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     後 見(その2)後見の事務

民法第4編 親族
第5章 後見

            第3節 後見の事務

〇 民法853条(財産の調査及び目録の作成)
1項 後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
2項 財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。

1  本条の趣旨

  成年後見人が職務遂行を行使する前提として、財産調査及び財産目録の作成を義務付けたものである。

2 期間

(1)原則

 後見人就職後1か月以内

(2)期間の伸長(本条1項ただし書)

 家庭裁判所の審判事項

① 成年後見人 家事事件手続法別表第一9項

② 未成年後見人    同法別表第一77項

3 後見監督人が選任されている場合における後見監督人の立会い 本条2項

〇 民法854条(財産の目録の作成前の権限)

 後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

1 本条の趣旨

 被後見人の保護するため、後見人は、急迫の必要がある行為(例 債権保全のための時効の中断行為)のみをする権限を有するものとした。

2 本条違反の効果等

(1)原則

  無権代理行為となり、被後見人に効果帰属しない。

(2)例外

  緊急の必要のない行為であっても、そのことについて第三者が善意であれば、被後見人に効果帰属しない。

〇 民法855条(後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務)

1項 後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。

2項 後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。

1 本条の趣旨

 後見人の職務の適正を図るために、後見人の財産と被後見人の財産とが混同していないことが必要であり、そのため、後見人の被後見人に対する債権及び債務が明らかにされる必要がある。

 後見人が、就職当初の義務として、成年後見監督人が選任されている場合に、成年後見監督人に対し、後見人の被後見人に対する債権及び債務を申し出る義務を定めたものである。

2 本条違反の効果 本条2項

  後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。 

〇 民法856条(被後見人が包括財産を取得した場合についての準用)

 前三条の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。

〇 民法857条(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)

 未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。

 ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

〇 民法857条の2(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)

1項 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。

2項 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。

3項 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。

4項 家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。

5項 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

〇 民法858条(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)

 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

〇 民法859条(財産の管理及び代表)

1項 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

2項 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

〇 民法859条の2(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)

1項 成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。

2項 家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。

3項 成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

〇 民法859条の3(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)

 成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

〇 民法860条(利益相反行為)

 第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

〇 民法860条(利益相反行為)

 第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

〇 民法860条の2(成年後見人による郵便物等の管理)

 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。

2 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。

3 家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。

4 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。

〇 民法860条の3

1項 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。

2項 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。

3項 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。

〇 民法861条(支出金額の予定及び後見の事務の費用)

1項 後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。

2項 後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。

〇 民法862条(後見人の報酬)

 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。

〇 民法863条(後見の事務の監督)

1項 後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。

2項 家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。

〇 民法864条(後見監督人の同意を要する行為)

 後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

 ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。

〇 民法865条

1項 後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。

2項 前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。

〇 民法866条(被後見人の財産等の譲受けの取消し)

1項 後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。

2項 前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。

〇 民法867条(未成年被後見人に代わる親権の行使)

1項 未成年後見人は、未成年被後見人に代わって親権を行う。

2項 第八百五十三条から第八百五十七条まで及び第八百六十一条から前条までの規定は、前項の場合について準用する。

〇 民法868条(財産に関する権限のみを有する未成年後見人)

 親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。

〇 民法869条(委任及び親権の規定の準用)

 第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。

成年後見開始後

 

 

成年後見開始審判が確定した時から、保護者による被保護者による保護の活動が始まる。成年後見では、保護者を「成年後見人」といい、被保護者を「成年被後見人」という。

 

【コメント】

 事案に応じて、身上監護を親族後見人に担当させ、財産管理に関する事務を専門職後見人(弁護士・司法書士等)に担当させることができる。

 

【コメント】

1 審判事項である(家事事件手続法別表第一、11項)。

2 許可を得ないでされた居住用不動産の処分は無効である。

3 例えば、成年被後見人が賃借している自宅を退去し、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム等の施設に入所する場合などに許可を求めるが如くである。

 

【コメント】

 被後見人の収入について年金の金額、支出について施設の費用、治療費・薬剤の費用、水光熱費・通信費の費用、その他の費用を把握して、毎月・毎年収支がバランスがとれているか確認することになる。年金収入が少なく、やむを得ず貯蓄を取り崩す必要がある場合も、毎月・毎年どの位赤字となり財産が減少するか把握しておく必要がある。

 

【コメント】

1 申立てがあれば、通常の場合、裁判所は、被後見人の資力に応じて、後見人の報酬を、月額○円×□(職務の期間)に応じて算定する。例えば、被後見人の誕生月に、1年間の収支報告書(通帳のコピーを添付する。必要に応じて領収書のコピーや残高証明書を添付する。)を提出して、同期間の報酬付与を申し立てる。

2 審判事項である(家事事件手続法別表第1の13項)。

3 決定に対し不服申立て(即時抗告)はできない(家事事件手続法123条で即時抗告可能な審判とされていない)。

 

コメント】

 860条の2及び860条の3は、成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成28年4月)に新設されたものである。

 成年後見人の職務は広汎であり職務を迅速かつ円滑に遂行するためには成年被後見人宛ての郵便物等の内容を適時に確認する必要がある。特に、成年後見開始の当初は、成年被後見人宛ての郵便物等により財産の所在や内容を確認する必要性が高い。しかるに、成年被後見人宛ての郵便物等を成年後見人に転送する制度はなかった。そこで、家庭裁判所による嘱託により成年被後見人宛ての郵便物等を成年後見人への配達ができるようになった。

 また、成年被後見人宛ての郵便物等には、後見事務に関係するものと関係しないものがあるが、封書であれば開披しなければ分からない。そこで、成年後見人に対し、成年被後見人宛ての郵便物等を開披して内容を確認する権限を付与した。成年後見人が成年被後見人宛ての郵便物等を開披して内容を確認することは、これまでにも必要に応じて実施されてきたところであるが、厳密にいえば成年後見人の権限に含まれるか疑問の余地も見られたので、立法化により、これまでの実務を是認した。【参考参照文献】

 赤沼康弘・池田惠理子・松井秀喜編Q&A成年後見 実務全書第4巻(平成28年、民事法研究会)1760頁

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