【注力分野】相続(相続調査、相続放棄)、遺産分割(協議、調停・審判)、債務整理、自己破産、個人再生、法律相談

大阪府寝屋川市にある相続と借金の問題に力を入れている法律事務所です。

京阪電車 寝屋川市駅から10分程度

受付時間
10:00~18:00
休業日
土曜日、日曜日、祝日

お気軽にお問合せください

072-812-1105
炭竈法律事務所(寝屋川市)のホームページへようこそ

取消訴訟

訴訟要件

行政事件訴訟法 第二章 抗告訴訟 第一節 取消訴訟

〇 行政事件訴訟法8条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係) 

1項 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。

 ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

2項 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。

一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。

二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

3項 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。 

 訴訟提起と行政機関に対する審査請求との関係

1 審査請求前置主義をとらず、直ちに、取消訴訟を提起できる(本条1項本文)。

2 個別の法律に特別の定めがある場合には、審査請求前置主義がとられる(本条1項ただし書)。

3 2にもかかわらず、審査請求に対する裁決を経ずに、取消訴訟を提起できる(本条2項)。

〇 行政事件訴訟法9条(原告適格) 

1項 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。

 この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

訴えの利益

1 処分・裁決の取消しによって、原告が法律上の利益を得ることができること。

2 処分等の効果は存続するものの、事実変化によって、原告が処分等による不利益を受けなくなった場合には、訴えの利益は否定される。

・ 最判昭和57年9月9日長沼訴訟判決

3 処分などが効果が失った場合には、訴えの利益は否定される。

□ 期限付きの処分が期限の到来によって効果を失った場合

□ 処分について職権取消しや撤回がされた場合

 

① 建築確認処分取消請求事件(最判昭和59年10月26日)

 建築工事に係る工事が完了した場合、拡張適格財産の任意代理人の取消しを求める訴えの利益は失われる。

② 最判平成5年9月10日は、市街化区域内の開発許可(都市計画法29条1項)についても、工事完了後は訴えの利益は失われるとする。

③ 最判平成4年1月24日は、土地改良事業の施行認可処分(土地改良事業法96条の2第1項

 処分が取り消されると、その後に行われる換地処分等の一連の手続及び処分の法的効力に影響を受ける。

→ 訴訟係属中に事業が完了しても、訴えの利益は失われない。

<例外>

「回復すべき法律上の利益」(行政事件訴訟法9条)がある場合

(1)実体法上の請求権(例 歳費請求権、給料請求権)がある場合

 分限免職(国家公務員法78条4号)を受けた者の取消訴訟の途中で公務員の地位を回復できなくなった場合(公職選挙法90条)、処分がなければ得ていたはずの給料請求権等を主張でき、訴えの利益は認めらる(最大判昭和40年4月28日)

(2)付随的な効果が残存している場合

  運転免許停止処分に関する最判昭和55年11月25日

 ① 処分の本来の効果 停止期間 → 訴えの利益あり

 ② 付随的な効果   前歴考慮期間 → 訴えの利益あり

 ③ その後 

 名誉等を損なう可能性があるとしても、それは、処分がもたらす事実上の効果にすぎない。→訴えの利益なし 

(3)同種の処分が繰り返されるおそれがある場合

① 最大判昭和28年12月23日(皇居前広場事件)

 厚生大臣がメーデーの集会のため拒否した期日を希有委したことをもって、判決を求める法律上の利益を喪失したことを理由として訴えを却下した。

② 最判昭和43年12月24日(東京12チャンネル事件)

 Aに対するテレビ放送局開設免許

← 免許申請をしたが免許を受けることができなくなったXが異議に対する棄却決定について取消訴訟を提起したが、その後、Aに対する免許期間が満了し、Aが再免許を受けた。

 

 裁判所は、再免許は当初の免許を前提とするものであり、実質に更新と異なるとろはないことを理由に、訴えの利益を認めた。 

〇 行政事件訴訟法11条(被告適格等) 

1項 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。

一 処分の取消しの訴え 

  当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体

二 裁決の取消しの訴え 

  当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体

2項 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。

3項 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。

4項 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。

一 処分の取消しの訴え 

  当該処分をした行政庁

二 裁決の取消しの訴え

  当該裁決をした行政庁

5項 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。

6項 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。

  被告適格

 

1 平成16年の行政事件訴訟法改正前は、行政主体ではなく、処分・裁決をした行政庁が被告とされていた。

 しかし、一般人には被告となる者が分かりにくいので、本条のとおり改められた。

2 2項の例

  指定確認検査機関が建築確認を拒否(建築基準法6条の2)における指定確認検査機関

3 3項の例

  上記2で指定確認検査機関が解散し、これを承継する者がいない。→当該事務が帰属する都道府県

〇 行政事件訴訟法12条(管轄)

1項 取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。

2項 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。

3項 取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。

4項 国又は独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。

5項 前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。項 取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所 又は 処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。

 

 裁判管轄

1 事物管轄

  地方裁判所 

  裁判所法24条1号、33条1項1号かっこ書

2 土地管轄

  本条1項:原則

  民事訴訟法4条1項と同じ考え方

〇 行政事件訴訟法14条(出訴期間) 

1項 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2項 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3項 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

〇 行政事件訴訟法15条(被告を誤つた訴えの救済) 

 取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもつて、被告を変更することを許すことができる。

審理

〇 行政事件訴訟法10条(取消しの理由の制限) 

1項 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。

2項 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

1 自己の法律上の利益に関係がない違法事由(行訴法10条1項)

  取消訴訟=主観訴訟 原告の権利利益の救済が目的

  原告が第三者の利益を保護する規定の違反を主張する場合

2 原処分主義(行訴法10条2項)

 原処分の取消訴訟、裁決の取消訴訟

 原処分の違法を主張するためには、原処分の取消訴訟を提起すべき(原則)。

 原処分ではなく、裁決を争うべき旨が個別法に定められている場合がある。(例)弁護士会の弁護士に対する懲戒処分

裁決取消訴訟を東京高等裁判所に提起(弁護士法61条) 

判決

 

  1 判決の種類

① 却下判決

② 棄却判決

③ 認容(取消)判決

  事情判決(行訴法31条)

  □ 二風谷ダム訴訟・札幌地判平成9年3月27日

2 判決の効力

① 既判力

② 形成力(行訴法32条1項)

  第三者効

  (例)建築確認処分の取消訴訟

     建築主以外の者=原告、県(建築主事)=被告

   建築主は訴訟当事者でないが、取消判決の効力が及ぶ。

  → 第三者の手続保障のため

    第三者の訴訟参加(行訴法22条1項)

    第三者の再審の訴え(行訴法34条条

③ 拘束力(行訴法33条1項)

 ⅰ 反復禁止効

 ⅱ 積極的作為義務

〇 行政事件訴訟法32条(取消判決等の効力) 

1項 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

2項 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。

〇 行政事件訴訟法33条 
1項 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
2項 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
3項 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
4項 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。
〇 行政事件訴訟法31条(特別の事情による請求の棄却) 
1項 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
2項 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
3項 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。

【参考・参照文献】

 このページは、以下の文献を参考・参照して作成しました。

① 宇賀克也・行政法(2012年、有斐閣)頁

② 村上裕章・スタンダード行政法第回(法学教室475号78頁)

③ 村上裕章・スタンダード行政法第17回「取消訴訟の審理と判決」(法学教室479号73頁)

お電話でのお問合せはこちら

072-812-1105

メールでのお問合せは、24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。

ご連絡先はこちら

炭竈法律事務所
072-812-1105
住所・アクセス
大阪府寝屋川市八坂町9−3 日経ビル5階

京阪電車 寝屋川市駅から10分程度