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住宅資金貸付債権に関する特則

民事再生法 第10章 住宅資金貸付債権に関する特則

1 住宅ローンが付いている自宅土地建物(マンションを含む)は、債務者が破産手続を選択すれば、破産管財人による任意売却又は担保不動産競売により、債務者は自宅を失ってしまう。

 個人再生手続であっても、再生計画案が裁判所より認可され、この点においては成功に終わっても、住宅ローンも債権カットされてしまうと、住宅ローンに係る債権者は住宅に設定されている担保権(抵当権、根抵当権)を実行するため、債務者・所有者は結局、自宅を失ってしまう。 

 民事再生法は、主に、個人再生手続を想定して、住宅ローンを他の債権とは特別扱いして、(従前どおり)支払い自宅を維持しながら、民事再生手続を遂行する方法を認めた。

〇 民事再生法196条(定義)
 この章、第十二章及び第十三章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 住宅 
 個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。
二 住宅の敷地 
 住宅の用に供されている土地又は当該土地に設定されている地上権をいう。
三 住宅資金貸付債権
 住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、
当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。
四 住宅資金特別条項
 再生債権者の有する住宅資金貸付債権の全部又は一部を、第百九十九条第一項から第四項までの規定するところにより変更する再生計画の条項をいう。
五 住宅資金貸付契約
 住宅資金貸付債権に係る資金の貸付契約をいう。

1  住宅資金特別条項を定める要件(文献①94頁)

① 住宅(本条1号)

ⅰ 住宅資金貸付債権を担保する目的となっている建物が「住宅」に当たること

 工場用建物 ×

 収益物件(賃貸アパート) ×

ⅱ 店舗兼住宅等

  床面積の1/2以上が専ら自己の住居の用に供されるもの

ⅲ 

 

ⅳ 現実に自己の居住用に供していることまでは要件ではなく、供する建物であれば足りる。

② 住宅の敷地(本条2号)

  所有権又は地上権 

③ 住宅資金貸付債権(本条3号)に当たること。

ⅰ 住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権

であって、

ⅱa 当該債権
 b 当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に
  限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に
  対する求償権
a又bを担保するための抵当権が住宅に設定されているもの
 
但し、ⅱaについて、住宅ローン債権者を巻戻し(民事再生法204条)に伴う不安定な地位にいつまでも置いておけないため、民事再生法198条2項の制限がある。

④ 下記に該当しないこと(文献①94頁)

ⅰ 再生債権が住宅資金貸付債権を有する者に法定代位した再生債権者(保証会社を除く。)が当該代位により取得したものである場合 198条1項本文かっこ書

(理由)この場合、住宅資金貸付債権について住宅資金特別条項により弁済期限の繰延べを認めると、保証人等の利益を不当に害するおそれがあるため。

ⅱ 住宅に、住宅資金貸付債権を担保するための抵当権(根抵当権も含まれるが、被担保債権に住宅資金貸付債権以外の債権が含まれていない場合に限られる。)以外に53条1項に規定する担保権が存するとき 198条1項ただし書

(理由)当該担保権は、別除権として再生手続外で実行することができ(53条2項)、この場合、債務者は、住宅を失ってしまい、住宅資金特別条項を定める意味がないため。

ⅲ 住宅以外の不動産にも住宅資金貸付債権を担保するための抵当権が設定されている場合において、当該不動産に後順位の法53条1項に規定する担保権が存する場合 198条1項ただし書

(理由)当該後順位担保権者の利益(392条2項)を保護するため。

2 金融機関との事前協議

  文献①103頁、188頁

〇 民事再生法197条(抵当権の実行手続の中止命令等)
1項 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている前条第三号に規定する抵当権の実行手続の中止を命ずることができる。
2項 第三十一条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による中止の命令について準用する。
3項 裁判所は、再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

〇 民事再生法198条(住宅資金特別条項を定めることができる場合等)

1項 住宅資金貸付債権(民法第四百九十九条の規定により住宅資金貸付債権を有する者に代位した再生債権者(弁済をするについて正当な利益を有していた者に限る。)が当該代位により有するものを除く。)については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。

 ただし、住宅の上に第五十三条第一項に規定する担保権(第百九十六条第三号に規定する抵当権を除く。)が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に同項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。

2項 保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

3項 第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者又は第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者が数人あるときは、その全員を対象として住宅資金特別条項を定めなければならない。

3項 (例)住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と銀行が住宅資金貸付債権を有する場合

〇 民事再生法199条(住宅資金特別条項の内容)

1項 住宅資金特別条項においては、次項又は第三項に規定する場合を除き、次の各号に掲げる債権について、それぞれ当該各号に定める内容を定める。

一 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを除く。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息(住宅資金貸付契約において定められた約定利率による利息をいう。以下この条において同じ。)並びに再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償 その全額を、再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定める弁済期間(当該期間が五年を超える場合にあっては、再生計画認可の決定の確定から五年。第三項において「一般弁済期間」という。)内に支払うこと。

二 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来しない住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを含む。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息 住宅資金貸付契約における債務の不履行がない場合についての弁済の時期及び額に関する約定に従って支払うこと。

2項 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、住宅資金特別条項において、住宅資金貸付債権に係る債務の弁済期を住宅資金貸付契約において定められた最終の弁済期(以下この項及び第四項において「約定最終弁済期」という。)から後の日に定めることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。

一 次に掲げる債権について、その全額を支払うものであること。

イ 住宅資金貸付債権の元本及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息

ロ 再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償

二 住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期が約定最終弁済期から十年を超えず、かつ、住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期における再生債務者の年齢が七十歳を超えないものであること。

三 第一号イに掲げる債権については、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。

3項 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、一般弁済期間の範囲内で定める期間(以下この項において「元本猶予期間」という。)中は、住宅資金貸付債権の元本の一部及び住宅資金貸付債権の元本に対する元本猶予期間中の住宅約定利息のみを支払うものとすることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。

一 前項第一号及び第二号に掲げる要件があること。

二 前項第一号イに掲げる債権についての元本猶予期間を経過した後の弁済期及び弁済額の定めについては、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。

4項 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者の同意がある場合には、前三項の規定にかかわらず、約定最終弁済期から十年を超えて住宅資金貸付債権に係る債務の期限を猶予することその他前三項に規定する変更以外の変更をすることを内容とする住宅資金特別条項を定めることができる。

5項 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第百五十五条第一項の規定を、住宅資金特別条項については同条第三項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者については第百六十条及び第百六十五条第二項の規定を適用しない。

1 住宅資金特別条項の内容(文献①98頁)

① 期限の利益喪失型 199条1項

従前の約定どおり支払う型であり、これが原則型である。そのまま型、正常型ともいわれる。

 現実の申立てでは、住宅ローンについては遅滞なく支払っている例が多い(文献①103頁)。 

② 弁済期間延長(リスケジュール)型  199条2項

期限の利益喪失型では対応できない場合、 

期限の利益の回復 + 弁済期間の延長 ※

 

※ 約定最終弁済期から10年以内で、変更後最終弁済期における債務者の年齢が70歳を超えない。

③ 元本猶予期間併用型 199条3項

弁済期間延長型で対応できない場合場合

期限の利益の回復 + 弁済期間の延長 ※

+ 弁済期間のうち一部(元本猶予期間)

   元本の一部及び利息のみを支払う。

  元本猶予期間後

   残元本、利息・損害金を支払う。

 

※ ②と同じ要件

④ 同意型

  ①②③には当てはまらない。

  債権者の同意を得られれば、元本・利息の減免、

  民事再生法所定の要件を満たさない弁済猶予期間の設定等

 

2 住宅資金貸付債権者(住宅ローン債権者)との事前協議

 申立て段階で、事前協議の経過及び予定している住宅資金特別条項の内容等を裁判所に報告する。

3 手続開始決定後、住宅ローンにつき期限の利益を喪失しないようにするため、裁判所の許可(民事再生法197条3項)を得たうえ住宅ローンの支払いを継続することとなる。

4 裁判所に提出する疎明資料(文献①188頁)

① 住宅ローンの金銭消費貸借契約書

② 住宅ローンの償還表

③ 住宅の不動産登記事項証明書

  

○ 民事再生法200条(住宅資金特別条項を定めた再生計画案の提出等)
1項 住宅資金特別条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。
2項 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める時までに届出再生債権者が再生債権の調査において第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権の内容について述べた異議は、それぞれその時においてその効力を失う。ただし、これらの時までに、当該異議に係る再生債権の確定手続が終了していない場合に限る。
一 いずれの届出再生債権者も裁判所の定めた期間又はその伸長した期間内に住宅資金特別条項の定めのない再生計画案を提出しなかったとき 当該期間が満了した時
二 届出再生債権者が提出した住宅資金特別条項の定めのない再生計画案が決議に付されず、住宅資金特別条項を定めた再生計画案のみが決議に付されたとき 第百六十七条ただし書に規定する決定がされた時
三 住宅資金特別条項を定めた再生計画案及び届出再生債権者が提出した住宅資金特別条項の定めのない再生計画案が共に決議に付され、住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決されたとき 当該可決がされた時
3項 前項の規定により同項本文の異議が効力を失った場合には、当該住宅資金貸付債権については、第百四条第一項及び第三項の規定は、適用しない。
4項 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、第二項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める時までに第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者であって当該住宅資金貸付債権以外に再生債権を有しないもの又は保証会社であって住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権以外に再生債権を有しないものが再生債権の調査において述べた異議についても、第二項と同様とする。この場合においては、当該異議を述べた者には、第百四条第三項及び第百八十条第二項の規定による確定判決と同一の効力は、及ばない。
5項 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、第二項第一号又は第二号のいずれかに該当することとなったときは、前項前段に規定する再生債権者又は保証会社は、第百七十条第一項本文の異議を述べることができない。
○ 民事再生法201条(住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議等) 
住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議においては、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者及び保証会社は、住宅資金貸付債権又は住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権については、議決権を有しない。
2 住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出されたときは、裁判所は、当該住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者の意見を聴かなければならない。第百六十七条の規定による修正(再生計画案の修正)(その修正が、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者に不利な影響を及ぼさないことが明らかな場合を除く。)があった場合における修正後の住宅資金特別条項を定めた再生計画案についても、同様とする。
3 住宅資金特別条項を定めた再生計画案に対する第百六十九条第一項の規定の適用については、同項第三号中「第百七十四条第二項各号(第三号を除く。)」とあるのは、「第二百二条第二項各号(第四号を除く。)」とする。

1 

○ 民事再生法202条 (住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可又は不認可の決定等)
1項 住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決された場合には、裁判所は、次項の場合を除き、再生計画認可の決定をする。
2項 裁判所は、住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決された場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、再生計画不認可の決定をする。
一 第百七十四条第二項第一号又は第四号に規定する事由があるとき。
二 再生計画が遂行可能であると認めることができないとき。
三 再生債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき。
四 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
3項 住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者は、再生債権の届出をしていない場合であっても、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を認可すべきかどうかについて、意見を述べることができる。
4項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可又は不認可の決定があったときは、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者で再生債権の届出をしていないものに対しても、その主文及び理由の要旨を記載した書面を送達しなければならない。
5項 住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決された場合には、第百七十四条第一項及び第二項の規定は、適用しない。

1 認可要件

【A】住宅資金特別条項を定めた再生計画案

再生計画が遂行可能であると認めることができること(積極的要件)民事再生法202条2項2号(小)、241条2項1号(給

【B】住宅資金特別条項の定めがない再生計画案

「再生計画が遂行される見込みがないとき」に当たらないこと(消極的要件)民事再生法174条2項2号(小)、241条2項1号(給

 

【A】が【B】よりも、認可の基準が厳しいといえる。

この点に関して、住宅資金貸付債権者が裁判所に対し履行可能性について否定的な意見を提出した場合は、裁判所が不認可決定をする場合もあり得る。

○ 民事再生法203条(住宅資金特別条項を定めた再生計画の効力等)
1項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、第百七十七条第二項の規定は、
住宅及び住宅の敷地に設定されている第百九十六条第三号に規定する抵当権並びに住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利については、適用しない。
 この場合において、再生債務者が連帯債務者の一人であるときは、住宅資金特別条項による期限の猶予は、他の連帯債務者に対しても効力を有する。
2項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、
住宅資金特別条項によって変更された後の権利については、住宅資金特別条項において、期限の利益の喪失についての定めその他の住宅資金貸付契約における定めと同一の定めがされたものとみなす。ただし、第百九十九条第四項の同意を得て別段の定めをすることを妨げない。
3項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合における第百二十三条第二項及び第百八十一条第二項の規定の適用については、これらの規定中「再生計画で定められた弁済期間」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定められた弁済期間」と、「再生計画に基づく弁済」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)に基づく弁済」とする。
4項 住宅資金特別条項によって変更された後の権利については前項の規定により読み替えて適用される第百八十一条第二項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者については第百八十二条の規定を適用しない。

1 再生計画は別除権に影響を与えない(民事再生法177条2項)の例外に当たる。

2  

○ 民事再生法204条(保証会社が保証債務を履行した場合の取扱い)

1項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合において、保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行していたときは、当該保証債務の履行は、なかったものとみなす。

 ただし、保証会社が当該保証債務を履行したことにより取得した権利に基づき再生債権者としてした行為に影響を及ぼさない。

2項 前項本文の場合において、当該認可の決定の確定前に再生債務者が保証会社に対して同項の保証債務に係る求償権についての弁済をしていたときは、再生債務者は、同項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなった者に対して、当該弁済をした額につき当該住宅資金貸付債権についての弁済をすることを要しない。

 この場合において、保証会社は、当該弁済を受けた額を同項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなった者に対して交付しなければならない。

 1 保証会社の代位弁済後の巻戻しについて規定したものである。

2 保証会社の代位弁済がされた時から6か月以内に個人再生の申立てがされないと、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出することはできない(民事再生法198条2項)。

○ 民事再生法205条(査定の申立てがされなかった場合等の取扱い)
1項 第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権についての第百五条第一項に規定する査定の申立てが同条第二項の不変期間内にされなかった場合(第百七条及び第百九条の場合を除く。)、第二百条第二項の規定により同項本文の異議が効力を失った場合及び保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合には、住宅資金特別条項については、第百五十七条、第百五十九条、第百六十四条第二項後段及び第百七十九条の規定は、適用しない。
2項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、前項に規定する場合(保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合を除く。)における当該住宅資金貸付債権を有する再生債権者の権利及び前条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利は、住宅資金特別条項における第百五十六条の一般的基準に従い、変更される。
○ 民事再生法206条(住宅資金特別条項を定めた再生計画の取消し等)
1項 住宅資金特別条項を定めた再生計画についての第百八十九条第一項第二号に掲げる事由を理由とする再生計画取消しの申立ては、同条第三項の規定にかかわらず、再生計画の定めによって認められた権利(住宅資金特別条項によって変更された後のものを除く。)の全部(履行された部分を除く。)について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる当該権利を有する再生債権者であって、その有する履行期限が到来した当該権利の全部又は一部について履行を受けていないものに限り、することができる。
2項 住宅資金特別条項を定めた再生計画の取消しの決定が確定した場合における第百八十九条第七項ただし書及び第百九十条第一項ただし書の規定の適用については、これらの規定中「再生債権者が再生計画によって得た権利」とあるのは、「再生債権者が再生計画によって得た権利及び第二百四条第一項本文の規定により生じた効力」とする。

【参考・参照文献】

下記文献を参考・参照して作成しました。

① 大阪地方裁判所・大阪弁護士会個人再生手続運用研究会 改正法対応 事例解説 個人再生 ~大阪再生物語~ (平成18年、新日本法規)

② 川畑正文ほか編 はい6民です お答えします 倒産実務Q&A p574~ (2018年、大阪弁護士会協同組合)

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