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民事執行法 強制執行法総論

民事執行法 第2章 強制執行
第1節 総則

21条 ~ 42条

○ 民事執行法22条(債務名義)
強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一 確定判決
二 仮執行の宣言を付した判決
三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
三の三 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令
四 仮執行の宣言を付した支払督促
四の二 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)、家事事件若しくは国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第二十九条に規定する子の返還に関する事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決(家事事件における裁判を含む。第二十四条において同じ。)
六の二 確定した執行決定のある仲裁判断
七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
 

1 債務名義の意義

 債務名義とは、私法上の請求権の存在及び範囲を表示した公的文書であり、法律により執行力が認められたものである(文献①48頁)。

  簡易迅速に、債権者の権利実現を図る。

→ 執行手続を判決手続から分離

→ 執行機関は、債務名義の表示のみに基づいて執行手続を開始するか否か判断する。

2 債務名義の種類(主なもの)

(1)裁判所が関与して作成されるもの

① 確定判決(本条1号)

  給付判決に限られる。

② 仮執行宣言付判決(本条2号)

  民訴法259条、仮払金返還:民訴法260条2項

③ 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(本条3号)

[例]不動産引渡命令(民執法83条1項)、家事審判(家事事件手続法75条)

④ 仮執行宣言付損害賠償命令(本条3号の2)

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律33条2項

 適法な異議が出ない場合、確定判決と同一の効力 同法34条5項 → この場合は、7号の債務名義

⑤ 仮執行宣言付届出債権支払命令(本条3号の3)

⑥ 和解調書・調停調書等の確定判決と同一の効力を有するもの(本条7号)

(2)裁判所書記官が作成するもの

① 仮執行宣言付支払督促(本条4号)

② 訴訟費用・執行費用等に関する裁判所書記官の処分(本条4号の2)

③ 確定した支払督促(本条7号)

(3)公証人が作成するもの

 執行証書(5号)

[要件]

・ 公証人が権限内において正規の方式により作成したこと

・ 金銭の一定の額の支払等を目的とする請求に関するもの

・ 執行受諾文言

 

 

 

○ 民事執行法23条(強制執行をすることができる者の範囲)
1項 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
一 債務名義に表示された当事者
二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては口頭弁論終結後の承継人、同条第三号の二に掲げる債務名義又は同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令に係るものにあつては審理終結後の承継人)
2項 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
3項 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。
○ 民事執行法24条(外国裁判所の判決の執行判決)
1項 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(家事事件における裁判に係るものにあつては、家庭裁判所。以下この項において同じ。)が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2項 前項に規定する地方裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が家庭裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。
3項 第一項に規定する家庭裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が地方裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。
4項 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
5項 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号(家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第七十九条の二において準用する場合を含む。)に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。
6項 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。
 
○ 民事執行法25条(強制執行の実施)
強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。
ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
○ 民事執行法26条(執行文の付与)
1項 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2項 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
 

1 執行文の意義(平野70頁)

 債務名義の執行力の現存を公的に証明する文書。

 債務名義が有効であるか、債務名義に付されていた条件が成就したか、債務名義に表示された者以外の者のために執行できるか、等実体的な判断が必要である。その判断を執行機関に委ねると、簡易迅速に執行が行えない。

→ 執行機関以外の、裁判所書記官や公証人に審査させることにした。

 

 執行文が付記された債務名義を「執行正本」という。

2 執行文が不要な場合

 簡易迅速な執行を認める必要性が特に高い債務名義については、執行文は不要とされている。

[例]

・ 少額訴訟の確定判決・仮執行宣言付判決(民訴374条、376条、民執法25条ただし書)

・ 仮執行宣言付支払督促(民訴391条、民執法25条ただし書)

4 執行文付与機関

① 執行証書 原本を保存する公証人

② ①以外  事件の記録の存在する裁判所の裁判所書記官

5 執行文付与の手続

(1)申立て

   書面 民執規16条1項

   確定証明書が必要である場合 民執規16条2項

(2)付与の方法

債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法 民執法26条2項

 

○ 民事執行法27条
1項 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
2項 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
3項 執行文は、債務名義について次に掲げる事由のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく不動産の引渡し又は明渡しの強制執行をする前に当該不動産を占有する者を特定することを困難とする特別の事情がある場合において、債権者がこれらを証する文書を提出したときに限り、債務者を特定しないで、付与することができる。
一 債務名義が不動産の引渡し又は明渡しの請求権を表示したものであり、これを本案とする占有移転禁止の仮処分命令(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第二十五条の二第一項に規定する占有移転禁止の仮処分命令をいう。)が執行され、かつ、同法第六十二条第一項の規定により当該不動産を占有する者に対して当該債務名義に基づく引渡し又は明渡しの強制執行をすることができるものであること。
二 債務名義が強制競売の手続(担保権の実行としての競売の手続を含む。以下この号において同じ。)における第八十三条第一項本文(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令(以下「引渡命令」という。)であり、当該強制競売の手続において当該引渡命令の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの保全処分及び公示保全処分(第五十五条第一項に規定する公示保全処分をいう。以下この項において同じ。)が執行され、かつ、第八十三条の二第一項(第百八十七条第五項又は第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により当該不動産を占有する者に対して当該引渡命令に基づく引渡しの強制執行をすることができるものであること。
イ 第五十五条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
ロ 第七十七条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
ハ 第百八十七条第一項に規定する保全処分又は公示保全処分(第五十五条第一項第三号に掲げるものに限る。)
4項 前項の執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行は、当該執行文の付与の日から四週間を経過する前であつて、当該強制執行において不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができる場合に限り、することができる。
5項 第三項の規定により付与された執行文については、前項の規定により当該執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行がされたときは、当該強制執行によつて当該不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。
 

1 執行文の種類(平野71頁)

① 単純執行文

債務名義の内容について表示どおりの執行力を認める執行文

② 事実到来・条件成就執行文 民執法27条1項

債務名義に停止条件や不確定期限が付されている等、請求が債権者の証明すべき事実の到来にかかっている場合、執行文付与期間がその事実の到来を確認して作成する執行文

③ 承継執行文 民執法27条2項

 債務名義に表示された請求権について権利・義務の承継があった場合、執行文付与期間が承継を確認して、債務名義に表示された債権者・債務者以外の者に執行力が及ぶことを認める執行文

④ 債務者不特定執行文 民執法27条3項 

○ 民事執行法28条(執行文の再度付与等)
1項 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
2項 前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本を更に交付する場合について準用する。
 

① 数通付与 民執法28条1項

 債務者の複数財産に同時に強制執行する場合

② 再度付与 民執法28条2項

  執行正本が滅失した場合

○ 民事執行法29条(債務名義等の送達)
強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。
 
○ 民事執行法30条(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
1項 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。
2項 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。
○ 民事執行法31条(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
1項 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。
2項 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。
○ 民事執行法32条(執行文の付与等に関する異議の申立て)
1項 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
2項 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
3項 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
4項 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5項 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。
 
○ 民事執行法33条(執行文付与の訴え)
1項 第三十三条 第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
2項 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
一 第二十二条第一号から第三号まで、第六号又は第六号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち次号、第一号の三及び第六号に掲げるもの以外のもの 第一審裁判所
一の二 第二十二条第三号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令並びに損害賠償命令事件に関する手続における和解及び請求の認諾に係るもの 損害賠償命令事件が係属していた地方裁判所
一の三 第二十二条第三号の三に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち届出債権支払命令並びに簡易確定手続における届出債権の認否及び和解に係るもの 簡易確定手続が係属していた地方裁判所
二 第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの 仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
三 第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促の申立てによるもの 当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条(同法第四百二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所
四 第二十二条第四号の二に掲げる債務名義 同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所
五 第二十二条第五号に掲げる債務名義 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
六 第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの(第一号の二及び第一号の三に掲げるものを除く。) 和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所
 
○ 民事執行法34条(執行文付与に対する異議の訴え)
第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
3 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

○ 民事執行法35条(請求異議の訴え)

1項 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。

2項 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。

3項 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

○ 民事執行法36条(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
1項 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
2項 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3項 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
4項 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
5項 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

○ 民事執行法37条(終局判決における執行停止の裁判等)

1項 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。

2項 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

○ 民事執行法38条(第三者異議の訴え)
1項 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
2項 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
3項 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
4項 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。
○ 民事執行法39条(強制執行の停止)
1項 強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
二 債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本
三 第二十二条第二号から第四号の二までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法(平成十六年法律第四十五号)第二十一条第四項の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第二十条第七項の調書の正本
五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
2項 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。
3項 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。
 
○ 民事執行法40条(執行処分の取消し)
1項 前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
2 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。
○ 民事執行法41条(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
1項 強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。
2項 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。
3項 民事訴訟法第三十五条第二項及び第三項の規定は、前項の特別代理人について準用する。
○ 民事執行法42条(執行費用の負担)
1項 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
2項 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
3項 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾、調停若しくは労働審判の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
4項 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。
5項 前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
6項 執行裁判所は、第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
7項 第五項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
8項 第四項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
9項 民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、第四項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第五項、第七項及び前項並びに同条第三項の規定を準用する。

【参照・参考文献】

下記文献を参照・参考して、作成しました。

平野哲郎 実践民事執行法民事保全法(第3版)(2020、日本評論社)略称「平野」

③ 東京弁護士会法友会編Q&A改正民事執行法の実務(令和2年、ぎょうせい)

 

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