【注力分野】相続(相続調査、相続放棄)、遺産分割(協議、調停・審判)、債務整理、自己破産、個人再生、法律相談
大阪府寝屋川市にある相続と借金の問題に力を入れている法律事務所です。
受付時間 | 10:00~18:00 |
---|
休業日 | 土曜日、日曜日、祝日 |
---|
〇 福岡セクシュアル・ハラスメント訴訟
福岡地方裁判所平成4年4月16日判決(判例タイムズ783号60頁)
(裁判所の認定した事実)
(1)被告上司の不法行為責任
被告上司の一連の行動は、① 被告会社の社内の関係者に原告の私生活ことに異性関係に言及してそれが乱脈であるかのようにその性向を非難する発言をして働く女性としての評価を低下させた行為、② 原告の異性関係者の個人名を具体的に挙げて(全てが被告会社の関係者であった)、被告会社の内外の関係者に噂するなどし、原告に対する評価を低下させた行為である。③ ①②を被告上司の上司(訴外L専務)に真実であるかのように報告することによって、最終的には原告を被告会社から退職させる結果に及んだ。
→ 原告の意思に反し、その名誉感情その他の人格権を害する不法行為である。
(2)訴外L専務
使用者は、被用者との関係において社会通念上伴う義務として、被用者が労務に服する過程で生命及び健康を害しないよう職場環境等につき配慮すべき注意義務を負うが、そのほかにも、労務遂行に関連して被用者の人格的尊厳を侵してその労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切な対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務もある。
被用者を選任監督する立場にある者が上記注意義務を怠った場合には、その者に被用者に対する不法行為が成立する。使用者も民法715条により不法行為責任を負う場合がある。
訴外L専務らの行為は、職場環境を調整するよう配慮する義務を怠り、また男女を平等に取り扱うべきであるにもかかわらず、主として女性である原告の譲歩、犠牲において職場環境を調整しようとした点において不法行為性が認められ、被告会社も責任を負う。
【参考・参照文献】
下記文献を参考・参照して作成しました。
① 西谷敏・野田進・和田肇・奥田香子編 新基本法コンメンタール(第2版)労働基準法・労働契約法(令和2年、日本評論社)p500
② 土田道夫 労働法概説(第4版)(平成31年、弘文堂)304頁
③ 菅野和夫 労働法(第11版補正版)(平成29年、弘文堂)240頁、 261頁