5項 ライフライン調査
1 評価人による評価
(1)評価人
通常は不動産鑑定士
(2)評価人は、評価書を作成し、評価の結果を執行裁判所に報告する。民執規30条
2 本条2項前段
3 本条2項後段:競売減価
通常は売主の協力が得られないことから、市場価格よりも低く評価される。
① 執行裁判所に売却条件の確定や物件明細書の作成等のための判断資料を提供する。
② 不動産の買受希望者に買受けのための判断資料を提供する。
3 評価人の権限等
(1)執行官の権限に関する規定を準用 本条4項
① 前条2項 本条不動産への立入り、質問、文書提示要求
② 前条4項
③ 前条5項 ライフライン調査
(2)執行官との関係
① 評価人→執行官 援助要請 本条3項、民執法6条2項
② 執行官・評価人 相互協力 民執規30条の2
(青木②)
<売却基準価格、買受可能価格>
1 売却基準価格制度
平成16年民執法改正
最低売却価格制度 → 売却基準価格制度
最低売却価格制度の趣旨・機能
① 不動産が不相当に低額で売却されることを防止(債務者[所有者]の利益)
② 十分な債権回収を図る(債権者の利益)
③ 買受けの申出をしようとする者に対し、適切な指針を提供する。
不動産の価格は、その性質上、一定の幅を持つことから、競売手続の円滑化を促進する観点から、改正。
① 最低売却価格 → 売却基準価格 民執法60条1項
② 買受けの申出 ≧ 買受可能価格 民執法60条3項
2 売却基準価格
不動産の強制競売・担保不動産競売の手続において、目的不動産の売却の額の基準となるべき価格
3 買受可能価格
売却基準価格-同価格×2/10
競売という公開市場において買受けの申出をする際の価格競争の出発点となるもの。競売市場における競争による合理的な価格形成を予定した最低の価格
(例解173頁)
○ 民事執行法条
【参照・参考文献】
下記文献を参照・参考して、作成しました。
□ 平野哲郎 実践民事執行法民事保全法(第3版)(2020、日本評論社)(平野)
□ 中西正・中島弘雅・八田卓也・青木哲 リーガル・クエスト民事執行・民事保全法(2021年、有斐閣)(LQ)
□ 例題解説不動産競売の実務(全訂新版)(平成24年、法曹会)(例解)
□ 青木哲「講座 民事執行・保全法の考え方 第6回 不動産競売の開始、差押え・仮差押え、売却条件」法学教室536号69頁(青木①)
□ 青木哲「講座 民事執行・保全法の考え方 第7回 不動産競売による売却の手続 」法学教室537号98頁(青木②)