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21条 ~ 42条
1 債務名義の意義
債務名義とは、私法上の請求権の存在及び範囲を表示した公的文書であり、法律により執行力が認められたものである(文献①48頁)。
簡易迅速に、債権者の権利実現を図る。
→ 執行手続を判決手続から分離
→ 執行機関は、債務名義の表示のみに基づいて執行手続を開始するか否か判断する。
2 債務名義の種類(主なもの)
(1)裁判所が関与して作成されるもの
① 確定判決(本条1号)
給付判決に限られる。
② 仮執行宣言付判決(本条2号)
民訴法259条、仮払金返還:民訴法260条2項
③ 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(本条3号)
[例]不動産引渡命令(民執法83条1項)、家事審判(家事事件手続法75条)
④ 仮執行宣言付損害賠償命令(本条3号の2)
犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律33条2項
適法な異議が出ない場合、確定判決と同一の効力 同法34条5項 → この場合は、7号の債務名義
⑤ 仮執行宣言付届出債権支払命令(本条3号の3)
⑥ 和解調書・調停調書等の確定判決と同一の効力を有するもの(本条7号)
(2)裁判所書記官が作成するもの
① 仮執行宣言付支払督促(本条4号)
② 訴訟費用・執行費用等に関する裁判所書記官の処分(本条4号の2)
③ 確定した支払督促(本条7号)
(3)公証人が作成するもの
執行証書(5号)
[要件]
・ 公証人が権限内において正規の方式により作成したこと
・ 金銭の一定の額の支払等を目的とする請求に関するもの
・ 執行受諾文言
1 執行文の意義(平野70頁)
債務名義の執行力の現存を公的に証明する文書。
債務名義が有効であるか、債務名義に付されていた条件が成就したか、債務名義に表示された者以外の者のために執行できるか、等実体的な判断が必要である。その判断を執行機関に委ねると、簡易迅速に執行が行えない。
→ 執行機関以外の、裁判所書記官や公証人に審査させることにした。
執行文が付記された債務名義を「執行正本」という。
2 執行文が不要な場合
簡易迅速な執行を認める必要性が特に高い債務名義については、執行文は不要とされている。
[例]
・ 少額訴訟の確定判決・仮執行宣言付判決(民訴374条、376条、民執法25条ただし書)
・ 仮執行宣言付支払督促(民訴391条、民執法25条ただし書)
4 執行文付与機関
① 執行証書 原本を保存する公証人
② ①以外 事件の記録の存在する裁判所の裁判所書記官
5 執行文付与の手続
(1)申立て
書面 民執規16条1項
確定証明書が必要である場合 民執規16条2項
(2)付与の方法
債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法 民執法26条2項
1 執行文の種類(平野71頁)
① 単純執行文
債務名義の内容について表示どおりの執行力を認める執行文
② 事実到来・条件成就執行文 民執法27条1項
債務名義に停止条件や不確定期限が付されている等、請求が債権者の証明すべき事実の到来にかかっている場合、執行文付与期間がその事実の到来を確認して作成する執行文
③ 承継執行文 民執法27条2項
債務名義に表示された請求権について権利・義務の承継があった場合、執行文付与期間が承継を確認して、債務名義に表示された債権者・債務者以外の者に執行力が及ぶことを認める執行文
④ 債務者不特定執行文 民執法27条3項
① 数通付与 民執法28条1項
債務者の複数財産に同時に強制執行する場合
② 再度付与 民執法28条2項
執行正本が滅失した場合
○ 民事執行法35条(請求異議の訴え)
1項 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2項 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
3項 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
○ 民事執行法37条(終局判決における執行停止の裁判等)
1項 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
2項 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
【参照・参考文献】
下記文献を参照・参考して、作成しました。
①平野哲郎 実践民事執行法民事保全法(第3版)(2020、日本評論社)略称「平野」
③ 東京弁護士会法友会編Q&A改正民事執行法の実務(令和2年、ぎょうせい)