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債権法改正 時効総則、のページ

民法 第1編 総則
第7章 時効
第1節 総則

旧法:平成29年改正前の法 新法:平成29年改正後の法

〇 民法145条(消滅時効の援用)

 当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

旧145条(時効援用)
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 改正前の法は、消滅時効の援用権者について、単に「当事者」と規定していたが、その範囲が明確でなかった。改正法は、「当事者」と規定し、消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含むと規定し、判例が認めていた援用権者を含むものとし、抽象的基準としては「正当な利益を有する者」とした。

〇 民法146条(時効の利益の放棄) 
  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

 1 趣旨

 時効完成前の放棄は、① 永続した事実状態の尊重という時効制度の趣旨に反すること、② 債務者の窮状に乗じて、債権者が債務者に対し時効完成前に時効の利益を放棄させる行為を禁止する必要があることから、時効完成前における時効の利益の放棄を無効とした。

 本条の反対解釈として、時効完成後における時効の利益の放棄は認められる。

2 時効利益の放棄 

 完成した時効の存在を認識して放棄することを要する(大審院)。

3 時効援用権の喪失

 最高裁判所も、2の考え方を承継しつつ、債務者による時効完成後の一部弁済について、時効完成の事実を知って放棄したものと推定すべきとした(最判昭和35年6月23日)。

 しかし、時効と相反する行為(例:一部弁済、支払期限延期の申入れ)をするのは時効完成を知らないで行うという経験則に照らすと、上記最高裁判所の見解には無理があった。

 その後、最高裁判所は、判例を変更して、次のような、「時効援用権の喪失」という理論を生み出した(最大判昭和41年4月20日)。

(結論)

 時効完成後における債務者の債権者に対する債務承認は、債務者において時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後、その債務について消滅時効を援用することは許されない。

(理由)

  時効による債務消滅の主張と相容れない行為

→ 債権者において、債務者はもはや時効の援用をしない趣旨と考える。

→ その後、援用は認めないとするのが信義則に照らし相当である(最判昭和45年5月21日)。

4 時効利益の放棄後、新たに時効が進行し、時効が完成した場合は、時効は援用できる(通説)。時効援用権の喪失後、新たに時効が進行し、時効が完成した場合は、時効は援用できる。

5 時効援用権の喪失の理論は、信義則を根拠とするものであるので、形式的は債務承認に当たる場合でも、援用権を喪失しない場合がある。

→能見善久・加藤新太郎編 論点体系 判例民法1総則(第3版)(平成31年、第一法規)467頁(鎌野邦樹)、平野裕之 民法総則(2017年、日本評論社)393頁

 

<経過措置>

(時効に関する経過措置)

附則 第十条 

1項 施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の援用については、新法第百四十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

2項 施行日前に旧法第百四十七条に規定する時効の中断の事由又は旧法第百五十八条から第百六十一条までに規定する時効の停止の事由が生じた場合におけるこれらの事由の効力については、なお従前の例による。

3項 新法第百五十一条の規定は、施行日前に権利についての協議を行う旨の合意が書面でされた場合(その合意の内容を記録した電磁的記録(新法第百五十一条第四項に規定する電磁的記録をいう。附則第三十三条第二項において同じ。)によってされた場合を含む。)におけるその合意については、適用しない。

4項 施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。

1 時効期間(附則10条4項)

 〇 施行日前に債権が生じた場合(※)におけるその債権の

   消滅時効の期間 → 従前の例(改正前の法)

 〇 施行日以後に債権が生じた場合におけるその債権の

   消滅時効の期間 → 改正法

 

※ 施行日前に債権が生じた場合

 施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因であるる法律行為が施行日前にされたときを含む(附則10条1項)。 

 

2 改正前の法による時効中断事由(旧147条)、改正前の法による時効停止事由(旧158条~旧161条)

〇 施行日前にこれら事由が生じた場合におけるこれら事由の効力 → 従前の例(改正前の法)

 

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

□ 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(令和2年、弘文堂)57頁

□ 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)

□ 丸山絵美子 ケースで考える債権法改正第18回 消滅時効をめぐって

□ 潮見佳男 民法(全)第3版(令和4年、有斐閣)99頁

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