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債権法改正 消滅時効(その2)生命・身体侵害による損害賠償請求権及び定期金債権の消滅時効

債権等の消滅時効<改正法>

〇 民法167条(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)

 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条(債権等の消滅時効)第1項第2号の規定の適用については、同号中「10年間」とあるのは、「20年間」とする。

 

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

不法行為による損害賠償権の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1)被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。

(2)不法行為の時から20年間行使しないとき。

 

〇 民法724条の2(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。

 

改正前の法

民法166条(消滅時効の進行等)

 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。

 

民法167条(債権の消滅時効)

 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。

 

民法724条

 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。

 不法行為の時から20年を経過したときも、同様する。

解説

1 改正前の民法は、時効期間について、生命・身体の侵害による損害賠償請求権と財産権の侵害による損害賠償請求権とで、区別していなかった。

 改正法は、 ・身体の侵害による損害賠償請求権について、主観的起算点による時効期間は5年間とし(166条1項1号)、この点については財産権の侵害による損害賠償請求権と区別しなかったが、客観的起算点による時効期間は、生命・身体が法的として要保護性が高いことに鑑み、財産権の侵害による損害賠償請求権(10年間:民法166条1項2号)よりも長くし、20年間とした(167条)。

2 生命・身体を侵害する不法行為による損害賠償請求権の時効期間について、改正前は、主観的起算点から3年、客観的起算点から20年(判例は除斥期間と解する)であったが、改正法は、主観的起算点から5年間、客観的起算点から20年間(時効期間)とした。

3 1,2より、生命・身体を侵害することによる損害賠償請求権は、債務不履行による損害賠償請求権であれ、不法行為による損害賠償請求権であれ、消滅時効期間が統一され、また、時効期間面において、被害者保護に配慮する結果となった。

 しかし、労働者が使用者に対する安全配慮義務違反(債務不不履行の法律構成)及び医療過誤に基づく生命・身体の侵害についての損害賠償請求権(債務不履行の法律構成)による損害賠償請求権は、改正前の民法(10年間)に比べ、主観的起算点からえ5年間と時効期間が短くなったといえるので、注意が必要である。

 

【参考・参照文献】

このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)71頁

経過措置

<不法行為等に関する経過措置>

 

① 旧法724条後段の20年の期間が施行日において経過している場合

  従前の例による(附則35条1項)。

② 旧法724条後段の20年の期間が施行日において経過していない場合

  改正法が適用される。

 

 不法行為に基づく生命・身体の侵害による損害賠償請求権

① 施行日において、旧724条前段の主観的起算点から3年の時効が完成している場合

  改正前の法が適用される(附則35条2項)。

② 施行日において、旧724条前段の主観的起算点から3年の時効が完成していない場合

  改正法が適用される。

 

債権一般(債務不履行による損害賠償請求権を含む)の消滅時効と、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効とを、表の形で対比してまとめましたので、下記をクリックしてご覧下さい。

定期金債権の消滅時効

【改正法

民法168条(定期金債権の消滅時効)

1項 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1)債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないとき。

(2)前号に規定する各債権を行使することができる時から20年間行使しないとき。

2項 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

 

【改正前の法】

民法168条(定期金債権の消滅時効)

1項 定期金の債権は、第1回の弁済期から20年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から10年間行使しないときも、同様とする。

2項 定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

民法169条(定期給付債権の短期消滅時効)

年又はこれより短い期間によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

 

【解説】

1  定期金の債権とは、年金債権のように、一定の金銭その他の代替物を定期に給付させることを目的とする債権(基本権)であり、各期に支払うべき個々の債権(支分権)である(我妻。有泉コンメンタール民法(2005年・日本評論社)3004頁)。

2 改正前の法は、時効期間について、基本権について第1回の弁済期から20年と定めるほか、最後の弁済期から10年間と定めていた。

 改正法168条は、主観的起算点による時効を設け、定期金債権を行使することができること(→ 認識の対象は「各債権を行使することができること」を知った時から10年間とした(1項1号)。また、客観的起算点による時効については、通常の債権の2倍程度の20年間とした(1項2号)。

3 「最後の弁済期から10年間行使しないとき」時効消滅するとする改正前の民法168条1項後段は、このような場合、基本権の消滅時効を問題にする必要はなく、支分権の消滅時効だけを問題にすればよいため、削除された。

4 定期給付債権の5年の短期消滅時効を定める改正前の民法169条は、改正法166条1項1号(5年の主観的時効期間)の規律に委ねられることになった。

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