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労働契約

労働契約における合意原則及び基本理念

 

○ 労働基準法2条

1項 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

2項 労働者と使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

○ 労働契約法1条

 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

 

○ 労働契約法3条

1項 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

2項 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

3項 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

4項 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

5項 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

 

○ 労働契約法8条

 労働者及び使用者は、この合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。 

 

1 労働契約における合意原則

 労働契約は、労働者が使用者に対し使用者の指揮命令に従って労務を提供し、使用者が労働者に対し労務の対価として賃金を支払う契約である(労働契約法6条)。

 近代法の私的自治の原則から、労働契約が使用者・労働者間の合意により成立し変更されるのは当然であるが、使用者優位の現実を踏まえて、対等の立場での交渉によって合意が成立すること理念とする。

2 判例に現れた合意認定

(1)合併に伴う退職金支給基準の変更

  山梨県民信用組合事件・最高裁判所第二小法廷平成28年2月19日判決

(2)合意相殺

  日新製鋼事件・最高裁第二小法廷平成2年11月26日判決 

  

[参考・参照文献]西谷敏・野田進・和田肇編「新基本法コンメンタール労働基準法・労働契約法」(2012年・日本評論社)

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