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民事訴訟の手続-書証-文書提出命令

第1 文書提出命令制度

 書証の申出 

(1)当事者が自ら所持する文書を提出する。

   民訴法219条前段

(2)相手方当事者又は第三者が所持する文書

① 文書提出義務   民訴法220条

② 証拠調べの必要性 民訴法181条

→ 文書の所持者に提出を命ずることを申し立てる。

  民訴法219条後段

 

第2 文書提出義務

〇 民事訴訟法220条(文書提出義務)

 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。【引用文書】

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができる。【引渡・閲覧請求権対象文書】

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。【利益文書(前段)、法律関係文書(後段)】

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ  文書の所持者又は文書の所持者と第196条(証言拒絶権)各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第197条(証言拒絶権)第1項第2号に規定する事実又は同項第3号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

◇ 197条 

1項 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。

一 第百九十一条第一項の場合

二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷とう 若しくは祭祀し の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合

三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合

2項 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には適用しない。

二 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員か組織的に用いるものを除く。)【自己利用文書】

ホ 刑事事件に係る書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

□ 文書提出義務の一般義務化

  旧民訴法では、四号に相当する条項はなかった。

□ 四号ハ該当性の判断 

 ① 前段 法定専門職秘密文書

ⅰ 197条1項2号所定の専門職に該当すること

ⅱ 職務上知り得た事実が記載されていること

ⅲ ⅱの事実が黙秘すべきもの

ⅳⅱの事実について黙秘の義務が免除されていないこと

 

文書がⅰないしⅳの要件を充たす場合は、所持者がⅰの専門職に該当しない場合にも対象となる。ⅲの「黙秘すべきもの」は、一般に知られていない事項で、秘密にすることについて単に主観的利益だけではなく客観的に保護に値する利益を有するもの(最決平成16年11月26日)。

 

② 後段 技術又は職業の秘密文書 

□ 四号二該当性の判断 

最決平成11年11月12日

稟議書の事案(該当性肯定)

判断基準

 ①②の要件が充たされる場合には、特段の事情のない限り、自己利用文書に当たる。

① 内部文書性(外部非開示性)

 ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書

② 不利益性

 開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりする等、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合  

【判例】

〇 最(三小)決令和2年3月24日

1 事案・争点

 地方公共団体Yが、司法警察職員からAの死体の鑑定嘱託を受け裁判所の許可を受けてした解剖をして作成した鑑定書等又はその写しを所持する場合、

① 当該文書は、刑事事件関係書類(民訴法220条4号ホ)に該当するか(令和元年(許)第12号)。

② 法律関係文書(民訴法220条3号後段)に該当するか(令和元年(許)第11号)

 

 本案事件は、Aの子Xが、Aが被告開設に係る病院において、看護師の過失により、転倒し頭部を床に強打して死亡した等と主張して、被告に対し損害賠償を請求するものである。

2 裁判所の判断

①事件

裁判所は、刑事事件関係書類(民訴法220条4号ホ)該当性を内容等を個別に検討して判断すべきことにはなっておらず(民訴法223条6号、ホを除外)、刑事手続上の開示制度に係る規律に委ねる趣旨である。

→ 被告・被疑事件に関して作成され又はこれら事件において押収されている文書等であれば当然に、刑事事件関係書類に該当する。

 ホの趣旨から、文書等の写しも刑事事件関係書類に該当する。

→ 本件の鑑定等又はその写しは刑事事件書類に該当する。

 

②事件

 法律関係文書(民訴法220条3号後段)該当性は、当該文書の記載内容や作成経緯及び目的等を斟酌して判断する。

→ 本件準文書は、Aの死体についての司法解剖の写真を内容とする。法令(死体解剖保存法7条、刑事訴訟法225条1項、168条1項、刑事訴訟規則132条・110条)より、Xは、その父であるAの死体が礼を失する態様によるなどして不当に傷付けられないことについて法的な利益を有する。上記写真は、本件司法解剖の経過・結果を正確に記録するために撮影されたものであり、犯罪捜査のための資料となると共に、本件司法解剖によるAの死体に対する侵襲の範囲・態様を明らかにすることによってこれが適正に行われたことを示す資料になるものであると解され、本件司法解剖によるXの上記利益の侵害の有無等に係る法律関係を明らかにする面もある。

→ 本件準文書は、XY間において、法律関係文書に該当する。

 

【参考・参照文献】

①事件評釈

 濵﨑録・法学教室478号140頁

 徳本広孝・法学教室478号136頁

②事件評釈

 越山和広・法学教室478号139頁 

第3 文書提出命令の手続

〇 民事訴訟法221条(文書提出命令の申立て)

1項 文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一 文書の表示

二 文書の趣旨

三 文書の所持者

四 証明すべき事実

五 文書の提出義務の原因

2項 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。

〇 民事訴訟法221条(文書の特定のための手続)

 文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。

 この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。

2項 前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を理除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。

【参考・参照文献】

 このページは、次の文献を参考・参照して作成しました。

〇 

○ 濵崎 録 条文で学ぶ民事訴訟法 Ⅴ 文書提出命令

(220条) 法学教室494号33頁

 

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