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        破産手続の開始

破産法 第2章 破産手続の開始

    第1節 破産手続開始の申立て

○ 破産法15条(破産手続開始の原因)
1項 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2項 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

1 本条は、破産手続開始の原因を定めたものである。

2 支払不能(本条1項)

 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう(破産法2条11項)。

 

支払不能の要素

① 支払能力を欠くために

② 債務のうち弁済期にあるものについて

③ 一般的・継続的に弁済することができない状態

ⅰ 一般的

  一部ではない。

  弁済できない債務が債務の全部又は大部分

ⅱ 継続的

  一時ではない

3 支払停止(本条2項)

(1)支払停止の意義

 債務者が資力欠乏のため債務の支払をすることができない旨明示的・黙示的に外部に表明する行為(判例)

例:銀行取引停止処分

(2)支払停止 → 推定 → 支払不能

(3)支払不能・支払停止の違い

支払不能:債務者の客観的状態

支払停止:外部に表明する行為

○ 破産法16条(法人の破産手続開始の原因)
1項 債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
2項 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

1 債務超過の意義

 債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。

2 法人(合名会社・合資会社を除く。)は、支払不能(破産法15条)に加えて、債務超過が破産手続開始原因となっている。

○ 破産法17条(破産手続開始の原因の推定)
債務者についての外国で開始された手続で破産手続に相当するものがある場合には、当該債務者に破産手続開始の原因となる事実があるものと推定する。
○ 破産法18条(破産手続開始の申立て)
1項 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
2項 債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

1 債権者申立てと債務者申立て(自己破産)との違い

 債権者申立てでは、債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明することが必要である(本条2項)。一般的には、予納金の額は、債権者申立てが債務者申立て(自己破産)が高い。

 

○ 破産法19条(法人の破産手続開始の申立て)
1項 次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
一 一般社団法人又は一般財団法人 理事
二 株式会社又は相互会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第五項に規定する相互会社をいう。第百五十条第六項第三号において同じ。) 取締役
三 合名会社、合資会社又は合同会社 業務を執行する社員
2項 前項各号に掲げる法人については、清算人も、破産手続開始の申立てをすることができる。
3項 前二項の規定により第一項各号に掲げる法人について破産手続開始の申立てをする場合には、理事、取締役、業務を執行する社員又は清算人の全員が破産手続開始の申立てをするときを除き、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
4項 前三項の規定は、第一項各号に掲げる法人以外の法人について準用する。
5項 法人については、その解散後であっても、残余財産の引渡し又は分配が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。

1 準自己破産

 法人としての意思決定ができない場合においても、本条1項所定の者は、破産手続開始を申し立てることができる。これを「準自己破産」という。

○ 破産法20条(破産手続開始の申立ての方式)
1項 破産手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。
2項 債権者以外の者が破産手続開始の申立てをするときは、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者一覧表を裁判所に提出しなければならない。ただし、当該申立てと同時に債権者一覧表を提出することができないときは、当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。
○ 破産法21条(破産手続開始の申立書の審査)
1項 前条第一項の書面(以下この条において「破産手続開始の申立書」という。)に同項に規定する事項が記載されていない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命ずる処分をしなければならない。
 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い破産手続開始の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
2項 前項の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3項 第一項の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
4項 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5項 裁判所は、第三項の異議の申立てがあった場合において、破産手続開始の申立書に第一項の処分において補正を命じた不備以外の不備があると認めるときは、相当の期間を定め、その期間内に当該不備を補正すべきことを命じなければならない。
6項 第一項又は前項の場合において、破産手続開始の申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、破産手続開始の申立書を却下しなければならない。
7項 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
○ 破産法21条(費用の予納)
1項 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
2 費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

    第2節 破産手続開始の決定

○ 破産法30条(破産手続開始の決定)
1項 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)
二 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
2項 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。

1 破産手続開始決定の方法

口頭弁論は必要的でない。書面審理及び審尋により行われる。

2 破産手続開始原因

3 下記①②の事由(破産障害事由)がないこと

① 破産手続費用の予納(破産法21条1項)がないこと(本条1項1号)

② 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき(本条1項2号)

【例】債務者申立て:破産手続に適切に対応するつもりがないにもかかわらず、債権者の追及を逃れるため、申し立てた。

債権者申立て:債権者が、自己の債権の回収を図るため、申立てをし、債務者に対し、支払いを条件として、申立ての取下げを提案した。

 

○ 破産法31条(破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等)
1項 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 破産債権の届出をすべき期間
二 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日
三 破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
2項 前項第一号及び第三号の規定にかかわらず、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは、同項第一号の期間並びに同項第三号の期間及び期日を定めないことができる。
3項 前項の場合において、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、第一項第一号の期間及び同項第三号の期間又は期日を定めなければならない。
4項 第一項第二号の規定にかかわらず、裁判所は、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して財産状況報告集会を招集することを相当でないと認めるときは、同号の期日を定めないことができる。
5項 第一項の場合において、知れている破産債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第四項本文及び第五項本文において準用する同条第三項第一号、第三十三条第三項本文並びに第百三十九条第三項本文の規定による破産債権者(同項本文の場合にあっては、同項本文に規定する議決権者。次条第二項において同じ。)に対する通知をせず、かつ、第百十一条、第百十二条又は第百十四条の規定により破産債権の届出をした破産債権者(以下「届出をした破産債権者」という。)を債権者集会の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。

1 本条は、裁判所が、破産手続開始決定をする場合、同時に定めなければならない事項(同時処分)を定めたものである。

① 破産管財人の選任

② 破産債権の届け期間(本条1項1号)

③ 財産状況報告集会の期日(本条1項2号

④ 破産債権の調査をするための期間又は期日(本条1項3号

2 留保型 

 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるとき

 上記②④の決定を定めないことができる(本条2項)

 

○ 破産決定書の例

【同時廃止型】

令和4年(フ)第○○○○号

 

決 定

 住所 ○○○○

 破産者 ○○ ○○

主 文

1 債務者○○ ○○につき、破産手続を開始する。

2 本件破産手続を廃止する。

理 由

 一件記録によれば、債務者が支払不能の状態にあり、かつ、破産財団をもって破産手続費用を支弁するに足りないことが認められる。

 よって、主文のとおり決定する。

 なお、この決定に併せて、下記のとおり定める。

免責についての意見申述期間

  令和4年○月○日まで

 

  令和4年○月○日

    大阪地方裁判所第6民事部

         裁判官 ○○ ○○

  これは正本である。

    令和4年○月○日

      大阪地方裁判所第6民事部

          裁判所書記官 ○○ ○○

 

 

○ 破産決定書の例

【管財型】

令和4年(フ)第○○○○号 破産事件

 

決 定

 住所 ○○○○

 破産者 ○○ ○○

主 文

1 債務者○○ ○○について、破産手続を開始する。

2 破産管財人に次の者を選任する。

   大阪市○○○○ ○○法律事務所

   弁護士 ○○ ○○

3 財産状況報告集会・廃止意見聴取集会・計算報告集会の各期日を次のとおり定める。

        令和4年○月○日午後○時○○分

4 破産者の免責について書面により意見を述べることができる期間を次のとおり定める。

        令和4年○月○日まで

5 破産管財人は、破産者について破産法252条1項各号に掲げる事由の有無及び同条2項の規定による免責許可の決定をするに当たって考慮すべき事情についての調査を行い、3の期日の1週間前の日までに書面で報告しなければならない。

6 破産管財人は、次の各行為については、当裁判所の許可を得ないでこれを行うことができる。

(1)自動車の任意売却

(2)取戻権の承認

(3)財団債権の承認

(4)有価証券の市場における時価での売却

7 破産管財人は、6の各行為について、少なくとも1か月に1回、財産目録及び収支計算書に記載し、破産管財人口座の通帳写しを裁判所に提出しなければならない。

8 破産管財人は、任務終了時に破産管財人口座を解約した後、すみやかに収支計算書及び破産管財人口座の通帳写しを裁判所に提出しなければならない。

9 信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物等を破産管財人に配達すべき旨を嘱託する。

理 由

 証拠によれば、債務者には破産法15条1項所定の破産手続開始原因となる事実があることが認められる。また、破産法30条1項各号に該当する事実があるとは認められない。

 よって、本件申立ては理由があるので主文第1項のとおり決定し、併せて破産法31条1項、2項、217条1項、135条2項、251条1項、250条1項、157条2項、78条3項2号、81条1項の規定に基づき、主文第2項から第9項のとおり決定する。

 

  令和4年○月○日午後3時

 

    大阪地方裁判所第6民事部

         裁判官 ○○ ○○

  これは正本である。

    令和4年○月○日

      大阪地方裁判所第6民事部

          裁判所書記官 ○○ ○○

 

 

【参考・参照文献】

 下記文献を参考・参照して作成しました。

① 川畑正文ほか編・はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)(平成30年 大阪弁護士協同組合)

② 川畑正文ほか編・(第3版)破産管財手続の運用と書式(2020年、新日本法規)

③ 全国倒産処理弁護士ネットワーク編・破産実務Q&A220問(2019年、金融財政事情研究会)

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