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〇 民法424条の8(詐害行為の取消しの範囲)(平成29年改正により新設)
1項 債権者(A)は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者(B)がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度おいてのみ、その行為の取消しを請求することができる。
2項 債権者(A)が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により価格の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
被保全債権の額が詐害行為の目的である財産の額を下回り、詐害行為の目的である財産が可分である場合、被保全債権の額の限度においてのみ取消しを請求できるという旧法下の判例を明文化したものである。
〇 民法424条の9(債権者への支払又は引渡し)(平成29年改正により新設)
1項 債権者(A)は、第424条の6第1項前段又は第2前段の規定により受益者(C)又は転得者(D)に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者(C)に対してその支払又は引渡しを、転得者(D)に対してその引渡しを、自己(A)に対してすることを求めることができる。
この場合において、受益者(C)又は転得者(D)は、債権者(A)に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者(B)に対してその支払又は引渡しをすることを要しない。
2項 債権者(A)が第424条の6第1項後段又は第2後段の規定により受益者(C)又は転得者(D)に対して価格の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
詐害行為取消しが認められる場合、債権者は受益者又は転得者に対し、直接支払又は引渡しを受けることができる(但し、金銭の支払又は動産の引渡しを求める場合)という旧法下の判例を明文化したものである。
〇 民法425条(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者(B)及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
旧425条(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。
〇 民法425条の2(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)(平成29年改正により新設)
債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、受益者(C)は、債務者(B)に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。
債務者(B)がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者(C)は、その価格の償還を請求することができる。
新法:取消判決の効力が債務者に及ぶ
→ 債務者・受益者間 原状回復の関係
→ 受益者の債務者に対する、反対給付返還請求権、
それに代わる価格償還請求権
〇 425条の3(受益者の債権の回復)(平成29年改正により新設)
債務者(B)がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第424条の4の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者(C)が債務者(B)から受けた給付を返還し、又はその価格を償還したときは、受益者(C)の債務者(B)に対する債権は、これによって原状に復する。
1 旧法下の判例が認めていた、債務者がした債務消滅行為に関する行為についての取消判決の場合における、受益者の債務に対する債権の復活について、旧法では明文規定がなかったが、新法は明文指定を設けた。
2 受益者が給付の返還又は価格の償還をした後に、受益者の債務者に対する債権が復活する。→ 相殺不可
〇 民法425条の4(詐害行為取消請求を受けた転得者の権利)(平成29年改正により新設)
債務者(B)がした行為が転得者(D)に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、その転得者(D)は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
ただし、その転得者(D)がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価格を限度とする。
一 第425条の2に規定する行為が取り消された場合 その行為が受益者(C)に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば同条の規定により生ずべき受益者(C)の債務者(B)に対する反対給付の返還請求権又はその価格の償還請求権
二 前条に規定する行為が取り消された場合(第424条の4の規定により取り消された場合を除く。)
その行為が受益者(C)に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば前条の規定により回復すべき受益者(C)の債務者(B)に対する債権
詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者(B)が債権者(A)を害することを知って行為をしたことを債権者(A)が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。
行為の時から10年を経過したときも、同様とする。
旧436条(詐害行為取消権の期間の制限)
第424条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは、時効によって消滅する。
行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
1 詐害行為取消請求権の行使期間
旧法:消滅時効 + 新法:提訴期間
2 2年間の起算点
新法は、旧法下の判例(※)を明文化した。
※ 債権者の認識内容
詐害行為の客観的事実
+債務者が債権者を害することを知って行為をした事実
3 行為時からの期間制限
旧法:20年 ← 長すぎる
新法:10年
【参考・参照文献】
このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。
□ 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)頁
□ 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)158頁
□ 内田貴 民法Ⅲ 債権総論・担保物権第4版(2020年、東京大学出版会)357頁 略称:内田
□ 大阪弁護士会民法改正問題特別委員会編 実務家のための逐条解説新債権法(2021年、有斐閣) 略称:大弁会
□ 近江幸治 民法講義Ⅳ債権総論(第4版)(2020年、成文堂)132頁 略称:近江