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〇 憲法41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
1 本条の意義
立法権(41条)、行政権(65条)、司法権(76条)の三権分立を定める規定である。
2 国権の最高機関
[A]説 政治的美称説
例えば、清宮四郎・憲法Ⅰ(第三版)(昭和54年)202頁では、次のとおり記述されている。
憲法は、明治憲法における天皇の最高機関性を否定すると同時に、国民を代表する国会を国政の中心に位する重要な機関と認め、すなわち、主権者たる国民によって直接選任される議員から成る国会は、もっとも国家の近くにあり、各種の国家機関のうちで、国民自身に次いで、高い地位にあり、国民にかわって、国政全般にわたり、強い発言権をもつべきものとみなしている。
[B]説 法規範説
何らの法的意味を見いだす考え。
最高責任地位説(佐藤幸治・日本国憲法論430頁)など
3 唯一の立法機関性
(1)「立法」の意義
実質的意味の立法を形式的意味の法律で行うこと。
(2)国会中心立法の原則
① 委任立法
② 議院規則
③ 最高裁判所規則
(3)国会単独立法の原則
① 特別法(憲法95条)
② 内閣の法案提出権
〇 憲法42条
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
〇 憲法44条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
〇 憲法45条
衆議院議員の任期は、四年とする。
但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
〇 憲法46条
参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
〇 憲法47条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
〇 憲法48条
何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
〇 憲法49条
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
〇 憲法50条
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
〇 憲法51条
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
〇 憲法52条
国会の常会は、毎年一回これを召集する。
会期制
2 会期の種類
① 常会(通常国会)憲法52条
毎年1月中に招集:国会法2条、会期150日間:国会法10条、会期延長:1回(国会法12条)、衆議院の優越(国会法13条)
② 臨時会(臨時国会)憲法53条
招集:国会法2条の3、会期:国会法11条、会期延長:国会法12条、衆議院の優越:国会法13条
③ 特別会(特別国会)憲法54条
国会法1条3項
〇 憲法53条
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
〇 那覇地裁令和2年6月10日判決
(事案)
平成29年、国会議員が憲法53条後段に基づき内閣に臨時会の召集を要求した。しかるに、内閣が臨時会の召集を決定したのは約3か月後だった。
原告ら国会議員は、内閣が要求から合理的期間内に臨時会を召集しなかったことは違法であるとして、国に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求した。
国は、統治行為論に則り、臨時会の召集は、高度に政治性を有する行為であって、裁判所の司法審査は及ばないと主張して、原告らの請求を却下すべきと主張した。
(裁判所の判断)
① 憲法53条後段の法的性質
単なる政治的義務ではなく、憲法明文をもって規定された法的義務である。
← 憲法の規律が比較的明確である。少数派の国会議員の意見を国会に反映させる趣旨が没却されないよう、司法審査の対象とする必要性が高い。
② 内閣が臨時会を召集すべき時期
召集が要求されてから、合理的期間内に召集すべき義務
合理的期間内に解釈問題であり、裁判所は、法律上の争訟として、判断できる。
← 憲法の規律が比較的明確である。少数派の国会議員の意見を国会に反映させる趣旨が没却されないよう、司法審査の対象とする必要性が高い。
③ 国家賠償法1条1項の違法性
内閣は臨時会の召集義務を召集を要求した個々の国会議員に対して負っているとはいえない。→違法性否定
④ 結論
本件の内閣の行為が違憲か否か判断するまでもなく、原告らの損害賠償請求は理由がない。→請求棄却
【参考・参照文献】
〇 毛利透・法学教室484号125頁
〇 憲法55条
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〇 憲法61条
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
〇 憲法62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
〇 憲法63条
内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。