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債権法改正 組合契約

民法第3編 債権
第2章 契約
 第12節 組合

667条~688条

寄託契約

 

経過措置

 施行日前に締結された組合契約は、その契約及び契約に付随する特約については、従前の例による(改正前の法が適用される)。附則34条1項

〇 民法667条(組合)

1項 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

2項 出資は、労務をその目的とすることができる。

〇 民法667条の2(他の組合員の債務不履行)(平成29年改正により新設)

1項 第533条(同時履行の抗弁)及び第536条(債務者の危険負担等)の規定は、組合契約については、適用しない。

2項 組合員は、他の組合員か組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。

組合 契約総則の規定が適用される。

BUT 組合契約=団体法的性格

→ 変容

改正前の法は、明文規定を設けておらず、解釈に委ねられていたが、改正法は、明文規定を設けた。

 

1 同時履行の抗弁権

  □ 非適用(本条2項)

  出資義務の履行請求について

  請求組合員(自ら未履行)A→請求を受けた組合員B

  BはAが履行(の提供)をするまで履行を拒絶すること

  はできない。

 

2 危険負担

  □ 非適用(本条1項)

  出資義務の履行不能について

  請求組合員(履行不能)A→請求を受けた組合員B

  債務者主義が適用されると、Bは履行を拒絶できる。

  BUT それでは、組合の事業に必要な出資が完了しない事態になる。

 

3 解除

  組合の章に特別の規定 → 解除の一般規定は非適用(本条2項)

   

〇 民法667条の3(組合員の一人についての意思表示の無効等)(平成29年改正により新設)

 組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない。

組合 契約締結→意思表示の無効又は取消しに関する規定が適用

BUT 組合契約=団体法的性格

→ 修正

 

① 意思表示の無効又は取消しの原因がある組合員

  組合に対し無効又は取消しの主張

② ①以外の者との間

  組合契約は影響を受けない。

〇 民法668条(組合財産の共有)

 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

〇 民法669条(金銭出資の不履行の責任)

 金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。

〇 民法670条(業務の決定及び執行の方法)(平成29年改正)

1項 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。 

2項 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。

3項 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。

 この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。

4項 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意により決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。

5項 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。

 ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

旧670条(業務の執行の方法)

1項 組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。

2項 前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半数で決する。

3項 組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。

 ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

1 業務執行の決定及び執行

 改正前の法では、意思決定の方法について定めはあったが、意思決定の実現(執行)明らかでなかった。

→ 業務執行の方法を明文化した(1項)。

2 業務執行の決定及び執行の委任

 改正前の法では、業務の決定及び執行の委任に関して、受任者等について定めがなかった。

→ 受任者:組合員のほか第三者も可(2項)

3 業務執行者が選任されている場合

(1)業務執行者による業務執行の決定及び執行(3項)

(2)業務執行者が選任されている場合には、個々の組合員は業務執行権を失うと解されるが、この場合であっても、総組合員の同意による業務の決定及び執行を規定した。←① その必要があること、② 業務執行者は代理人的地位

〇 民法670条の2(組合の代理)(平成29年改正により新設)

1項 各組合員は、組合の業務を執行する場合において、組合員の過半数の同意を得たときは、他の組合員を代理することができる。

2項 前項の規定にかかわらず、業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理することができる。

 この場合において、業務執行者が数人あるときは、各業務執行者は、業務執行者の過半数の同意を得たときに限り、組合員を代理することができる。

3項 前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができる。

1 組合代理

  組合:法人格をもたない。

  → 組合員が第三者と契約等をするときは、組合員全員   で行わない場合には、契約等をする組合員が他の組合員

  を代理する必要がある(組合代理)。

  

 改正前の法は、業務の決定及び執行(内部関係)と組合代理(外部関係)とを区別しておらず、しかも、組合代理の規定を設けていなかった。

 改正法は、これを区別し、組合代理の規定を設けた。

2 業務執行者がいない場合の組合代理(1項)

3 業務執行者がいる場合の組合代理(2項)

 業務執行者の選任と組合代理権の授与は同時に行われるのが通常であるが、後者は業務決定において為すことができるが、前者は組合契約により行う必要がある(新670条2項)。

4 組合の常務についての代理

〇 民法671条(委任の規定の準用)(平成29年改正)

 第644条から第650条まで(受任者の権利義務)の規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する。

旧671条(委任の規定の準用)

 第644条から第650条までの規定は、組合の業務を執行する組合員について準用する。

〇 民法672条(業務執行組合員の辞任及び解任)(平成29年改正)

1項 組合契約の定めるところにより一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。

2項 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することかできる。 

旧672条(業務執行組合員の辞任及び解任)

1項 組合契約で一人又は数人の組合員に業務の執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。

2項 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することかできる。 

〇 民法672条の2(組合員の加入)(平成29年改正により新設)

1項 組合員は、その全員の同意によって、又組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。

2項 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

1 改正前の法は、組合契約成立後、新たな組合員の加入が可能か? 可能であるとして、新たに加入した組合員が加入前の組合債務について債務を負うか? に関する規定を欠いていた。

2 改正法は、本条をもって、一般的な実務見解を採用した。

〇 民法673条(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)(平成29年改正)

 各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。

旧673条(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)

 各組合員は、組合の業務を執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。

〇 民法674条(組合員の損益分配の割合)

1項 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価格に応じて定める。

2項 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益又は損失に共通であるものと推定する。

〇 民法675条(組合の債権者の権利の行使)(平成29年改正)

1項 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。

2項 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。

 ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

旧675条(組合員に対する組合の債権者の権利の行使) 組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。

1 組合財産に関する法理

  組合の団体的性格

→ ① 組合財産は組合員から独立し、総組合員に帰属する。

  ② 組合員は、組合財産について、持分の処分

    や分割請求ができない。

  ③ 組合債務は、1個の債務として総組合員に帰属する。

 

  改正前の法も①~③を前提としていたが、明確でない

  ところがあった。

→ 1項は、③を前提とした規定である。

2 組合債権者の組合員に対する権利行使

 改正前の法は、内容に合理性がなく、損失分担に関する主張立証責任を踏まえていないものであった。

→ 2項で、これを整備した。

  2項ただし書は、組合員が主張立証した場合、債権者の権利行使がその割合に制限される。

〇 民法676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)(平成29年改正)

1項 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することがでない。 

2項 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。

3項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。

旧676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割))

1項 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することがでない。 

2項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。

1 組合財産に関する法理

  組合の団体的性格

→ ① 組合財産は組合員から独立し、総組合員に帰属する。

  ② 組合員は、組合財産について、持分の処分

    や分割請求ができない。

  ③ 組合債務は、1個の債務として総組合員に帰属する。

 

  本条は、②に関する規定である。

2 改正法は、改正前の法と実質的に変わりがない。

  旧法1項 = 新法1項

  旧法2項 = 新法3項

  規定無し   新法2項

 

  新法2項は、組合財産である債権についい規定を設けた。

〇 民法677条(組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止) (平成29年改正)

   組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。

旧677条(組合の債務者による相殺の禁止)

 組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない。

 組合財産の維持を図るため、組合員の債権者が組合財産に対し権利行使することを禁止するものである。

 改正前の法(旧677条)と改正法(新677条)で、上記趣旨は同じであるが、新677条は旧677条の趣旨を含むものである。

〇 民法678条(組合員の脱退)

項 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。

 ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。

2項 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

〇 民法679条

 前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。

一 死亡

二 破産手続開始の決定を受けたこと。

三 後見開始の審判を受けたこと。

四 除名

〇 680条(組合員の除名)

 組合員の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。

 ただし、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない。

 

 

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)頁

② 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)531頁

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