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賃金

賃金(法文解説)

労働基準法24条

1項 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、

 法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合(※1)

 又は

 厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合(※2)においては、

 通貨以外のもので支払い、

 また、

 法令に別段の定めがある場合(※3)

 又は

 当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合(※4)においては、

 賃金の一部を控除して支払うことができる。

2項 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

[評釈]

(1)賃金とは、使用者が労働者に対し、支払う対価である(労働契約法6条)。

(2)1項は、賃金の支払いについて、次の4原則を定めたものである。いずれも、労働者の生活の糧である賃金を、労働者の手に確実に渡り、もって労働者を保護する趣旨である。

① 通貨払いの原則

② 直接払いの原則

③ 全額払いの原則

④ 毎月1回以上定期払いの原則

(3)賃金通貨払いの原則

① 労働の対価として算定が困難であり労働者にとって換価に困る、自社商品等による現物給与を禁止する趣旨である。

② 通貨払い原則の例外

ⅰ 法令(※1)

  現在存在しない。

ⅱ 労働協約(※1)

ⅲ 厚生労働省令・・・(※2)

金融機関口座への振込みは次の条件を満たす場合に認められる(労働基準法施行規則7条の2)。

(a)通常の賃金・退職金(同1項1号)

労働者の同意、労働者が指定する金融機関の口座、振り込まれた全額が賃金支払日に金融機関から払戻しができる状態であること。

 同1項2号は、金融商品取引業者に対する労働者の預かり金への支払いの要件を定める。

(b)退職金については、次の方法も可(同2項)

労働者の同意、銀行その他の金融機関が自己宛に振り出した小切手・支払保証した小切手、郵便為替の交付

(4)賃金直接払いの原則

① 代理人に対する支払いは無効であるが、使者に対する支払いは有効である。使者に対する支払いとは、例えば、労働者が病気であるため、同人の妻に給料を受け取りにいかせることをいう。代理人に対する支払いと使者に対する支払いを区別することは難しく、使者に対する支払として有効とするには、次の諸点が指摘されている。

・ 社会通念上、労働者本人に支払うのと同一の効果を生じさせるような者(行政解釈)

・ 本人に引き渡されることが確実視される場合

・ 第三者によるピンハネ等の恐れがない場合(西谷)

② 未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代わって受け取ることができない(労働基準法59条)。

③ 労働者が賃金債権を譲渡して同債権譲渡について対抗要件を具備したとしても、同債権譲渡は有効であるが、使用者は地直接労働者に対し支払わなければならず、債権譲受人は使用者に対し請求できない(小倉電話局事件に関する最高裁判所第三小法廷昭和43年3月12日[公社職員が国家公務員等退職手当法に基づく退職手当債権を譲渡し、債権譲受人が公社に請求した事案])。

(5)賃金減額払いの原則

① 例外1:法令に別段の定めがある場合(※3)

  所得税法による所得税の源泉徴収等

② 例外2:過半数労働組合又は労働者過半数代表との書面協定(※4)③ 相殺禁止原則とその例外

ⅰ 賃金全額払いの原則には、相殺禁止の原則も含まれる(関西精機事件・最高裁判所第二小法廷昭和31年11月2日判決、日本勧業経済会事件・最高裁判所大法廷昭和36年5月31日判決)。よって、使用者が労働者に対する損害賠償請求権があるとして賃金支払義務と相殺することは許さない。

ⅱ 例外

<調整的相殺又は精算的精算>

 賃金計算の過誤のため或る時期の賃金支払いに過払いが生じた場合、次期以後の賃金支払いの際、過払い分を控除すること

 この場合、賃金計算において過払いが生じる事態は不可避であること、結論として賃金が全額支払われたことになる。

 これらの事情から、判例(福島県教組事件・最高裁判所第一小法廷昭和44年12月18日判決、群馬県教組事件・最高裁判所第二小法廷昭和45年10月30日判決)は、

相殺権行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、禁止されないとし、この見地から許容される相殺の判断基準として下記を示した。

・ 過払いのあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期にされること、

・ 予め労働者に相殺が予告されること

・ その額が多額にわたらないこと

 

③ 使用者・労働者間の合意による相殺は、賃金全額払いの原則に抵触せず、判例は、労働者の自由な意思に基づく場合には有効とする(日新製鋼事件・最高裁第二小法廷平成2年11月26日判決)。

 

 

労働基準法25条

□使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

 

労働基準法26条

□使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなない。

 

労働基準法27条

□出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

 

労働基準法28条

□ 賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによる。

[参考・参照文献]西谷敏・野田進・和田肇編「新基本法コンメンタール労働基準法・労働契約法」(2012年・日本評論社)

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