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1 クレジットカードの利用契約等をすると、カード会社等が顧客・利用者の同意を得て、信用情報機関に支払状況等の情報を登録するのが通常です。
おおまかにいうと、カード会社等が信用情報機関に対し、支払状況等の情報を登録申請し、信用情報機関はそれを信用情報に反映させます。
この信用情報は、クレジット会社等が顧客・利用者に与信を与えるか否か審査するに当たり、その対象者の支払状況を確認して、その者に経済的信用が備わっているか、ひいては与信してよいかを判断する有力資料となります。※
例えば、過去にカードの未払いがあり、その未払いの期間が長期であればある程、新たにクレジットカードの利用契約ができなくなったり(申し込んでも断られる)、既に利用契約をしているクレジットカードについても新たな与信を拒否されたりすることがあります。更に、住宅ローンを組むに当たり支障が出たりする等、様々な局面で影響が出ます。
※ このように信用情報機関は、与信業者のためのものとして成立し発展してきましたが、近年は、利用者に対する過剰融資を防止し、多重債務の発生を予防するという消費者保護の視点に立って、各種法令が与信に際して信用情報機関を利用することを義務づけています。これを指定信用情報機関といいます。
〇 割賦販売法(30条の2第3項、35条の3の3第3項)
上の指定信用情報機関
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
〇 貸金業法(13条2項)上の指定信用情報機関
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
株式会社日本信用情報機構(JICC)
なお、全国銀行個人信用情報センター(運営:全国銀行協会)は、指定信用情報機関ではない。
(阿部高明・クレジットカード事件対応の実務(令和元年、民事法研究会)
2 例えば株式会社シー・アイ・シーでは、信用情報は次のとおり登録されます。
・請求どおり(もしくは請求額以上)の入金があった場合
→ 「$」の表示
・お客様の事情で、お約束の日に入金がなかった(未入金)
→ 「A」の表示
・長期に亘る支払の遅れ(61日又は3か月以上)
→ 「異動」の表示
クレジット情報は、契約期間中及び契約終了から5年間保有されます。
裁判例の紹介
〇 東京地方裁判所平成28年6月8日(D1-Law.com 判例ID29018896)
(事案・争点)
原告Xは、Yから借り入れたが、その後、分割返済を怠ったため、CICに異動情報が登録された。その後、当該債務について消滅時効時効期間が経過したため、XはYに対し消滅時効を援用し、当該債務は消滅した。
XはYに対し、消滅時効援用により当該債務は起算日に遡って消滅するのであるから(民法144条)、それ以降は債務不履行としての法的効果が生じる余地はないのであるから、異動情報は抹消するべきと主張した。
(裁判所の判断)
① 消滅時効の遡及効は法技術上の配慮によるものであって、消滅時効援用後も債務不履行の事実が登録されているからといって、必ずしも誤った情報が登録されていると評価することはできない。
② 適切な与信を行わせるという信用情報の登録制度の目的からすると、債務消滅後、債務不履行の事実を一定の期間(本件では5年間)登録しておくは、合理性が認められる。
→ Xの請求を棄却する。