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会社法 株式3 募集株式の発行等

第2編 株式会社

第2章 株式
第8節 募集株式の発行等(199条~213条の3)
第1款 募集事項の決定等(199条~202条)
〇 会社法199条1項(募集事項の決定) 
1項 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2項 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3項 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4項 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5項 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

〇 会社法200条(募集事項の決定の委任)

1項 前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めなければならない。

2項 前項の払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、同項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

3項 第一項の決議は、前条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の末日)が当該決議の日から一年以内の日である同項の募集についてのみその効力を有する。

4項 種類株式発行会社において、第一項の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定の委任は、当該種類の株式について前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

〇 会社法201条(公開会社における募集事項の決定の特則) 

1項 第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。

2項 前項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第一項第二号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。

3項 公開会社は、第一項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。

4項 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

5項 第三項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

 

1 募集事項の公示(本条3項4項)の意義

 募集事項の公示 → 差止請求(会社法210条)

 公示を欠く募集株式の発行等は無効事由となる(会社法828条2号3号)(最判平成9年1月28日)。

2 募集事項の公示が不要である場合

① 株主割当ての場合(会社法202条5項)

② 有利発行に当たり、株主総会特別決議によって募集事項を

  決定する場合

〇 会社法202条(株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合)
1項 株式会社は、第百九十九条第一項の募集において、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集株式(種類株式発行会社にあっては、当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
二 前号の募集株式の引受けの申込みの期日
2項 前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を有する。ただし、当該株主が割当てを受ける募集株式の数に一株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
3項 第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
一 当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。) 取締役の決定
二 当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会の決議
三 株式会社が公開会社である場合 取締役会の決議
四 前三号に掲げる場合以外の場合 株主総会の決議
4項 株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 募集事項
二 当該株主が割当てを受ける募集株式の数
三 第一項第二号の期日
5項 第百九十九条第二項から第四項まで及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。

〇 会社法202条の2(取締役の報酬等に係る募集事項の決定の特則)[令和元年改正により追加]

1項 金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社は、定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定めに従いその発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をするときは、第百九十九条第一項第二号及び第四号に掲げる事項を定めることを要しない。この場合において、当該株式会社は、募集株式について次に掲げる事項を定めなければならない。

一 取締役の報酬等(第三百六十一条第一項に規定する報酬等をいう。第二百三十六条第三項第一号において同じ。)として当該募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をするものであり、募集株式と引換えにする金銭の払込み又は第百九十九条第一項第三号の財産の給付を要しない旨

二 募集株式を割り当てる日(以下この節において「割当日」という。)

2項 前項各号に掲げる事項を定めた場合における第百九十九条第二項の規定の適用については、同項中「前項各号」とあるのは、「前項各号(第二号及び第四号を除く。)及び第二百二条の二第一項各号」とする。この場合においては、第二百条及び前条の規定は、適用しない。

3項 指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定め」とあるのは「報酬委員会による第四百九条第三項第三号に定める事項についての決定」と、「取締役」とあるのは「執行役又は取締役」とする。

第2款 募集株式の割当て(203条~206条の2)
〇 会社法203条(募集株式の申込み)
1項 株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 株式会社の商号
二 募集事項
三 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2項 第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
一 申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二 引き受けようとする募集株式の数
3項 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
4項 第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
5項 株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6項 株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7項 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
〇 会社法204条(募集株式の割当て) 
1項 株式会社は、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
2項 募集株式が譲渡制限株式である場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3項 株式会社は、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければならない。
4項 第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集株式の割当てを受ける権利を失う。
〇 会社法205条(募集株式の申込み及び割当てに関する特則)[令和元年改正により3・4・5項追加]
1項 前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
2項 前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3項 第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む。)以外の者は、第二百三条第二項の申込みをし、又は第一項の契約を締結することができない。
4項 前項に規定する場合における前条第三項並びに第二百六条の二第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、前条第三項及び第二百六条の二第一項中「第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)」とあり、同条第三項中「同項に規定する期日」とあり、並びに同条第四項中「第一項に規定する期日」とあるのは、「割当日」とする。
5項 指名委員会等設置会社における第三項の規定の適用については、同項中「定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定め」とあるのは「報酬委員会による第四百九条第三項第三号に定める事項についての決定」と、「取締役」とあるのは「執行役又は取締役」とする。
〇 会社法206条(募集株式の引受け)
 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集株式の数について募集株式の引受人となる。
一 申込者 株式会社の割り当てた募集株式の数
二 前条第一項の契約により募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集株式の数
〇 会社法206条の2(公開会社における募集株式の割当て等の特則) 
1項 公開会社は、募集株式の引受人について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下この項及び第四項において「特定引受人」という。)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合又は第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
一 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
二 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
2項 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
3項 第一項の規定にかかわらず、株式会社が同項の事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、第一項の規定による通知は、することを要しない。
4項 総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知又は第二項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下この項において同じ。)による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、第一項に規定する期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の第二百五条第一項の契約の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。
5項 第三百九条第一項の規定にかかわらず、前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
第3款 金銭以外の財産の出資(207条)

〇 会社法207条 

1項 株式会社は、第百九十九条第一項第三号に掲げる事項を定めたときは、募集事項の決定の後遅滞なく、同号の財産(以下この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。

2項 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。

3項 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。

4項 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。

5項 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。

6項 第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。

7項 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。

8項 募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。以下この条において同じ。)は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その募集株式の引受けの申込み又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。

9項 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。

一 募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合 当該募集株式の引受人が給付する現物出資財産の価額

二 現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合 当該現物出資財産の価額

三 現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての現物出資財産の価額

四 現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額

五 現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合 当該金銭債権についての現物出資財産の価額

10項 次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。

一 取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人

二 募集株式の引受人

三 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者

四 弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの

第4款 出資の履行等(208条・209条)
〇 会社法208条(出資の履行)
1項 募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。
2項 募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、それぞれの募集株式の払込金額の全額に相当する現物出資財産を給付しなければならない。
3項 募集株式の引受人は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付(以下この款において「出資の履行」という。)をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。
4項 出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は、株式会社に対抗することができない。
5項 募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を失う。

1 本条5項 

① 出資未履行の募集株式引受人の失権

② 出資の履行があった株式についてのみ募集株式発行の効力が生ずる「打切り発行」を認める意義

〇 会社法209条(株主となる時期等)[令和元年改正により4項追加] 
1項 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
一 第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
二 第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日
2項 募集株式の引受人は、第二百十三条の二第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二百十三条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した募集株式について、株主の権利を行使することができない。
3項 前項の募集株式を譲り受けた者は、当該募集株式についての株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
4項 第一項の規定にかかわらず、第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、募集株式の引受人は、割当日に、その引き受けた募集株式の株主となる。

1 募集株式の発行の効力

① 資本金の額の増加 会社法445条

② 発行済株式総数の増加

③ 変更登記

  会社法911条1項、3項5号9号、915条1項

 

第5款 募集株式の発行等をやめることの請求(210条)

○ 会社法210条 

 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。

一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合

二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合

1 要件

(1)+(2)

(1)募集株式の発行等が下記①又は②に当たること

① 法令又は定款に違反する場合

  法令:募集株式の発行等に当たり遵守すべき具体的な法令

② 著しく不公正な方法により行われる場合

(2)株主が不利益を受けるおそれがあること

   不利益:持株比率の低下、持株価値の低下

2 訴訟外でも権利行使が可能であるが、通常は、募集株式の

発行等の差止めの仮処分が申し立てられる。

 会社が、差止めの仮処分命令を無視して募集株式の発行等をした場合、無効原因が認められる(最判平成5年12月16日)。

3 有利発行

(1)手続

① 株主総会参考書類(会社法301条1項)に、募集事項(会社法199条1項)+有利発行の理由(議案[会社法施行規則73条1項1号]会社法施行規則73条1項1号、提案の理由会社法施行規則73条1項2号

② 株主総会の特別決議

  会社法199条2項、201条1項、202条5項、309条2項5号

(2)公正発行価格

 最判昭和50年4月8日

① 本来 発行価格=旧株の時価

② 新株を消化し、資金調達の目的を達成する必要性

 → 多少引き下げる必要

 旧株主の利益←<調和>→資金調達の目的を達成する必要性

 

上場会社の第三者割当て  日本証券業協会の自主ルール

 

(3)主要目的ルール

 

【参考・参照文献】

○ 伊藤靖史・法学教室484号85頁

第6款 募集に係る責任等(211条~213条の3)
○ 会社法211条(引受けの無効又は取消しの制限) 
1項 民法第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第二百五条第一項の契約に係る意思表示については、適用しない。
2控訴人 募集株式の引受人は、第二百九条第一項の規定により株主となった日から一年を経過した後又はその株式について権利を行使した後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として募集株式の引受けの取消しをすることができない。
○ 会社法212条(不公正な払込金額で株式を引き受けた者等の責任) 
1項 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
一 取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役)と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合 当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額
二 第二百九条第一項の規定により募集株式の株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額
2項 前項第二号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した募集株式の引受人が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、募集株式の引受けの申込み又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。

○ 会社法213条(出資された財産等の価額が不足する場合の取締役等の責任) 

 前条第一項第二号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。

一 当該募集株式の引受人の募集に関する職務を行った業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの

二 現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの

三 現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役)として法務省令で定めるもの

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。

一 現物出資財産の価額について第二百七条第二項の検査役の調査を経た場合

二 当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合

3 第一項に規定する場合には、第二百七条第九項第四号に規定する証明をした者(以下この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

4 募集株式の引受人がその給付した現物出資財産についての前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う場合において、次の各号に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

一 取締役等 第一項の義務

二 証明者 前項本文の義務

○ 会社法213条の2(出資の履行を仮装した募集株式の引受人の責任)
1項 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一 第二百八条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した払込金額の全額の支払
二 第二百八条第二項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した現物出資財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該現物出資財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
2項 前項の規定により募集株式の引受人の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

1 払込みの仮装の意義

判例(最判昭和38年12月6日、最決平成3年2月28日

 払込みの仮装(見せ金)とは、実質的には会社の資金とする意図がなく、単に払込みの外形を装ったにすぎないもの。

判断要素

① 会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短

② 借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無等

2 預合い

 払込みの仮装の一つとして、預合いがある。これは、発起人・取締役等が払込取扱機関(会社法208条1項)の役職員らと通謀して払込みを仮

装する行為であり、刑事罰の対象となる(会社法965条)。

3 引受人・取締役の責任

 払込みの仮装をした場合、引受人及び取締役の責任は次のとおりである。

(1)引受人

 会社に対し、払込みを仮装した払込金額の全額を支払う義務

 会社法213条の2第1項第1号(平成26年改正)

(2)関与取締役

① 引受人と同額(会社法213条の第1項第1号)を支払う義務 会社法213条の3第1項本文

② (1)の引受人の債務と連帯債務となる。

③ 責任追及等の訴えに含まれる。会社法847条1項3項

4 払込み仮装に係る株式

(1)引受人は、3の義務が履行された後でなければ、株主の権利を行使できない。会社法209条2項

 当該株式について、引受人は、失権する(会社法208条5項)のではなく上記義務履行後は、引受人は株主の権利を行使できる。

(2)当該株式を譲り受けた者は、悪意又は重過失がない限り、株主権を行使できる。会社法209条3項 

 

【参考・参照文献】

① 伊藤靖史 ケースで探索・会社法第19回資金調達:払込みの仮装 法学教室493号85頁

○ 会社法213条の3(出資の履行を仮装した場合の取締役等の責任)
1項 前条第一項各号に掲げる場合には、募集株式の引受人が出資の履行を仮装することに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。)として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
2項 募集株式の引受人が前条第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第9節 株券(214条~233条)
第1款 総則(214条~218条)
○ 会社法214条(株券を発行する旨の定款の定め) 
株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。

○ 会社法215条(株券の発行) 

1項 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。

2項 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。

3項 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。

4項 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。

○ 第二百十六条(株券の記載事項)
株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一 株券発行会社の商号
二 当該株券に係る株式の数
三 譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨
四 種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容

○ 会社法217条(株券不所持の申出)

1項 株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。

2項 前項の規定による申出は、その申出に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。この場合において、当該株式に係る株券が発行されているときは、当該株主は、当該株券を株券発行会社に提出しなければならない。

3項 第一項の規定による申出を受けた株券発行会社は、遅滞なく、前項前段の株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

4項 株券発行会社は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の株式に係る株券を発行することができない。

5項 第二項後段の規定により提出された株券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。

 

6項 第一項の規定による申出をした株主は、いつでも、株券発行会社に対し、第二項前段の株式に係る株券を発行することを請求することができる。この場合において、第二項後段の規定により提出された株券があるときは、株券の発行に要する費用は、当該株主の負担とする。

○ 会社法218条(株券を発行する旨の定款の定めの廃止) 
1項 株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
一 その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨
二 定款の変更がその効力を生ずる日
三 前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨
2項 株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。
3項 第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、同項第一号及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。
4項 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5項 第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる
第2款 株券の提出等(219条・220条)
○ 会社法219条(株券の提出に関する公告等)
1項 株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(第四号の二に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下この条において「株券提出日」という。)までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
一 第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)
二 株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)
三 第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式
四 取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式
四の二 第百七十九条の三第一項の承認 売渡株式
五 組織変更 全部の株式
六 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式
七 株式交換 全部の株式
八 株式移転 全部の株式
2項 株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、株券提出日までに当該株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該株券の提出があるまでの間、当該行為(第二号に掲げる行為をする場合にあっては、株式売渡請求に係る売渡株式の取得)によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
一 前項第一号から第四号までに掲げる行為 当該株券発行会社
二 第百七十九条の三第一項の承認 特別支配株主
三 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
五 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
六 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
3項 第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。
4項 第一項第四号の二の規定による公告及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。
○ 会社法220条(株券の提出をすることができない場合) 
1項 前条第一項各号に掲げる行為をした場合において、株券を提出することができない者があるときは、株券発行会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内にこれを述べることができる旨を公告することができる。ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
2項 株券発行会社が前項の規定による公告をした場合において、同項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、前条第二項各号に定める者は、前項の請求をした者に対し、同条第二項の金銭等を交付することができる。
3項 第一項の規定による公告の費用は、同項の請求をした者の負担とする。
第3款 株券喪失登録(221条~233条)
○ 会社法221条(株券喪失登録簿)
 株券発行会社(株式会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした日の翌日から起算して一年を経過していない場合における当該株式会社を含む。以下この款(第二百二十三条、第二百二十七条及び第二百二十八条第二項を除く。)において同じ。)は、株券喪失登録簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下この款において「株券喪失登録簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 第二百二十三条の規定による請求に係る株券(第二百十八条第二項又は第二百十九条第三項の規定により無効となった株券及び株式の発行又は自己株式の処分の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合における当該株式に係る株券を含む。以下この款(第二百二十八条を除く。)において同じ。)の番号
二 前号の株券を喪失した者の氏名又は名称及び住所
三 第一号の株券に係る株式の株主又は登録株式質権者として株主名簿に記載され、又は記録されている者(以下この款において「名義人」という。)の氏名又は名称及び住所
四 第一号の株券につき前三号に掲げる事項を記載し、又は記録した日(以下この款において「株券喪失登録日」という。)
○ 会社法222条(株券喪失登録簿に関する事務の委託)
 株券発行会社における第百二十三条の規定の適用については、同条中「株主名簿の」とあるのは「株主名簿及び株券喪失登録簿の」と、「株主名簿に」とあるのは「株主名簿及び株券喪失登録簿に」とする。

○ 会社法223(株券喪失登録の請求)

 株券を喪失した者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載し、又は記録すること(以下「株券喪失登録」という。)を請求することができる。

○ 会社法224(名義人等に対する通知)

1項 株券発行会社が前条の規定による請求に応じて株券喪失登録をした場合において、当該請求に係る株券を喪失した者として株券喪失登録簿に記載され、又は記録された者(以下この款において「株券喪失登録者」という。)が当該株券に係る株式の名義人でないときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該名義人に対し、当該株券について株券喪失登録をした旨並びに第二百二十一条第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を通知しなければならない。

2甲 株式についての権利を行使するために株券が株券発行会社に提出された場合において、当該株券について株券喪失登録がされているときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該株券を提出した者に対し、当該株券について株券喪失登録がされている旨を通知しなければならない。

○ 会社法225(株券を所持する者による抹消の申請) 

1項 株券喪失登録がされた株券を所持する者(その株券についての株券喪失登録者を除く。)は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券喪失登録の抹消を申請することができる。ただし、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過したときは、この限りでない。

2項 前項の規定による申請をしようとする者は、株券発行会社に対し、同項の株券を提出しなければならない。

3項 第一項の規定による申請を受けた株券発行会社は、遅滞なく、同項の株券喪失登録者に対し、同項の規定による申請をした者の氏名又は名称及び住所並びに同項の株券の番号を通知しなければならない。

4項 株券発行会社は、前項の規定による通知の日から二週間を経過した日に、第二項の規定により提出された株券に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。この場合においては、株券発行会社は、当該株券を第一項の規定による申請をした者に返還しなければならない。

○ 会社法226(株券喪失登録者による抹消の申請) 

1項 株券喪失登録者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、株券喪失登録(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合にあっては、前条第二項の規定により提出された株券についての株券喪失登録を除く。)の抹消を申請することができる。

2項 前項の規定による申請を受けた株券発行会社は、当該申請を受けた日に、当該申請に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。

○ 会社法227(株券を発行する旨の定款の定めを廃止した場合における株券喪失登録の抹消)

 その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をする場合には、株券発行会社は、当該定款の変更の効力が生ずる日に、株券喪失登録(当該株券喪失登録がされた株券に係る株式の名義人が株券喪失登録者であるものに限り、第二百二十五条第二項の規定により提出された株券についてのものを除く。)を抹消しなければならない。

○ 会社法228(株券の無効) 

1項 株券喪失登録(抹消されたものを除く。)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。

2項 前項の規定により株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない。

○ 会社法229条(異議催告手続との関係)

1項 株券喪失登録者が第二百二十条第一項の請求をした場合には、株券発行会社は、同項の期間の末日が株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過する日前に到来するときに限り、同項の規定による公告をすることができる。

2項 株券発行会社が第二百二十条第一項の規定による公告をするときは、当該株券発行会社は、当該公告をした日に、当該公告に係る株券についての株券喪失登録を抹消しなければならない。

○ 会社法230(株券喪失登録の効力)

1項 株券発行会社は、次に掲げる日のいずれか早い日(以下この条において「登録抹消日」という。)までの間は、株券喪失登録がされた株券に係る株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することができない。

一 当該株券喪失登録が抹消された日

二 株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日

2項 株券発行会社は、登録抹消日後でなければ、株券喪失登録がされた株券を再発行することができない。

3項 株券喪失登録者が株券喪失登録をした株券に係る株式の名義人でないときは、当該株式の株主は、登録抹消日までの間は、株主総会又は種類株主総会において議決権を行使することができない。

4項 株券喪失登録がされた株券に係る株式については、第百九十七条第一項の規定による競売又は同条第二項の規定による売却をすることができない。

○ 会社法231(株券喪失登録簿の備置き及び閲覧等)

1項 株券発行会社は、株券喪失登録簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。

2項 何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る。)について、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 株券喪失登録簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 株券喪失登録簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

○ 会社法232(株券喪失登録者に対する通知等) 

1項 株券発行会社が株券喪失登録者に対してする通知又は催告は、株券喪失登録簿に記載し、又は記録した当該株券喪失登録者の住所(当該株券喪失登録者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を株券発行会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

2項 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

○ 会社法233(適用除外)

非訟事件手続法第四編の規定は、株券については、適用しない。

第10節 雑則(234条~235条)
○ 会社法234(一に満たない端数の処理)
1項 次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該株式会社の株式の数に一株に満たない端数があるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならない。
一 第百七十条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主
二 第百七十三条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主
三 第百八十五条に規定する株式無償割当て 当該株式会社の株主
四 第二百七十五条第一項の規定による新株予約権の取得 第二百三十六条第一項第七号イの新株予約権の新株予約権者
五 合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。) 合併後消滅する会社の株主又は社員
六 合併契約に基づく設立時発行株式の発行 合併後消滅する会社の株主又は社員
七 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得 株式交換をする株式会社の株主
八 株式移転計画に基づく設立時発行株式の発行 株式移転をする株式会社の株主
九 株式交付 株式交付親会社(第七百七十四条の三第一項第一号に規定する株式交付親会社をいう。)に株式交付に際して株式交付子会社(同号に規定する株式交付子会社をいう。)の株式又は新株予約権等(同項第七号に規定する新株予約権等をいう。)を譲り渡した者
2項 株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
3項 前項の規定により第一項の株式を売却した場合における同項の規定の適用については、同項中「競売により」とあるのは、「売却により」とする。
4項 株式会社は、第二項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二 前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
5項 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
6項 第一項から第四項までの規定は、第一項各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の社債又は新株予約権を交付するときについて準用する。
○ 会社法235条
1項 株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。
2項 前条第二項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。

【参考・参照文献】

 以下の文献を参考・参照して作成しました。

□ 体系書 

 

□ 法学教室の論考

◇ 伊藤靖史 ケースで探索・会社法第19回資金調達:払い込みの仮装 法学教室493号85頁 

 

 

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