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破産申立ての実務

財産評価の問題

財産評価1 不動産

1 不動産に抵当権等の担保権が設定されている場合、被担保債権額>不動産の価格 の場合、一般債権者に配当される余地はなく、破産手続において資産とは扱われない。この状態をオーバーローンという。

 破産財団に不動産が含まれる場合、裁判所が「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」(破産法216条1項)という同時廃止手続の要件を満たさないと一般的にいえるため、管財事件として取り扱われる。

 これに対し、破産財団の不動産が含まれる場合であっても、不動産の評価からオーバーローンといえる場合、当該不動産には資産性があるとは取り扱われず、(不動産に関しては※)同時廃止事件として取り扱われる。

 

※ それ以外の資産との関係で、同時廃止事件ではなく、管財事件として取り扱われることがある。

 

2 大阪地裁の基準(文献①35頁、46頁)

 下記基準1又は下記基準2を満たす場合、不動産は、オーバーローンといえる。

【基準1】被担保債権の残額>固定資産税評価額×2倍

【基準2】

固定資産税評価額×2倍>被担保債権の残額>固定資産税評価額×1.5倍

       &

被担保債権の残額>査定書の評価額×1.5

 

(例①)被担保債権の残額2000万円

    固定資産税評価額800万円

2000万円>800万円×2 

→ 【基準1】を満たすので、オーバーローン物件である。

(例②)被担保債権の残額2000万円

    固定資産税評価額1100万円

  1100万円×2>2000万円>1100万円×1.5

(例②-1)

  査定書の金額1200万円

  2000万円>1200万円×1.5(=1800万円)

→ 【基準2】を満たすので、オーバーローン物件である。(例②-2)

  査定書の金額1400万円

  2000万円<1400万円×1.5(=2100万円)

→ 【基準2】を満たすので、オーバーローン物件である。→ 【基準2】を満たさないので、オーバーローン物件ではない。

 

 上記査定書とは、不動産の時価に関する査定書であり、通常、不動産業者が作成する。原則として1社で足りる。

財産評価2 退職金(文献①46頁、文献②77頁、162頁)

1 破産手続開始時に退職したと仮定して、支払われる退職金額の1/8と評価するのが原則である。※1,2

 

※1 なぜ、1/8と評価するのか?

退職金の3/4は差押禁止債権(民事執行法152条)

→ 破産財団を構成するのは、1/4

→ 下記不確定要素を考慮

  現実に退職するまでの間に、

① 労働者は懲戒解雇され、退職金が0円となるリスク

② 勤務先が倒産するリスク

 

1/4×1/2(上記リスク)=1/8

 

※2 ※1の考え方より、退職金支払いの時期が近い場合や

勤務先が倒産するリスクが小さい場合(公務員等)は、1/8ではなく、1/4或いは1/4~1/8の範囲内で決定される。

2 使用者からの借入金があれば相殺して計算する。

3 勤務期間が5年以上の場合、申立ての際、退職金額が算定できる資料(退職金規程等)を裁判所に提出する必要がある(原則)。

 上記資料を提出することができない場合や勤務先に破産する旨が知られると解雇されるおそれがある場合等には、提出が免除される場合がある。この点については、まずは、事情を説明した上、裁判所に相談する必要がある。

【例】退職金見込み額 300万円、使用者からの借入金30万円

 

(300万円-30万円)×1/8=33万7500円

 

 

財産評価3 自動車(文献①47頁)

1 日本製普通自動車

  次の場合は、資産性がないものとして取り扱われる。

① 初年度登録から7年超 & 新車時の車両本体価格300万円未満

② 軽自動車、商用車

  初年度登録から5年超

 

財産評価4 電話加入権

 最近はその価値が認められなくなっていることから、財産評価されなくなった。文献②53頁 

破産免責手続の費用

文献①27頁、文献②350頁

1 破産免責の費用の分類

(1)破産者が破産免責手続を弁護士に委任(依頼)する場合における弁護士費用

 破産免責手続は、弁護士に委任することなく本人が独力で行うことができますが、専門的な知識及び経験を要する事項も多いため、弁護士に委任することが無難といえます。

 これは、いわば自分の弁護士に支払う弁護士費用で、その内訳は弁護士報酬及び実費です。

(2)管財事件の手続費用

 同時廃止事件は(1)の自分の弁護士に支払う弁護士費用だけで足りますが、管財事件は次の手続費用も必要となります。以下、弁護士代理による申立て事件についての、大阪地方裁判所の運用(目安)を紹介します。

① 引継予納金

 破産管財人の活動(破産管財人報酬を含む。)に充てられます。

ⅰ 申立人が法人である場合

a 債権者数 1~99人

  最低 20万円

b 債権者数 100~199人

  最低 50万円

c 債権者数 200人超

  最低 100万円

ⅱ 申立人が個人である場合

a 債権者数 1~99人

  最低 20万円

b 債権者数 100~199人

  最低 30万円

c 債権者数 200人超

  最低 50万円

 

② 郵券代替分引継予納金

 破産管財人が事務処理を遂行するに必要な通信費に充てられます。

 a 債権者数 1~50人

  5000円

b 債権者数 51~60人

  6000円

c 債権者数 61人超

  10人増加する毎に1000円ずつ増加

 

③ 裁判所予納金

 裁判所が破産手続を公告するための官報掲載料に充てられます。

ⅰ 法人

  1万4786円

ⅱ 個人

  1万5499円

 

 但し、賃貸人に返還すべき賃借物件の明渡し(原状回復を含む)が未了である場合、破産管財人の業務が増加することから、上記金額より増額されます。

(3)法人併存型の場合(文献①5頁)

 個人事業主が法人成りした会社であり、会社代表者が会社の債務を連帯保証している事案では、会社が破産状態である場合、会社代表者も破産状態であることが多い。

 この場合、大阪地方裁判所の運用では、会社・代表者一方だけではなく、双方について破産申立てが推奨されている。

 このような会社の場合、会社の資産と代表者個人の資産の区別がはっきりしておらず、混同されているおそれがあることから、会社・代表者個人とも、破産管財人による調査が債権者保護や手続的正義の観点から望まれるからである。

 引継予納金については、次のとおり取り扱われる。

① 会社事件、代表者個人事件の申立て時期が別であり、時期が近接していない場合

 会社の債権者、代表者個人の債権者がともに30人である場合を例とすると、会社事件で最低20万円、代表者個人事件で最低20万円の引継予納金が必要である。

② 会社事件、代表者個人事件の申立てが同時又は近接している場合【法人併存型】

 下記ⅰⅱのパターンがある。

ⅰ 基本事件:会社、付加事件:代表者個人

ⅱ 基本事件:代表者個人、付加事件:会社

 

 債権者数が100人未満であり、付加事件の債務者に財産がなく、基本事件の債務者と同視できる場合、裁判所予納金(官報公告費用)及び郵券代替分引継予納金は、基本事件、付加事件ともに必要があるが、引継予納金は基本事件分だけで足りる。

 ①で記載した例によると、引継予納金は最低20万円ということになる。

【参考・参照文献】

下記文献を参考・参照して作成しました。

① 川畑正文ほか編・はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)(平成30年 大阪弁護士協同組合)

② 川畑正文ほか編・(第3版)破産管財手続の運用と書式(2020年、新日本法規)

③ 全国倒産処理弁護士ネットワーク編・破産実務Q&A220問(2019年、金融財政事情研究会)

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