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債務者の財産状況の調査

民事執行法
第4章 債務者の財産状況の調査
第1節 財産開示手続
(196条~203条)

1 財産開示手続

 一定の金銭債権を有する債権者が強制執行の準備として債務者の財産について調査する「財産開示手続」は、平成15年(2003年)の民事執行法改正により新設された。

 しかし、債務者が手続に応じなかった場合の制裁が30万円の過料であり手続の実効性を担保するのに十分とはいえないものであった。現実、申立て件数は年間1000件程度と少なく、また、債務者による財産の開示も不十分であった。

 令和元年(2019年)の民事執行法改正により、財産開示手続は、実効性をもたせるため強化され、また、新たに第三者に情報を開示させる制度を新設した。以下、同年改正前の法を「旧法」、同年改正後の法を「新法」という。

 同改正法の施行期日は、原則として、令和2年4月1日である。

○ 民事執行法196条(管轄) 
 この節の規定による債務者の財産の開示に関する手続(以下「財産開示手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

○ 民事執行法197条(実施決定)

1項 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。

 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。

二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

2項 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、当該債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。

一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該先取特権の被担保債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。

二 知れている財産に対する担保権の実行を実施しても、申立人が前号の被担保債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

3項 前二項の規定にかかわらず、債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者。第一号において同じ。)が前二項の申立ての日前三年以内に財産開示期日(財産を開示すべき期日をいう。以下同じ。)においてその財産について陳述をしたものであるときは、財産開示手続を実施する旨の決定をすることができない。 ただし、次の各号に掲げる事由のいずれかがある場合は、この限りでない。

一 債務者が当該財産開示期日において一部の財産を開示しなかつたとき。

二 債務者が当該財産開示期日の後に新たに財産を取得したとき。

三 当該財産開示期日の後に債務者と使用者との雇用関係が終了したとき。

4項 第一項又は第二項の決定がされたときは、当該決定(同項の決定にあつては、当該決定及び同項の文書の写し)を債務者に送達しなければならない。

5項 第一項又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6項 第一項又は第二項の決定は、確定しなければその効力を生じない。

1 財産開示手続の開始決定の要件

(1)執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者による申立て(本条1項)

旧法:一部の債務名義(仮執行宣言付判決、支払督促等)は除外

新法:金銭債権であれば、全種類の債務名義で可能

 本条2項は、債務者の財産について一般の先取特権を有する者にも申立て権を認める。

② 執行開始要件の具備

 債務名義の送達等。財産開示手続は強制執行の一つであるので、この要件が必要である。本条1項ただし書は、裏からこれを定める。

③ 強制執行の不奏功等

【一号】強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったとき。

 配当等の手続:配当又は弁済金の交付に限定され、執行不能や無剰余取消しは含まれない(東京地裁)。

【二号】知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

④ 「債務者が申立ての日前三年以内に財産開示期日においてその財産について陳述をしたもの」でないこと(本条3項)

例外:同項ただし書 

(2)債務者の財産について一般の先取特権を有する者による申立て(本条2項)

 被担保債権の履行期が到来していることが必要である。

① 一般の先取特権を有することを証する文書を提出すること

② 強制執行の不奏功等 本条2項1号2号

③ (1)④と同じ。本条3項

2 財産開示実施決定は、確定を要する(本条6項)。

○ 民事執行法198条(期日指定及び期日の呼出し)
1項 執行裁判所は、前条第一項又は第二項の決定が確定したときは、財産開示期日を指定しなければならない。
2項 財産開示期日には、次に掲げる者を呼び出さなければならない。
一 申立人
二 債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者)
○ 民事執行法199条(財産開示期日) 
1項 開示義務者(前条第二項第二号に掲げる者をいう。以下同じ。)は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産(第百三十一条第一号又は第二号に掲げる動産を除く。)について陳述しなければならない。
2項 前項の陳述においては、陳述の対象となる財産について、第二章第二節の規定による強制執行又は前章の規定による担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項その他申立人に開示する必要があるものとして最高裁判所規則で定める事項を明示しなければならない。
3項 執行裁判所は、財産開示期日において、開示義務者に対し質問を発することができる。
4項 申立人は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産の状況を明らかにするため、執行裁判所の許可を得て開示義務者に対し質問を発することができる。
5項 執行裁判所は、申立人が出頭しないときであつても、財産開示期日における手続を実施することができる。
6項 財産開示期日における手続は、公開しない。
7項 民事訴訟法第百九十五条及び第二百六条の規定は前各項の規定による手続について、同法第二百一条第一項及び第二項の規定は開示義務者について準用する。

1  執行裁判所

(1)期日前

① 財産開示期日の指定 民執法198条1項

② 財産目録提出期限の指定 民執規183条1項

③ 期日呼出(申立人、債務者) 民執法198条2項

(2)期日

 期日は非公開 民執法199条6項

① 開示義務者に対する発質問 民執法199条3項

2 開示義務者(債務者)

(1)期日前

① 財産目録の作成・提出 民執規183条2項3項

(2)期日

① 出頭義務 民執法199条1項

ⅰ 債務者本人 民執法198条2項2号

  代理人は不可

ⅱ 債務者に法定代理人がある場合 民執法198条2項2号

  法定代理人

ⅲ 債務者が法人である場合 民執法198条2項2号

  法人の代表者

② 債務者の財産について陳述義務 民執法199条1項2項

       「財産」は積極財産に限るのが原則である。

3 申立人

(1)期日

① 出頭義務はない。不出頭でも、執行裁判所は期日を実施できる。民執法199条5項

② 開示義務者に対する発質問(執行裁判所の許可)民執法199条4項

○ 民事執行法200条(陳述義務の一部の免除)
1項 財産開示期日において債務者の財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合又は当該開示によつて第百九十七条第一項の金銭債権若しくは同条第二項各号の被担保債権の完全な弁済に支障がなくなつたことが明らかである場合において、執行裁判所の許可を受けたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その余の財産について陳述することを要しない。
2項 前項の許可の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
○ 民事執行法201条(財産開示事件の記録の閲覧等の制限)
 財産開示事件の記録中財産開示期日に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。
一 申立人
二 債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者
三 債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
四 債務者又は開示義務者
○ 民事執行法202条(財産開示事件に関する情報の目的外利用の制限)
1項 申立人は、財産開示手続において得られた債務者の財産又は債務に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
2項 前条第二号又は第三号に掲げる者であつて、財産開示事件の記録中の財産開示期日に関する部分の情報を得たものは、当該情報を当該財産開示事件の債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

 

○ 民事執行法203条(強制執行及び担保権の実行の規定の準用)
 第三十九条及び第四十条の規定は執行力のある債務名義の正本に基づく財産開示手続について、第四十二条(第二項を除く。)の規定は財産開示手続について、第百八十二条及び第百八十三条の規定は一般の先取特権に基づく財産開示手続について準用する。

民事執行法
第4章 債務者の財産状況の調査
第2節 第三者からの情報取得手続
(204条~211条)

○ 民事執行法204条(管轄)

 この節の規定による債務者の財産に係る情報の取得に関する手続(以下「第三者からの情報取得手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときはこの節の規定により情報の提供を命じられるべき者の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

第三者に開示義務を課す「第三者からの情報取得手続」は、強制執行の実効性を高めるため、令和元年改正により新設されたものである。

① 不動産に関する情報    民執法205条 

② 給与債権に関する情報   民執法206条

③ 預貯金債権等に関する情報 民執法207条

財産開示手続と第三者からの情報取得手続の一覧は、下記をクリックして、ご覧下さい。

○ 民事執行法205条(債務者の不動産に係る情報の取得)
1項 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、それぞれ当該各号に定める者の申立てにより、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるものに対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるものについて情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、第一号に掲げる場合において、同号に規定する執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 第百九十七条第一項各号のいずれかに該当する場合
執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者
二 第百九十七条第二項各号のいずれかに該当する場合
債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
2項 前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第二百条第一項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から三年以内に限り、することができる。
3項 第一項の申立てを認容する決定がされたときは、当該決定(同項第二号に掲げる場合にあつては、当該決定及び同号に規定する文書の写し)を債務者に送達しなければならない。
4項 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5項 第一項の申立てを認容する決定は、確定しなければその効力を生じない。 

1 開示命令の要件

(1)+(2)

(1)財産開示と同様の要件 本条1項

(2)財産開示手続の前置 本条2項

2 開示の手続等

  本条3項~5項

○ 民事執行法206条(債務者の給与債権に係る情報の取得) 
1項 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。
 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 市町村(特別区を含む。以下この号において同じ。)
債務者が支払を受ける地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百十七条の二第一項ただし書に規定する給与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(当該市町村が債務者の市町村民税(特別区民税を含む。)に係る事務に関して知り得たものに限る。)
二 日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団
債務者(厚生年金保険の被保険者であるものに限る。以下この号において同じ。)が支払を受ける厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三条第一項第三号に規定する報酬又は同項第四号に規定する賞与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(情報の提供を命じられた者が債務者の厚生年金保険に係る事務に関して知り得たものに限る。)
2項 前条第二項から第五項までの規定は、前項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。

1 申立権者

 勤務先情報の秘匿性が高いことから、申し立てることができる債権者が他の情報取得手続と比べて制限されている。

① 民執法151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権

ⅰ 夫婦間の協力扶助の義務(民法752条)

ⅱ 婚姻費用分担義務(民法760条)

ⅲ 子の監護に関する義務(民法766条等)

ⅳ 扶養義務に係る請求権(民法887条~880条)

② 人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権

2 開示命令の要件

(1)+(2)

(1)財産開示と同様の要件 本条1項

(2)財産開示手続の前置 本条2項

3 開示者及び開示情報

① 本条1項1号・民執規190条1項

 給与の支払をする者の存否、(存の場合)その者の氏名・名称及び住所(国:債務者所属部局の名称・所在地)

② 本条1項2号・民執規190条2項

 報酬・賞与の支払をする者の存否、(存の場合)その者の氏名・名称及び住所(国:債務者所属部局の名称・所在地)

4 開示の手続等

  本条2項

○ 民事執行法207条(債務者の預貯金債権等に係る情報の取得) 

1項 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。

 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

一 銀行等(銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、信用協同組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫又は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構をいう。以下この号において同じ。)

債務者の当該銀行等に対する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。)に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの

二 振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律第二条第五項に規定する振替機関等をいう。以下この号において同じ。)

債務者の有する振替社債等(同法第二百七十九条に規定する振替社債等であつて、当該振替機関等の備える振替口座簿における債務者の口座に記載され、又は記録されたものに限る。)に関する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの

2項 執行裁判所は、第百九十七条第二項各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、前項各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。

3項 前二項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

1 財産開示手続の前置

 不要である。

 民執法205条2項が準用されている206条と異なり、207条では、205条2項が準用されていない。

 必要とすると財産の成立上隠匿等の危険性が高いことを考慮して、不要とされた。

2 開示者及び開示情報

① 本条1項1号・民執規191条1項

 預貯金債権の存否、(存の場合)取扱い店舗、種別・口座番号・額  

② 本条1項2号・民執規191条2項

 振替社債の存否、(存の場合)銘柄・額or数

3 不服申立て

  本条3項

  申立て却下決定 ← 申立人 執行抗告

 

 開示決定に対する債務者の執行抗告は、財産隠匿等の危険を考慮して、認められていない。

  

  

○ 民事執行法208条(情報の提供の方法等
1項 第二百五条第一項、第二百六条第一項又は前条第一項若しくは第二項の申立てを認容する決定により命じられた情報の提供は、執行裁判所に対し、書面でしなければならない。
2項 前項の情報の提供がされたときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、申立人に同項の書面の写しを送付し、かつ、債務者に対し、同項に規定する決定に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨を通知しなければならない。 
○ 民事執行法209条(第三者からの情報取得手続に係る事件の記録の閲覧等の制限)
1項 第二百五条又は第二百七条の規定による第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中前条第一項の情報の提供に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。
一 申立人
二 債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者
三 債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
四 債務者
五 当該情報の提供をした者
2項 第二百六条の規定による第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中前条第一項の情報の提供に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。
一 申立人
二 債務者に対する第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者
三 債務者
四 当該情報の提供をした者
○ 民事執行法210条(第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限
1項 申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
2項 前条第一項第二号若しくは第三号又は第二項第二号に掲げる者であつて、第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中の第二百八条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものは、当該情報を当該事件の債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
○ 民事執行法211条(強制執行及び担保権の実行の規定の準用)
 第三十九条及び第四十条の規定は執行力のある債務名義の正本に基づく第三者からの情報取得手続について、第四十二条(第二項を除く。)の規定は第三者からの情報取得手続について、第百八十二条及び第百八十三条の規定は一般の先取特権に基づく第三者からの情報取得手続について、それぞれ準用する。

民事執行法
第5章 罰則
(212条~215条)

○ 民事執行法212条(公示書等損壊罪) 

 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第五十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第六十八条の二第一項若しくは第七十七条第一項(第一号に係る部分に限る。)(これらの規定を第百二十一条(第百八十九条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第百八十七条第一項(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による命令に基づき執行官が公示するために施した公示書その他の標識(刑法第九十六条に規定する封印及び差押えの表示を除く。)を損壊した者

二 第百六十八条の二第三項又は第四項の規定により執行官が公示するために施した公示書その他の標識を損壊した者

〇 民事執行法213条(陳述等拒絶の罪)
 1項 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 売却基準価額の決定に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由なく、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をした者
二 第五十七条第二項(第百二十一条(第百八十九条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由なく、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示した者
三 第六十五条の二(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者
四 第百六十八条第二項の規定による執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由なく、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示した債務者又は同項に規定する不動産等を占有する第三者
五 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者
六 第百九十九条第七項において準用する民事訴訟法第二百一条第一項の規定により財産開示期日において宣誓した開示義務者であつて、正当な理由なく第百九十九条第一項から第四項までの規定により陳述すべき事項について陳述をせず、又は虚偽の陳述をしたもの
2項 不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この項において同じ。)の占有者であつて、その占有の権原を差押債権者、仮差押債権者又は第五十九条第一項(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、正当な理由なく、第六十四条の二第五項(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による不動産の立入りを拒み、又は妨げたときは、三十万円以下の罰金に処する。

1 旧法における制裁

① 財産開示期日不出頭 旧206条1項1号

② 宣誓拒否      旧206条1項1号

③ 陳述せず      旧206条1項2号

④ 虚偽陳述      旧206条1項2号

→ 30万円以下の過料

2 新法における制裁

① 財産開示期日不出頭 新213条5号

② 宣誓拒否      213条5

③ 陳述せず      213条6

④ 虚偽陳述      213条6

→ 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金   

 

〇 民事執行法214条(過料に処すべき場合)
1項 第二百二条の規定に違反して、同条の情報を同条に規定する目的以外の目的のために利用し、又は提供した者は、三十万円以下の過料に処する。
2項 第二百十条の規定に違反して、同条の情報を同条に規定する目的以外の目的のために利用し、又は提供した者も、前項と同様とする。
〇 民事執行法215条(管轄)
前条に規定する過料の事件は、執行裁判所の管轄とする。

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 平野哲郎 実践民事執行法・民事保全法(第3版)(令和2年、日本評論社)325頁~

② 東京弁護士会法友会編 Q&A 改正民事執行法の実務(令和2年、ぎょうせい)17頁~

③ 藤田広美 民事執行・保全(2010年、羽鳥書店)115頁 

④ 浦野雄幸編 基本法コンメンタール民事執行法(第6版)(2009年、日本評論社)557頁~

⑤ 日本弁護士連合会編自由と正義2019年12月号9頁~

⑥ 大阪弁護士協同組合編 大阪改正民執法等研究会著 改正民事執行法等(令和2年施行)の解説と書式(2021年、大阪弁護士協同組合)9頁~

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