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債権法改正、多数当事者の債権及び債務(その3
) 連帯債務(1)

民法第3編 債権
第1章 総則
第3節 多数当事者の債権及び債務

             第4款 連帯債務

〇 民法436条(連帯債務者に対する履行の請求)

 債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる

旧432条(履行の請求)

 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

旧434条(連帯債務者の一人に対する履行の請求)

 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。 → 削除

1   連帯債務の成立要件

  ① + ② 

 ① 債務の目的が性質上可分である場合

 ② 法令の規定 又は 当事者の意思表示

 

 ①に関して、債務の目的が性質上不可分である場合は、不可分債務となる。

 改正前の法の解釈と異なり、債務の目的が性質上可分であるが意思表示により不可分債務とすることはできない。→ 不動産を共同して賃借する者の賃貸人に対し負う賃料支払債務は、連帯債務となる。

 

    改正前民法は、どのような場合に、連帯債務となるのかについて要件を定めておらず、明確ではなかった。改正法は、これを明らかにした意義を有する。

第1の基準

 債務の目的がその性質上、可分or不可分

  可分 → 第2の基準

  不可分 → 不可分債務(民法430条)

第2の基準

  ① 法令の規定

  or

  ② 当事者の意思表示

  により連帯して債務負担 → 連帯債務

2 連帯債務者の一人に対する履行の請求について、改正前の法は絶対効(※)としていたが、改正法は相対効とした。

 当事者間で別段の定めをすることはできるから、絶対効とする合意は可能である。

※ 絶対効とすることは、請求による時効中断効および期限の定めのない債務について履行遅滞効の点で債権者に有利であるが、他の連帯債務者にとっては自己の預かり知らない出来事によって不利益であった。

連帯債務(1)

【改正法

民法438条(連帯債務者の一人との間の更改)

 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

【改正前の法】

民法435条(履行の請求)

 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

【解説】

 改正による、実質的な変更はない。

 

【改正法】

民法439条(連帯債務者の一人による相殺等)

1項 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

2項 前項の債権を有する連帯債務者(A)が相殺を援用しない間は、その連帯債務者(A)の負担部分の限度において、他の連帯債務者(B)は、債権者(C)に対して債務の履行を拒むことができる。

【改正前の法】

民法436条(連帯債務者の一人による相殺等)

1項 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。→改正法436条1項(実質的変更なし)

2項 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者誘相殺を援用することができる。→改正法436条2項

【解説】

 改正前の法においても、Bは、AのCに対する債権をもって相殺し債務を消滅させる効果(債務消滅構成)まで認められず、Aの負担部分の割合の限度で弁済を拒絶できると解されていた(履行拒絶権構成、抗弁権説)。

 改正法は、この解釈を法文化した。

 

【改正法】

民法440条(連帯債務者の一人との間の混同)

 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

【改正前の法】

民法438条(連帯債務者の一人との間の混同)

 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

【解説】

 変更なし。

 

【改正法】

民法441条

 第438条(※1)、第439条(※2)第1項及び前条(※3)に規定する場合を除き、連帯債務者の一人(A)について生じた事由は、他の連帯債務者(B)に対してその効力を生じない。ただし、債権者(G)及び他の連帯債務者の一人(B)が別段の意思表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

※1 連帯債務者の一人との間の更改

※2 連帯債務者の一人による相殺等

※3 連帯債務者の一人との間の混同

【改正前の法】

 第434条から前条までに規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。

【解説】

1 相対効の原則を表明した規定である。

2 改正前の法において絶対効とされていた、① 履行の請求、② 免除、③ 時効の完成が相対効とされた。

① 改正前の民法434条が削除

② 改正前の民法437条が削除

③ 改正前の民法439条が削除

3 債権者G・他の連帯債務B間の別段の合意

 任意規定であり、当事者の特約によって絶対効とすることができる。 

 例えば、履行の請求について、GがAに対し履行の請求した場合、GがBに対し履行の請求をしたことになると合意する如し。

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)108頁

② 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)頁

③ 伊藤栄寿 ケースで考える債権法改正 第16回連帯債務

 法学教室478号75頁

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