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     相続財産の清算

民法第5編 相続
第6章 相続人の不存在

<令和3年民法改正の意義(1)>

1 令和3年改正前(旧法)

① 旧918条2項(旧926条2項、940条2項で準用する場合を含む)により選任される者

 「相続財産管理人」と呼称

② 旧936条2項、旧952条1項により選任される者

 「相続財産管理人」と呼称

 

 上記「相続財産管理人」は、単に相続財産の維持等の管理を行うほか、相続財産の清算、すなわち相続債権者の存否や相続債権の額等を確定し、相続財産をもって、その弁済に充てる等の職務も行っていた。

→ 旧法は、異なる目的の下で、異なる職務を行う者について、同一の呼称が与えられており、分かりにくい、混乱を招く問題があった。

2 令和3年改正法(新法)

① 新897条の2に基づき、相続財産の保存のために選任される者

 職務鑑み、「相続財産管理人」と呼称

② 新936条1項、新952条1項に基づき、相続財産の管理のみならず、清算を職務とする者 

 職務に鑑み、「相続財産清算人」と呼称 

村松・大谷Q85p236)

<令和3年民法改正の意義(2)>

1 令和3年改正前(旧法)

(1)3度の公告

① 家庭裁判所による相続財産管理人の選任の公告(旧952条2項)

② ①より2か月以内に相続人のあることが明らかにならなかったとき、相続財産管理人による、2か月以上の期間を定めて、相続債権者らに対し、その期間内に請求の申出をすべき旨の公告(旧957条1項)

③ ②の期間満了後に、6か月以上の期間を定めて、相続人があるならば、その期間内にその権利を主張すべき旨、家庭裁判所による相続人の捜索の公告(旧958条)

④ ③の期間満了によって権利関係が確定する(旧958条の2)。

(2)上記手続の問題点

① 趣旨の重複する公告手続を3回に分けて順次行わなければならない。

② 権利確定の確定に10か月以上を要する。

2 令和3年改正法(新法)

権利関係の確定に必要な期間が最短で6か月とし、相続財産の清算手続を合理化した。

(1)「家庭裁判所による、相続財産清算人選任の公告」と「家庭裁判所による、相続人捜索の公告」を統合して、一つの公告で同時に行う。(新952条2項)

(2)(1)と並行して、「相続財産清算人による、相続債権者らに対し、その期間内に請求の申出をすべき旨の公告」を行う。その期間は、(1)の家庭裁判所が公告した相続人の権利主張期間内に満了する必要がある。(新957条1項)

(3)相続人の権利主張期間内に相続人として権利主張する者がないとき、相続財産清算人に知れなかった相続債権者・受遺者を含め、失権効が生じ、権利関係が確定する。(新958条)

 

 

 

村松・大谷Q86p238)

○ 民法951条(相続財産法人の成立)

 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

 

○ 民法952条(相続財産の清算人の選任)

1項 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。

2項 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

○ 民法953条(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)

 第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の清算人(以下この章において単に「相続財産の清算人」という。)について準用する。

 

○ 民法954条(相続財産の清算人の報告)

 相続財産の清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。

○ 民法955条(相続財産法人の不成立)

 相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の清算人がその権限内でした行為の効力を妨げない。

○ 民法956条(相続財産の清算人の代理権の消滅)

1項 相続財産の清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。

2項 前項の場合には、相続財産の清算人は、遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければならない。相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の清算人がその権限内でした行為の効力を妨げない。

○ 民法957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済)

1項 第952条第2項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、2箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。

2 第927条第2項から第4項まで及び第928条から第935条まで(第932条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

○ 民法958条(権利を主張する者がない場合)

 第952条第2項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

○ 民法958条の2(特別縁故者に対する相続財産の分与)

1項 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2項 前項の請求は、第952条第2項の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。

1 特別縁故者に対する相続財産分与制度

 昭和37年改正により新設された。

 特徴は次のとおりである(文献③457頁)。

① 相続人が存在する場合には適用されず、相続人が不存在の場合にだけ機能する。

② 特別縁故者の請求を受けて、家庭裁判所が「相当」と認めた場合に(裁判所に裁量がある)分与される。特別縁故者に分与請求権があるのではない(文献⑥106頁)。

③ 分与対象は、清算後の残余財産であり、また、特別縁故者が相続債務を承継することはない(文献⑥106頁)。

2 特別縁故者(文献④445頁)

① 被相続人と生計を同じくしていた者

 内縁の妻(但し、重婚的内縁については否定例もある。)、継親子など。

② 被相続人の療養看護に努めた者

③ その他被相続人と特別の縁故があった者

 親族関係があるというだけでは該当せず、財産上の援助をしたり、財産管理や身上監護をする等の事情が必要である。

①②は、③の例示である。

 

[裁判例]

○ 大阪高決平成20年10月24日(加藤新太郎・前田陽一・本山敦編集 離婚・親子・相続事件判例解説(2019年、第一法規)90号事件[解説 副田隆重])

 成年後見人(親族、無報酬)について、特別縁故者であることを認めた。

 

○ 高松高決平成26年9月5日(加藤新太郎・前田陽一・本山敦編集 離婚・親子・相続事件判例解説(2019年、第一法規)91号事件[解説 副田隆重])

 福祉施設について、被相続人が長年にわたり本件施設で手厚い看護を受けてきた(対価関係がない部分)等の事象を考慮して、特別縁故者であることを認めた。

 

○ 広島高判岡山支決平成18年7月20日(文献⑤200頁、文献⑥110頁)

 被相続人の子が相続債権者からの履行請求を危惧して相続放棄の申述をしたが、その後、被相続人との現実の縁故を主張して、相続財産分与の申し立てた事案で、申立人を特別縁故者と認め、相続財産を分与した。

 

3 手続(文献④445頁)

(1)申立て時期

  相続人の捜索の公告期間(958条)の満了後3か月以内(958条の3第2項)。

(2)審判

① 家事事件手続法39条、別表第一、101の項

② 管轄の家庭裁判所

  相続が開始した地(※)を管轄する家庭裁判所

  家事事件手続法203条3号

③ 特別縁故者が死亡した場合

ⅰ 申立て前死亡

 行使上の一身専属性 → 特別縁故者の地位は、相続人に承継されない。(東京高決平成16年3月1日)。  

ⅱ 申立て後死亡

 申立て後は、分与の可能性について財産的性質を有する期待権となる。 → 承継される。

 

  ※ 民法883条(相続開始の場所)

    相続は、被相続人の住所において開始する。

④ 複数申立ての場合

 審判手続及び審判は併合する。 家事事件手続法204条2項

⑤ 相続財産管理人の意見聴取 家事事件手続法205条

(3)即時抗告 家事事件手続法206条

⑥ 一部分与と全部分与

⑦ 告知 家事事件手続法74条

ⅰ 分与認める場合

  申立人&相続財産管理人

ⅱ 却下

  申立人

⑧ 分与審判の効果

 形成的効果

 相続財産法人から無償譲渡(→贈与税課税)を受けたことになる。

(3)即時抗告 家事事件手続法206条

ⅰ 分与認める場合

  申立人&相続財産管理人

ⅱ 却下

  申立人

 

4【論点】民法958条の3と民法255との関係

(1)事案

① AB共有の不動産

② Bが死亡した。Bには、相続人がいないが、内妻Cがいる。

 

 民法255条(共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。)が民法958条の3に優先して適用されるとすると、Cが特別縁故者への財産分与を家庭裁判所に申し立てる余地はない。

○ 最高裁判所第2小法廷平成元年11月24日判決(最高裁判所民事判例集43巻10号1220頁)

   家庭裁判所から相続財産に当たる共有不動産の被相続人持分の分与を受けた特別縁故者が、法務局に持分全部移転登記を申請したところ、法務局が申請を却下した事案において、 民法958条の3を民法255条に優先して適用するとした。

(理由) 

① 昭和三七年法律第四〇号による改正前の法は、相続人不存在の場合の相続財産の国庫帰属に至る手続として、九五一条から九五八条において、相続財産法人の成立、相続財産管理人の選任、相続債権者及び受遺者に対する債権申出の公告、相続人捜索の公告の手続を規定し、九五九条一項において「前条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、相続財産は、国庫に帰属する。」と規定していた。右一連の手続関係からみれば、右九五九条一項の規定は、相続人が存在しないこと、並びに、相続債権者及び受遺者との関係において一切の清算手続を終了した上、なお相続財産がこれを承継すべき者のないまま残存することが確定した場合に、右財産が国庫に帰属することを定めたものと解すべきである。

② 他方、法二五五条は、「共有者ノ一人カ……相続人ナクシテ死亡シタルトキハ其持分ハ他ノ共有者ニ帰属ス」と規定しているが、この規定は、相続財産が共有持分の場合にも相続人不存在の場合の前記取扱いを貫くと、国と他の共有者との間に共有関係が生じ、国としても財産管理上の手数がかかるなど不便であり、また、そうすべき実益もないので、むしろ、そのような場合にはその持分を他の共有者に帰属させた方がよいという考慮から、相続財産の国庫帰属に対する例外として設けられたものであり、法二五五条は法九五九条一項の特別規定であったと解すべきである。したがって、法二五五条により共有持分である相続財産が他の共有者に帰属する時期は、相続財産が国庫に帰属する時期と時点を同じくするものであり、前記清算後なお当該相続財産が承継すべき者のないまま残存することが確定したときということになり、法二五五条にいう「相続人ナクシテ死亡シタルトキ」とは、相続人が存在しないこと、並びに、当該共有持分が前記清算後なお承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときと解するのが相当である。

③ 昭和三七年法律第四〇号による法の一部改正により、特別縁故者に対する財産分与に関する法九五八条の三の規定が、相続財産の国庫帰属に至る一連の手続の中に新たに設けられたのであるが、同規定は、本来国庫に帰属すべき相続財産の全部又は一部を被相続人と特別の縁故があった者に分与する途を開き、右特別縁故者を保護するとともに、特別縁故者の存否にかかわらず相続財産を国庫に帰属させることの不条理を避けようとするものであり、そこには、被相続人の合理的意思を推測探究し、いわば遺贈ないし死因贈与制度を補充する趣旨も含まれているものと解される。

④ 右九五八条の三の規定の新設に伴い、従前の法九五九条一項の規定が法九五九条として「前条の規定によつて処分されなかつた相続財産は、国庫に帰属する。」と改められ、その結果、相続人なくして死亡した者の相続財産の国庫帰属の時期が特別縁故者に対する財産分与手続の終了後とされ、従前の法九五九条一項の特別規定である法二五五条による共有持分の他の共有者への帰属時期も右財産分与手続の終了後とされることとなったのである。この場合、右共有持分は法二五五条により当然に他の共有者に帰属し、法九五八条の三に基づく特別縁故者への財産分与の対象にはなりえないと解するとすれば、共有持分以外の相続財産は右財産分与の対象となるのに、共有持分である相続財産は右財産分与の対象にならないことになり、同じ相続財産でありながら何故に区別して取り扱うのか合理的な理由がないのみならず、共有持分である相続財産であっても、相続債権者や受遺者に対する弁済のため必要があるときは、相続財産管理人は、これを換価することができるところ、これを換価して弁済したのちに残った現金については特別縁故者への財産分与の対象となるのに、換価しなかった共有持分である相続財産は右財産分与の対象にならないということになり、不合理である。

⑤ 被相続人の療養看護に努めた内縁の妻や事実上の養子など被相続人と特別の縁故があった者が、たまたま遺言等がされていなかったため相続財産から何らの分与をも受けえない場合にそなえて、家庭裁判所の審判による特別縁故者への財産分与の制度が設けられているにもかかわらず、相続財産が共有持分であるというだけでその分与を受けることができないというのも、いかにも不合理である。これに対し、右のような場合には、共有持分も特別縁故者への財産分与の対象となり、右分与がされなかった場合にはじめて他の共有者に帰属すると解する場合には、特別縁故者を保護することが可能となり、被相続人の意思にも合致すると思われる場合があるとともに、家庭裁判所における相当性の判断を通して特別縁故者と他の共有者のいずれに共有持分を与えるのが妥当であるかを考慮することが可能となり、具体的妥当性を図ることができるのである。

(結論)

 共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法九五八条の三の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法二五五条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。

 

 内田貴教授のコメント(文献③459頁)

 255条優先説は法務省民事局の見解であり、958条の3優先説が最高裁家庭局の見解であった。前者は、法律上の身分関係がない者に裁量で相続財産を分与する特別縁故者制度は、財産法の原則からすると極めて例外的な措置であるため、これを限定して適用する意図があった。 

梶村太市・徳田和幸編著 家事事件手続法第3版(2016年、有斐閣)【参考・参照文献】

以下の文献を参考・参照して作成しました。

① 二宮周平 家族法(第5版)(2019年、新世社)頁~

② 窪田充見 家族法(第4版)(2019年、有斐閣)400頁~

③ 内田貴 民法Ⅳ[補訂版]親族・相続(2004年、東京大学出版会)頁~

④ 梶村太市・徳田和幸編著 家事事件手続法第3版(2016年、有斐閣)443頁

⑤ 編集代表尾島史賢 実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴(令和2年、新日本法規出版)

⑥ 潮見佳男 詳解相続法(2018年、弘文堂)105頁

⑦ 松川正毅・窪田充見編 新基本法コンメンタール相続(2016年、日本評論社)165頁 副田隆重

⑧ 片岡武ほか編著 家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務(平成23年、日本加除出版)251頁

⑨ 大阪財産管理研究会編著 家庭裁判所の財産管理実務(2022年、大阪弁護士協同組合)

 

○ 民法959条(残余財産の国庫への帰属)

 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第956条第2項の規定を準用する。

【参照・参考文献】

① 村松秀樹・大谷太編著 Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法(2022年、きんざい)(略称:村松・大谷)

② 潮見佳男 詳解相続法第2版(2022年、弘文堂)159頁(略称:潮見)

③ 潮見佳男ほか編 Before/After 民法・不動産登記法改正(2023年、弘文堂)(略称:BA改正)

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