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債権法改正 契約の効力(その2)

民法第3編 債権
第2章 契約
第1節 総則

第2款 契約の効力(533条~539条)

 経過規定(附則30条2項)

 施行日前に締結された契約に関する同時履行の抗弁については、旧法が適用される。

第3款 契約上の地位の移転(539条の2)

〇 民法539条の2 

 契約の当事者の一方(A)が第三者(C)との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方(B)がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。

<契約上の地位の移転>

1 意義

 契約当事者としての地位が合意によって移転されること

2 法律構成等

  債権・債務の移転、債権譲渡・債務引受の要素

  平成29年改正で明文化

  A・B間 → C・B間

3 効果

 契約上の地位の移転を受けた者(C)が新しい当事者となり、移転した者(A)は契約関係から離脱する。

4 不動産賃貸借契約上の地位の移転

  民法605条の2

(中田255頁)

    第4款 契約の解除(540条~548条)

〇 民法540条(解除権の行使)

1項 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。

2項 前項の意思表示は、撤回することができない。

〇 民法541条(催告による解除)

 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

 ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

旧541条催告による解除)

 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

1 新法は、ただし書を追加し、軽微な不履行の場合解除権が発生しないと定めが、これは、旧法下の判例法理を踏まえたものである。

 軽微な場合とは、例えば、不履行の部分が数量的に僅かである場合や付随的な債務の不履行の場合である。その不履行により、契約目的の達成が不可能といえない場合であっても、契約目的の達成に重大な影響を与える場合は、軽微とはいえない。

2 債務者の帰責事由の要否

(1)旧法

 履行不能解除 債務者の帰責事由要 旧543条ただし書

 履行遅滞解除 債務者の帰責事由要 解釈

(2)新法

① 契約解除制度は、当事者を契約に拘束させることが不当な場合、契約の拘束力から離脱させることを目的とする。

② 債務者の帰責事由を必要とすることは、契約解除制度を債務者に対する制裁と考える見解であり、①の見解からはとりえない。

③ 旧法下の裁判実務では、債務者の帰責事由は解除の成否の判断に重要な機能を果たしていないという認識

→ 無催告解除、催告解除いずれの場合も、債務者の帰責事由 不要

3 経過措置

 施行日前に締結された契約の解除については、旧法が適用される。(附則32条)   

〇 民法542条(催告によらない解除)(平成29年改正)
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

旧542条(定期行為の履行遅滞による解除権)

 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をすることなく、直ちにその契約をすることができる。

 

旧543条(定期行為の履行遅滞による解除権)

 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。

 ただし、その債務の不履行が債権者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

1 旧法

催告が無意味な下記2つの場合に、無催告解除を定めていた。

① 定期行為の履行遅滞 旧542条

② 履行不能      旧543条

2 新法

(1)1①②を一つの条文にまとめ、更に、無催告解除となる場合を定めた。

本条1項

1号 履行全部不能

2号 債務全部の履行を拒絶する意思を明確に表示

3号 履行一部不能 → 契約全部解除

   履行一部拒絶意思明確表示 → 契約全部解除

4号 定期行為 履行遅滞

5号 1号~4号のほか、催告しても契約目的達成に足りる

   履行される見込みがないことが明白

本条2項

1号 履行一部不能 → 契約一部解除

2号 履行一部拒絶意思明確表示 → 契約一部解除

(2)債務者の帰責事由は不要である。

(3)本条1項3号には、担保責任による解除も含まれる。売買目的物の契約内容不適合で修補不能で契約目的達成できない場合における契約全部の無催告解除ができる。

〇 民法543条

債権者の責めに帰すべき事由による場合)

 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

〇 民法544条(解除権の不可分性)

1項 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。

2項 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。

〇 民法545条(解除の効果) 
1項 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2項 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3項 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4項 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
〇 民法546条(契約の解除と同時履行) 
 第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。

〇 民法547条(催告による解除権の消滅) 

 解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。

〇 民法548条(解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)
解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。
 ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない。

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)242頁

② 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)契約の解除:125頁~

③ 近江幸治 民法講義Ⅴ契約法(第4版)(2022年、成文堂)42頁

④ 中田裕康 契約法新版(2021年、有斐閣)(略称:中田)契約上の地位の移転p255、

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