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取消訴訟以外の抗告訴訟

〇 行訴法38条(取消訴訟に関する規定の準用) 

1項 第11条から第13条まで(被告適格等、裁判管轄、関連請求に係る訴訟の移行)、第16条から第19条まで(請求の客観的併合、共同訴訟、第三者による請求の追加的併合、原告による請求の追加的併合)、第21条から第23条まで(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更、第三者の訴訟参加、行政庁の訴訟参加)、第24条(職権証拠調べ)、第33条及び第35条の規定(取消訴訟の判決、第三者の再審の訴え、訴訟費用の裁判の効力)は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

行政事件訴訟法
第二章 抗告訴訟
第二節 その他の抗告訴訟

無効等確認訴訟

〇 行政事件訴訟法36条(無効等確認の訴えの原告適格) 

 無効等確認の訴えは、【①】当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者【②】その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、【③】当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。

〇 行政事件訴訟法38条(取消訴訟に関する規定の準用) 

1項 第11条から第13条まで(被告適格等、裁判管轄、関連請求に係る訴訟の移行)、第16条から第19条まで(請求の客観的併合、共同訴訟、第三者による請求の追加的併合、原告による請求の追加的併合)、第21条から第23条まで(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更、第三者の訴訟参加、行政庁の訴訟参加)、第24条(職権証拠調べ)、第33条及び第35条の規定(取消訴訟の判決、第三者の再審の訴え、訴訟費用の裁判の効力)は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

2項 第10条第2項(原処分主義)の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第20条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。

3項 第23条の2(釈明処分の特則)、第25条から第29条まで(執行停止、事情変更による執行停止の取消し、内閣総理大臣の異議、執行停止等の管轄裁判所、執行停止に関する規定の準用)及び第32条第2項の規定(取消判決等の効力)は、無効等確認の訴えについて準用する。

1 取消訴訟と無効等確認訴訟

(1)取消訴訟

① 公定力

② 出訴期間・不可争力

(2)無効確認訴訟

① 処分等に重大かつ明白な瑕疵がある→処分等は無効

② 出訴期間・不可争力なし

2 訴訟要件

① 処分性

  対象:処分又は裁決(行政事件訴訟法3条4項)

  取消訴訟と同じ。

② 原告適格

  法律上の利益を有する者(行政事件訴訟法36条)

  取消訴訟と同じ。

  もんじゅ訴訟最判平成4年9月22日

③ 訴えの利益

④ 一元説と二元説 

【③】「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」(行政事件訴訟法36条)

【一元説】

【①】【②】【③】をセットで捉える。         

【①】【③】

【②】【③】

(理由)

文理解釈(読点の位置)

【①】その他【②】で、【③】に限る」という条文の構造

 

【二元説】

【①】【②】【③】を切り離して捉える。

【①】

【②】【③】

 

(理由)

 後続処分によって損害を受けるおそれがある場合には、直ちに、無効確認訴訟を認めるべき(文献⑤93頁)。

 

 立案者の見解であり、最高裁判所は、二元説と同様の結論でである。すなわち、後続処分によって損害を受けるおそれがあれば(例:無効な課税処分→滞納処分)、直ちに、無効等確認訴訟を認めてよい。最判昭和51年4月27日は【③】に言及することなく、認める。

⑤ 補充性

 「目的を達することができないもの」の意義

 無効等確認訴訟が「より直裁的で適切な争訟形態」といえるか。最判昭和62年4月17日(換地処分(土地改良事業)無効確認請求事件)

不作為の違法確認訴訟

〇 行政事件訴訟法3条5項 

 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

〇 行政事件訴訟法37条

 (不作為の違法確認の訴えの原告適格) 

 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。

 

〇 行政事件訴訟法38条(取消訴訟に関する規定の準用) 

1項 第11条から第13条まで(被告適格等、裁判管轄、関連請求に係る訴訟の移行)、第16条から第19条まで(請求の客観的併合、共同訴訟、第三者による請求の追加的併合、原告による請求の追加的併合)、第21条から第23条まで(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更、第三者の訴訟参加、行政庁の訴訟参加)、第24条(職権証拠調べ)、第33条及び第35条の規定(取消訴訟の判決、第三者の再審の訴え、訴訟費用の裁判の効力)は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

2項 第10条第2項(原処分主義)の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第20条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。

3項 第23条の2(釈明処分の特則)、第25条から第29条まで(執行停止、事情変更による執行停止の取消し、内閣総理大臣の異議、執行停止等の管轄裁判所、執行停止に関する規定の準用)及び第32条第2項の規定(取消判決等の効力)は、無効等確認の訴えについて準用する。

4項 第八条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)及び第十条第二項(管轄)の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。

 1 不作為の違法確認訴訟

  行政庁が申請に対し相当期間内に何らの処分もしない。

→ 取消訴訟は提起できない。

→ 不作為の違法確認訴訟

  行政事件訴訟法3条5項

(例)建築確認(建築基準法6条1項)を申請した、or営業許可を申請したが、待てども何らの回答を受けていない。  

2 訴訟要件

① 処分性 行訴法3条5項

② 原告適格 行訴法37条

  法令に基づく申請(申請権)をしたこと

③ 訴えの利益

  当該処分がされた場合には、訴えの利益が失われる。

義務付け訴訟

〇 行政事件訴訟法3条6項 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く)【非申請型義務付け訴訟】

二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべであるにかかわらずこれがされないとき。【申請型義務付け訴訟】

(義務付けの訴えの要件等)
○ 行訴法37条の2 
1項 第三条第六項第一号(非申請型)に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
2項 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3項 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4項 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5項 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
 
○ 行訴法37条の3
1項 第三条第六項第二号【申請型】に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。【不作為型】
二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。【拒否処分型】
2項 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
3項 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4項 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
5項 義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、
各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、
かつ、
その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ
又は
行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、
裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
6項 第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
7項 第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。

1 意義

  無名抗告訴訟として認められるが争いがあったが、平成16年(2004年)で新設された。

2 類型

一号 非申請型

(例)隣地上の建物が違法建築であるが、特定行政庁が当該建物について除却命令等(建築基準法9条1項)を出さない場合

二号 申請型

(例)建築主が建築確認(建築基準法6条1項)

3 非申請型

(1)訴訟要件

① 原告適格 行訴法37条の2第3項第4項

② 一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること 行訴法37条の2第1項2項

③ その損害を避けるため他に適当な方法がないとき(補充性)

 行訴法37条の2第1項第2項

 

救済の必要性が高い場合に限定して非申請型の義務付け訴訟を認める趣旨であるが、ハードルが高い。

申請型と異なり、原告に法令に基づく申請権がないことを考慮して、申請型と比べて、原告に厳しい訴訟要件が課せられている(文献⑥)。

(2)審理・判断

<認容要件>

行政庁が当該処分をすべき義務があること

               行訴法37条の2第5

4 申請型

(1)訴訟要件

① 原告適格 行訴法37条の3第2

  原告が申請権に基づく申請をしたこと。

② 訴訟の併合提起 行訴法37条の3第3項、なお4項

 不作為の違法確認判決又は取消判決は直ちになしうるという場合に判決をすることにより、紛争を迅速に解決する。

ⅰ 不作為型

  不作為の違法確認訴訟

ⅱ 拒否処分型

  取消訴訟又は無効確認訴訟

(2)審理・判断

<認容要件>

① 併合提起された訴訟について、理由があること

② 行政庁に処分・裁決をする義務があること

               行訴法37条の3第5

併合提起された訴訟についてのみ終局判決をすることによる解決 行訴法37条の3第6

差止め訴訟

〇 行訴法3条7項 

 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

〇 行訴法37条の4(差止めの訴えの要件) 

1項 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。

2項 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。

3項 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

4項 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。

5項 差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。

 1 意義

  処分後、処分に対する取消訴訟

but 処分がされると、重大な損害を受けるおそれ

  → 処分前、処分の差止めを求める訴訟 

2 平成16年行訴法改正前

 無名抗告訴訟として認められるか、認められるとしてその要件如何が議論された。

 長野勤評事件・最判昭和47年11月30日

3 訴訟要件

(1)「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合」(3条7項、37条の4第1項)

① 対象 処分or裁決

     権力的事実行為を含む。

② 一定性

③ 蓋然性 されようとしている

④ 処分又は裁決がされた場合

 ⅰ 訴えの利益は消滅

 ⅱ 取消訴訟による。

(2)重大な損害

 「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」(37条の4第1項)

 東京都教職員国旗国歌訴訟・最判平成24年2月9日

 処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要する。

 本件では、この要件を満たすとした。

(3)補充性

 「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」でないこと(37条の4第1項)

(4)原告適格

 「行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者(37条の4第3項)

 法律上の利益の有無の判断方法:9条2項準用(37条の4第4

4 判例

 東京都教職員国旗国歌訴訟・最判平成24年2月9日

 

 

  

判決

 

【参考・参照文献】

 このページは、以下の文献を参考・参照して作成しました。

① 宇賀克也・行政法(2012年、有斐閣)頁

② 村上裕章・スタンダード行政法第18回(法学教室480号59頁)

  村上裕章・スタンダード行政法第19回(法学教室481号38頁)

③ 橋本博之・現代行政法(2017年、岩波書店)207頁

④ 中原茂樹 基本行政法(第2版)(2015年、日本評論社)358頁

⑤ 大橋真由美・講座行政法教室第19回仮の救済・無効等確認訴訟(法学教室505号88頁)

⑥ 正木宏長・講座行政法教室第20回様々な抗告訴訟(法学教室506号76頁)

 

 

【参考・参照文献】

 このページは、以下の文献を参考・参照して作成しました。

① 宇賀克也・行政法(2012年、有斐閣)頁

② 村上裕章・スタンダード行政法第回(法学教室475号78頁)

③ 村上裕章・スタンダード行政法第17回「取消訴訟の審理と判決」(法学教室479号73頁)

④ 藤田宙靖(新版)行政法総論(下巻)24頁

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