休憩時間

労働基準法３４条

１項　使用者は、労働時間が６時間を超える場合においては少なくとも４５分、８時間を超える場合においては少なくとも１時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

２項　前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。

　ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

３項　使用者は、第１項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

【コメント】

１　労働基準法は、拘束時間（所定労働時間＋休憩時間）の途中で、労働義務から解放する時間を労働者に付与し、もって、労働義務の履行により蓄積される精神的・肉体的疲労を取り去り、軽減することを図る。

　労働基準法が規定する休憩時間は、最少時間である。

２　「途中」（１項）

①　途中のどの段階でも可。

②　休憩時間の分割も可。

３　一斉付与の原則（２項）

（１）事業場単位。休憩時間の効果を挙げる。

４　休憩時間自由利用の原則（３項）

（１）休憩時間中における労働義務からの解放を実効あらしめる趣旨

（２）休憩時間中の外出も自由であるが、事業場内で自由に休憩できる限り、外出の許可制も違法でない（行政解釈）。

（３）事業場内で休憩する場合、労働者は事業場内の服務規律や施設管理権に基づく制約に服する。

　この点に関して、休憩時間に休憩室等でのビラ配布を理由とする戒告処分を有効とした目黒電報電話局事件・最高裁昭和５２年１２月１３日判決

５　労働基準法に従った休憩時間を付与しなった使用者には処罰規定がある（労働基準法１１９条１項）。労働契約の債務不履行となるが、この場合、労働者に生じた損害は何かが問題となる。

　この点に関して、住友化学事件・最高裁昭和５４年１１月１３日判決　

【参考参照文献】

菅野和夫・労働法第１１版補正版４６４頁、土田道夫・労働契約法第２版３１９頁