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〇 民法521条(契約の締結及び内容の自由)(平成29年改正により新設)
1項 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2項 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
1項
「契約自由の原則」の一つである「契約締結の自由の原則」は、改正前の法において明文化されていないが法理として認められていたが、改正法において明文化した。
2項
「契約自由の原則」の一つである「契約内容決定の自由の原則」は、改正前の法において明文化されていないが法理として認められていたが、改正法において明文化した。
「法令」とは、労働基準法、消費者契約法等、契約内容の自由の制約・修正する法令である。
〇 民法522条(契約の成立と方式)(平成29年改正)
1項 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
申込みの意思表示+<合致>+承諾の意思表示
= 契約の成立
旧法においても上記は基本原則として承認されていたが明文化されていなかった。改正法において明文化した。
また、「申込み」を「申込みの誘因」と区別するため、「申込み」を定義した。
2項
「契約自由の原則」の一つである「契約方式の自由の原則」は、改正前の法において明文化されていないが法理として認められていたが、改正法において明文化した。
〇 民法523条(承諾の期間の定めのある申込み)(平成29年改正)
1項 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2項 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
旧523条(承諾の期間の定めのある申込み)
1項 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。
2項 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
新法は、申込みの拘束力(申込みをした者が申込みに拘束され、申込みを撤回できない期間)について、旧法では明文規定がなかった、申込みをした者の撤回権を留保した場合の例外を規定した。
〇 民法524条(遅延した承諾の効力)
申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。
〇 民法525条(承諾の期間の定めのない申込み)(平成29年改正)
1項 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2項 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3項 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
旧525条(承諾の期間の定めのない申込み)
承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。
1 隔地者間の申込み
新法は、申込みの拘束力については、旧法と同様である。
新法は、「申込みの拘束力の存続期間経過前の」[撤回権]を申込者が留保できることを規定した。なお、この点について、旧法は、明文規定がなかった。
申込みの承諾適格(相手方の承諾により契約を成立させることができる期間)については、解釈に委ねられる。この点については、旧法と同様である。
2 対話者間の申込み
新法は、対話者間の申込みの拘束力について、対話継続中はいつでも撤回可能とした。なお、この点について、旧法は、明文規定がなかった。
新法は、対話者間の申込みの承諾適格(相手方の承諾により契約を成立させることができる期間)について、反対の意思表示がない限り、対話継続中であるとした。なお、この点について、旧法は、明文規定がなかった。
〇 民法526条(申込者の死亡等)(平成29年改正)
申込者が申込みの通知を発した後に
死亡し、
意思能力を有しない常況にある者となり、
又は行為能力の制限を受けた場合において、
申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、
又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、
その申込みは、その効力を有しない。
旧525条(申込者の死亡又は行為能力の喪失)
第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。
(平成29年改正により削除)
一定の事実が生じた場合における申込みの意思表示が効力を生じない要件
① 申込者の状態
死亡
行為能力の制限 ← (旧法)行為能力の喪失
意思能力喪失の常況 ← 新法で追加
② 適用範囲
隔地者のみならず対話者にも適用される。
← (旧法)隔地者
③ 適用要件
ⅰ 申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき
(旧法の)「反対の意思表示」の内容を具体化した。
ⅱ 相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったとき
承諾の通知発信までに ←
〇 民法527条(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期)(平成29年改正)
申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
〇 民法528条(申込みに変更を加えた承諾)(平成29年改正)
承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。
<契約の成立時期1>
【改正法】
旧民法526条1項:削除
【改正前の法】
旧民法526条
隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
【解説】
承諾の意思表示・契約の成立時期
到達主義(97条1項)→到達主義
承諾の意思表示が到達しないリスクは承諾者が負担する。
<契約の成立時期2>
【改正法】
旧民法527条:削除
【改正前の法】
旧民法527条
1項 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない。
2項 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす。
【解説】
① 申込みの撤回の意思表示 ② 承諾の意思表示 との関係
改正法は、②について、①と同様、到達主義を採用した。
契約が成立するか否かは、①の到達と②の到達との先後関係で決まる。→ 旧民法527条は削除
<契約の成立時期3>
【改正法】
新民法527条
申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
懸賞広告
〇 民法529条(懸賞広告)
ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下「懸賞広告者」という。)は、その行為をした者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に対してその報酬を与える義務を負う。
〇 民法529条の2(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
1項 懸賞広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2項 前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。
〇 民法529条の3(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)
懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、その指定した行為をする期間を定めないでした広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。
〇 民法530条(懸賞広告の撤回の方法)
1項 前の広告と同一の方法による広告の撤回は、これを知らない者に対しても、その効力を有する。
2項 広告の撤回は、前の広告と異なる方法によっても、することができる。ただし、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。
〇 民法531条(懸賞広告の報酬を受ける権利)
1項 広告に定めた行為をした者が数人あるときは、最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。
2項 数人が同時に前項の行為をした場合には、各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし、報酬がその性質上分割に適しないとき、又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは、抽選でこれを受ける者を定める。
3項 前二項の規定は、広告中にこれと異なる意思を表示したときは、適用しない。
〇 民法532条(優等懸賞広告)
1項 広告に定めた行為をした者が数人ある場合において、その優等者のみに報酬を与えるべきときは、その広告は、応募の期間を定めたときに限り、その効力を有する。
2項 前項の場合において、応募者中いずれの者の行為が優等であるかは、広告中に定めた者が判定し、広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。
3項 応募者は、前項の判定に対して異議を述べることができない。
4項 前条第二項の規定は、数人の行為が同等と判定された場合について準用する。
【参照・参考文献】
下記文献を参照、参考して、作成しました。
① 道垣内弘人 リーガルベイシス民法入門(第4版)62頁(2022年、日本経済新聞出版)
② 近江幸治 民法講義ⅴ契約法(第4版)(2022年、成文堂)25頁