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第1 個人再生手続
個人再生手続とは、民事再生法第13章 小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則の適用を受ける民事再生手続である。
民事再生法(平成11年制定)の定める手続は複雑かつ重厚であること、及び監督委員が選任される場合がある等手続の費用負担の面でも大変であることから、主に株式会社等法人が利用することが想定されていたといえる。もちろん、個人も、民事再生法の定める手続を履践すればよいのであるが、前述した手続の特徴から、利用は少なかったといえる。
このような状況を踏まえて、平成12年改正で、個人で一定の要件を満たす者は、民事再生法の本則に定められた手続を簡素化することにより、また、手続の費用負担の面でも軽減することにより、個人が民事再生手続を利用し易くする制度を導入した(平成13年4月1日施行)。
あわせて、住宅ローンを特別扱いすることにより、住宅を手放すことなく維持したまま、再生を図る特則が導入された(民事再生法第10章 住宅資金貸付債権に関する特則)。
個人再生手続は、次の2種類ある。
個人再生手続は、通常の民事再生手続の特則である。また、給与所得者等再生は、小規模個人再生の特則である。
① 小規模個人再生
民事再生法第13章 第1節
法221条~238条
② 給与取得者等再生
民事再生法第13章 第2節
法239条~245条
第2 個人再生手続の適用要件
後記
第3 再生計画案
後記
第4 裁判所の認可決定
後記
第5 スケジュール
1 申立てまで
(1)申立人(通常は申立人から個人再生手続申立て等を受任した弁護士)による、下記①~⑤に関する調査及び資料収集
① 資産(預貯金・現金、保険契約、貸金、退職金、自動車、不動産・・・) ② 負債・担保 ③ 家計収支 ④ 事業収支(個人事業主の場合) ⑤ その他(可処分所得)
このほか、
(a)申立てに至った事情 (b)再生計画の見通し
あわせて、債務者に対し、・節約+弁済原資の積立て ・家計収支表の作成 ・偏ぱ弁済の禁止等を指導する。
弁済原資の積立ては、再生計画認可決定確定後における弁済に備えてのものであること、また、認可決定の判断に当た再生計画案の履行可能性の判断材料とするためであることから、積み立てた金員は、清算価値を判断するに当たっては考慮外とする(文献①186頁)。
(2)申立書作成等
① 申立書 ② 債権者一覧表 ③ 財産目録 ④ 陳述書 ⑤ 家計収支表 ⑥ その他
2 申立て後
以下は、大阪地方裁判所における標準的なスケジュールである。
① 手続開始決定
申立てから2週間以内
事件記録符合
(再イ)小規模個人再生事件
(再ロ)給与所得者等再生事件
再生債務者は、遅くとも開始決定後から、再生計画案で想定される月次弁済額を専用口座で積み立てる必要がある。この積立て状況は、再生計画案の提出時に報告する必要があり、再生計画案は、再生計画案の履行可能性を判断する資料とする。
② 債権届出期間
開始決定日から4週間
③ 一般異議申述期間
債権届出期間の終期から1週間後
④ 再生計画案の提出期限
ⅰ 一般異議申述期間の終期から1週間後
ⅱ 再生計画案の提出期限は、個人再生手続では伸張されないのが原則である。また、提出期限までに再生計画案が提出されない場合(単純に期限を失念して徒過した場合を含む。)、手続は廃止される(民事再生法191条2号)。提出された再生計画案が決議に付するに足りないものである場合も、手続は廃止される。
⑤ 書面による決議に付する旨の決定又は(給与所得者等再生)意見聴取期間/書面による決議の回答期間又は意見聴取期間の満了
再生計画案の提出日の3日後から4週間
⑥ 認可決定
回答期間(意見聴取期間)の終期の3日後
民事再生法 第十三章 小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則
第一節 小規模個人再生
○ 民事再生法221条(手続開始の要件等)
1項 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
2項 小規模個人再生を行うことを求める旨の申述は、再生手続開始の申立ての際(債権者が再生手続開始の申立てをした場合にあっては、再生手続開始の決定があるまで)にしなければならない。
3項 前項の申述をするには、次に掲げる事項を記載した書面(以下「債権者一覧表」という。)を提出しなければならない。
一 再生債権者の氏名又は名称並びに各再生債権の額及び原因
二 別除権者については、その別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(以下「担保不足見込額」という。)
三 住宅資金貸付債権については、その旨
四 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨
五 その他最高裁判所規則で定める事項
4項 再生債務者は、債権者一覧表に各再生債権についての再生債権の額及び担保不足見込額を記載するに当たっては、当該額の全部又は一部につき異議を述べることがある旨をも記載することができる。
5項 第一項に規定する再生債権の総額の算定及び債権者一覧表への再生債権の額の記載に関しては、第八十七条第一項第一号から第三号までに掲げる再生債権は、当該各号に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める金額の債権として取り扱うものとする。
6項 再生債務者は、第二項の申述をするときは、当該申述が第一項又は第三項に規定する要件に該当しないことが明らかになった場合においても再生手続の開始を求める意思があるか否かを明らかにしなければならない。ただし、債権者が再生手続開始の申立てをした場合については、この限りでない。
7項 裁判所は、第二項の申述が前項本文に規定する要件に該当しないことが明らかであると認めるときは、再生手続開始の決定前に限り、再生事件を通常の再生手続により行う旨の決定をする。ただし、再生債務者が前項本文の規定により再生手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたときは、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
1 民事再生の申立て
個人再生手続は民事再生手続の特則であるため、利用に当たり、下記①②の要件を充たす必要がある。②の要件を充足しない場合、手続開始決定を受けることができず、申立ては棄却される。
① 民事再生法21条(再生手続開始の申立て)
1項 債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも、同様とする。
② 民事再生法第二十五条(再生手続開始の条件)
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
2 小規模個人再生
<利用適格要件>(本条1項)
① 個人の債務者
② 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある
③ 再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5000万円を超えないこと。
③は5000万円要件ともいい、おおまかにいうと、住宅ローンを除く負債総額が5000万円以下であることである。
3 給与所得者等再生
<利用適格要件>(民事再生法239条1項)
1の小規模個人再生の利用適格要件①~③のほか、利用に当たり下記④⑤の要件を充足する必要がある。
④ 収入定期・安定要件
(ⅰ)給与又これに類する定期的な収入を得る見込みがある者
+ (ⅱ)その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの
⑤ 給与所得者等再生申立ての制限事由に当たらないこと
民事再生法239条5項(後記)
4 個人事業者
個人事業者も利用適格要件を満たせば、個人再生を利用できるが、一般的には、収入変動の幅が小さくないため、給与所得者等再生の利用適格要件のうち「給与又これに類する定期的な収入を得る見込みがある者 + その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの」に当たることは難しいとされている(文献②510頁)。
よって、小規模個人再生が利用されるのが一般と思われるが、この場合、リース物件(商売道具をリースにしている場合)の取扱いには注意を要する。
リース債権も再生債権であるから、再生計画による弁済となるのが原則であるが(民事再生法85条)、そうすると、リース債権者は、約定に従い物件を引き揚げるおそれがあり、もしそうなると、債務者は事業継続が困難となるおそれがある。そこで、この場合、リース債権者者との間でいわゆる別除権協定を締結し、共益債権化し(民事再生法119条)弁済できる状況にしておく必要がある。詳細は、文献②503頁。
1 個人再生委員の意義
個人再生手続において、裁判所の再生債務者に対する監督を補助する等の期間である。通常の場合、裁判所が、再生債務者及び債権者とは関係がない弁護士を選任する。
2 選任が民事再生法上、必要とされる場合
民事再生法227条1項本文に規定する再生債権の評価申立てがあった場合(除く:不適法却下の場合)(本条1項ただし書)
本条は、小規模個人再生手続に準用される(民事再生法224条)。
3 裁判所が裁量により選任する場合
裁判所が必要があると認めた事件(本条1項本文)
利害関係人の申立てによるほか、職権で選任できる。
この点に関する大阪地方裁判所の運用は次のとおりである。なお、予納金として30万円が必要とされる。
ⅰ 債務者本人(受任者として弁護士を選任しない)申立人て
ⅱ 弁護士が債務者本人を代理して申立て(弁護士申立て)
この場合は、下記例外に当たる場合を除き選任されない。
(a)事業に基づく負債が3000万円を超過する場合等
(b)申立て手続に不備があり、受任弁護士が手続に十分に対応できないと認められるとき
1 再生債権のみなし届出を定めたものである。
2 給与所得者等再生に準用(民事再生法244条)
1 個人再生手続における債権調査では、通常の再生手続と異なり、再生債権の存否及び額を実体的に確定するものではなき、手続で必要な範囲で再生債権の額を定めるものである(手続内確定)。
2 再生債務者は、債権者一覧表に記載した債権のうち異議留保していないものについて異議を述べることができないので(本条1項ただし書)、申立て段階で注意が必要である。
3 給与所得者等再生に準用(民事再生法244条)
○ 民事再生法227条(再生債権の評価)
1項 前条第一項本文又は第三項の規定により再生債務者又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権を有する再生債権者は、裁判所に対し、異議申述期間の末日から三週間の不変期間内に、再生債権の評価の申立てをすることができる。
ただし、当該再生債権が執行力ある債務名義又は終局判決のあるものである場合には、当該異議を述べた者が当該申立てをしなければならない。
2項 前項ただし書の場合において、前項本文の不変期間内に再生債権の評価の申立てがなかったとき又は当該申立てが却下されたときは、前条第一項本文又は第三項の異議は、なかったものとみなす。
3項 再生債権の評価の申立てをするときは、申立人は、その申立てに係る手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
4項 前項に規定する費用の予納がないときは、裁判所は、再生債権の評価の申立てを却下しなければならない。
5項 裁判所は、第二百二十三条第一項の規定による決定において、同条第二項第二号に掲げる事項を個人再生委員の職務として指定する場合には、裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間をも定めなければならない。
6項 第二百二十三条第二項第二号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員は、再生債務者若しくはその法定代理人又は再生債権者(当該個人再生委員が同項第一号に掲げる事項をも職務として指定された場合にあっては、再生債権者)に対し、再生債権の存否及び額並びに担保不足見込額に関する資料の提出を求めることができる。
7項 再生債権の評価においては、裁判所は、再生債権の評価の申立てに係る再生債権について、その債権の存否及び額又は担保不足見込額を定める。
8項 裁判所は、再生債権の評価をする場合には、第二百二十三条第二項第二号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員の意見を聴かなければならない。
9項 第七項の規定による再生債権の評価については、第二百二十一条第五項の規定を準用する。
10項 再生手続開始前の罰金等及び債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載がされた場合における第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権については、前各項の規定は、適用しない。
1 権利変更に関する一般的基準
(1)原則
形式的平等
全ての再生債権者間で平等(一律の扱い)でなければならず)、特定の再生債権者を優遇したり、劣後させてはならない。
個人再生手続の簡便・迅速性を重視した(文献③115頁)。
(2)例外
① 不利益を受ける再生債権者の同意がある場合
② 少額の再生債権の弁済の時期
③ 民事再生法84条2項に掲げる請求権(再生手続開始後の利息、再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金、再生手続参加の費用)
(3)定め
① 再生債権に対する権利の変更
② 再生債権に対する弁済の方法
2 再生債務者による再生計画案の作成
(1)弁済金額
① 法定の最低弁済金額以上とすること
② 再生手続開始決定後の利息・損害金の例外 本条
(2)弁済期(本条2項)
① 弁済期が3か月に1回以上到来する分割払の方法によること。
2 本条3項は、非免責債権の取扱いを定めたものである。
(1)平成16年(2004年)改正により、個人再生手続において、非免責債権が規定された。
租税等の請求権や雇用契約に基づいて生じた使用人の請求権等は、破産法では非免責債権と規定されている(同法253条1項1号5号)。これら請求権は、個人再生手続では、一般優先債権に該当し、再生計画によらない随時弁済の対象である(民事再生法122条)。
(2)非免責債権も、利用適格要件(5000万円要件)において考慮され、債権者一覧表に記載する必要もある。また、再生債権であるから、再生手続によらない弁済は禁止される(民事再生法85条)。これらの再生計画案認可決定に至るまでの手続においては、通常の再生債権と同じ取扱いである。
非免責債権が通常の再生債権と異なる特別の取扱いを受けるのは、次のとおりである。
非免責債権は、再生計画案における一般基準(民事再生法232条2項、156条)に従って弁済した後の残余について
免責されないため、弁済期間終了後、その残余を直ちに支払う必要がある(民事再生法232条4項)。
文献①189頁、文献②498頁。
○ 民事再生法230条(再生計画案の決議)
1項 裁判所は、一般異議申述期間(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間を含む。)が経過し、かつ、第百二十五条第一項の報告書(財産状況報告書)の提出がされた後でなければ、再生計画案を決議に付することができない。当該一般異議申述期間内に第二百二十六条第一項本文の規定による異議が述べられた場合(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間内に同条第三項の規定による異議が述べられた場合を含む。)には、第二百二十七条第一項本文の不変期間を経過するまでの間(当該不変期間内に再生債権の評価の申立てがあったときは、再生債権の評価がされるまでの間)も、同様とする。
2項 裁判所は、再生計画案について第百七十四条第二項各号(第三号を除く。住宅資金特別条項を定めた再生計画案については、第二百二条第二項第一号から第三号まで)又は次条第二項各号のいずれかに該当する事由があると認める場合には、その再生計画案を決議に付することができない。
3項 再生計画案の提出があったときは、裁判所は、前二項の場合を除き、議決権行使の方法としての第百六十九条第二項第二号に掲げる方法(書面による決議)及び第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により議決権の不統一行使をする場合における裁判所に対する通知の期限を定めて、再生計画案を決議に付する旨の決定をする。
4項 前項の決定をした場合には、その旨を公告するとともに、議決権者に対して、同項に規定する期限、再生計画案の内容又はその要旨及び再生計画案に同意しない者は裁判所の定める期間内に同項の規定により定められた方法によりその旨を回答すべき旨を通知しなければならない。
5項 第三項の決定があった場合における第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同条第二項中「第百六十九条第二項前段」とあるのは、「第二百三十条第三項」とする。
6項 第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。
7項 再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者のうち第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその有する議決権の一部のみを行使したものがあるときの前項の規定の適用については、当該議決権者一人につき、議決権者総数に一を、再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。
8項 届出再生債権者は、一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかった届出再生債権(第二百二十六条第五項に規定するものを除く。以下「無異議債権」という。)については届出があった再生債権の額又は担保不足見込額に応じて、第二百二十七条第七項の規定により裁判所が債権の額又は担保不足見込額を定めた再生債権(以下「評価済債権」という。)についてはその額に応じて、それぞれ議決権を行使することができる。
※ 給与所得者等再生に準用される。
1
2 裁判所による再生計画案を決議に付する決定 本条3項
① 時期について、本条1項
② 再生計画案に不認可事由がある場合は決議に付する決定はできない。本条2項
不認可事由
ⅰ 民事再生法174条2項各号(3号を除く)
ⅱ 住宅資金特別条項を定めた場合 民事再生法202条2項1号~3号
3 再生計画案の可決
消極的同意(本条6項)で足りる。
1 再生計画における最低弁済額
(1)小規模個人再生手続の場合
① 負債総額基準による算出額、② 清算配当率基準による算出金額のうち高い金額
① 負債総額基準
再生債権の総額(住宅ローン等を除く)により、次のとおり区分される。
100万円未満の人・・・・・・総額全部
100万円以上500万円以下の人・・・・・・100万円
500万円を超え1500万円以下の人・・・・・・総額の5分の1
1500万円を超え3000万円以下の人・・・・・・300万円
3000万円を超え5000万円以下の人・・・・・・総額の10分の1
② 清算配当率基準
破産した場合の配当(民事再生法230条2項、174条2項4号)
(2)給与所得者等再生手続の場合
① 負債総額基準による算出金額、② 清算配当率基準による算出金額、③ 可処分所得2年分基準による算出金額のうち、最も高い金額
① 負債総額基準(1)①と同じ。
② 清算配当率基準(1)②と同じ。
民事再生法241条2項2号
③ 可処分所得2年分基準
民事再生法241条2項7号 後記
○ 民事再生法233条(再生手続の終結)
小規模個人再生においては、再生手続は、再生計画認可の決定の確定によって当然に終結する。
○ 民事再生法236条(再生計画の取消し)
小規模個人再生において再生計画認可の決定が確定した場合には、計画弁済総額が、再生計画認可の決定があった時点で再生債務者につき破産手続が行われた場合における基準債権に対する配当の総額を下回ることが明らかになったときも、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。この場合においては、第百八十九条第二項の規定を準用する。
民事再生法 第十三章 小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則
第二節 給与所得者等再生
○ 民事再生法240条(再生計画案についての意見聴取)
1項 給与所得者等再生において再生計画案の提出があった場合には、裁判所は、次に掲げる場合を除き、再生計画案を認可すべきかどうかについての届出再生債権者の意見を聴く旨の決定をしなければならない。
一 再生計画案について次条第二項各号のいずれかに該当する事由があると認めるとき。
二 一般異議申述期間が経過していないか、又は当該一般異議申述期間内に第二百四十四条において準用する第二百二十六条第一項本文の規定による異議が述べられた場合において第二百四十四条において準用する第二百二十七条第一項本文の不変期間が経過していないとき(当該不変期間内に再生債権の評価の申立てがあったときは、再生債権の評価がされていないとき)。
三 特別異議申述期間が定められた場合において、当該特別異議申述期間が経過していないか、又は当該特別異議申述期間内に第二百四十四条において準用する第二百二十六条第三項の規定による異議が述べられたときであって第二百四十四条において準用する第二百二十七条第一項本文の不変期間が経過していないとき(当該不変期間内に再生債権の評価の申立てがあったときは、再生債権の評価がされていないとき)。
四 第百二十五条第一項の報告書の提出がされていないとき。
2項 前項の決定をした場合には、その旨を公告し、かつ、届出再生債権者に対して、再生計画案の内容又はその要旨を通知するとともに、再生計画案について次条第二項各号のいずれかに該当する事由がある旨の意見がある者は裁判所の定める期間内にその旨及び当該事由を具体的に記載した書面を提出すべき旨を通知しなければならない。
3項 給与所得者等再生における第九十五条第四項及び第百六十七条ただし書の規定の適用については、これらの規定中「再生計画案を決議に付する旨の決定」とあるのは、「再生計画案を認可すべきかどうかについての届出再生債権者の意見を聴く旨の決定」とする。
1 可処分所得2年分基準(本条2項7号、3項)が、小規模個人再生と異なり給与所得者等再生において設けられた趣旨
再生債権者の決議を省略することにより、小規模個人再生より手続を簡素化したが、可処分所得2年分基準は、再生債権者の議決権を奪う代償として、再生債務者において、できる限りの弁済をさせる必要があり、この観点から設けられた(始関正光編著 一問一答個人再生手続291頁(平成13年、商事法務研究会))。
2 計算式
可処分所得=再生債務者の収入-(税金等+再生債務者・被扶養者の最低生活費
可処分所得 × 2年
可処分所得算出シートを使用して算出する。
→ 文献①74頁、文献②559頁
○ 民事再生法243条(再生手続の廃止)
給与所得者等再生において、次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。
一 第二百四十一条第二項各号のいずれにも該当しない再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。
二 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出された再生計画案に第二百四十一条第二項各号のいずれかに該当する事由があるとき。
○ 民事再生法244条(小規模個人再生の規定の準用)
第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。
【事案】
再生債務者が、実際には存在しない貸付債権を意図的に債権者一覧表に記載する等の信義則に違反する行為により再生計画案を可決させた疑いが存する事案
【決定要旨】
1 「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」の不認可事由(民事再生法202条2)
① 議決権を行使した再生債権者が詐欺、強迫又は不正な利益の供与等を受けたことにより再生計画案が可決された場合はもとより、
② 再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合も含まれる。
2 1②の信義則に反する行為該当性の判断
再生債権の届け出がされ(法225条による場合を含む)、法定の期間内に異議が述べられなかったとしても、当該再生債権の存否を含め、当該再生債権の届出等に係る諸般の事情を考慮することができる。
3 本件では、
再生債務者の行為【事案】は、再生債務者として債権者に対し公平かつ誠実に再生手続を追行する義務を負う立場にあることに照らすと(法38条2項参照)、本件再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた疑いが存する。
【参照・参考文献】
杉本和士・判例セレクトMonthly(法学教室451号(2018年)142頁)
ゐ【参考・参照文献】
下記文献を参考・参照して作成しました。
① 大阪地方裁判所・大阪弁護士会個人再生手続運用研究会 改正法対応 事例解説 個人再生 ~大阪再生物語~ (平成18年、新日本法規)
② 川畑正文ほか編 はい6民です お答えします 倒産実務Q&A p453~ (2018年10月第2版、大阪弁護士会協同組合)
③ 例題解説 個人再生手続(令和元年、法曹会)
④ 始関正光編著 一問一答 個人再生手続(平成13年、商事法務研究会)
⑤ 園尾隆司・小林秀之編 条解民事再生法(平成15年、弘文堂)
⑥ 木内道祥監修 全国倒産処理弁護士ネットワーク編 個人再生の実務Q&A120問
(2018年、金融財政事情研究会)