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債権法改正 委任契約

民法第3編 債権
第2章 契約
 第10節 委任

643条~656条

経過措置

 施行日前に締結された委任契約は、その契約及び契約に付随する特約については、従前の例による(改正前の法が適用される)。附則34条1項

〇 民法643条(委任)

 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

〇 民法644(受任者の注意義務)

 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

〇 民法644条の2(復受任者の選任等)(平成29年改正により新設)

1項 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。

2項 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

1  受任者による自己執務義務

  委任契約=委任者・受任者間の信頼関係

2 復受任者の選任

 平成29年改正前の旧法では規定なし

 任意代理人による復代理人の選任を定めた旧104条を参考にして、

① 委任者の許諾を得たとき

② やむを得ない事由があるとき

に、復受任者の選任を解釈上例外的に認めていた。

平成29年改正法は、これを明文化した。

3 2項

 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任した場合

① 対外的関係

  旧107条(新106条)2項

② 対内関係(新設)

  復代理人と本人との内部関係の定め

  新644条の2・2項   

〇 民法645条(受任者の報告)

 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

〇 民法646条(受任者による受取物の引渡し等)

1項 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。

2項 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

〇 民法647条(受任者の金銭の消費についての責任)

 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。

 この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

〇 民法648条(受任者の報酬)(平成29年改正)

1項 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

2項 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。

 ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項(雇用報酬の支払時期)の規定を準用する。

3項 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 

一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。

二 委任が履行の中途で終了したとき。

旧648条(受任者の報酬)

1項 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

2項 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。

 ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項(雇用報酬の支払時期)の規定を準用する。

3項 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 

1 平成29年改正

 新1項は旧1項と同じ。新2項は旧2項と同じ。

2 割合的報酬(新3項、旧3項)

(1)旧法

 受任者の帰責事由によらないで委任契約が履行の中途で終了した場合、既履行の割合に応じて認める。

(2)新法

 受任者の帰責事由により委任契約が履行の中途で終了した場合でも、委任契約のあり方及び当事者間の公平の観点から、既履行の割合に応じて認める。

 なお、委任契約の中途終了が受任者の帰責事由によるものであれば、別途、委任者の受任者に対する損害賠償の問題は生じ得る。

【新3項1号】

委任者の帰責事由によらないで、委任事務が中途終了

① 当事者双方に帰責事由がない場合

② 委任者に帰責事由がない・受任者に帰責事由がある場合

 

※ 委任者の帰責事由がある場合

  改正法536条2項の問題

 

【新3項2号】

委任が中途終了、具体的には下記の場合

① 委任契約が解除された場合(新651条)

② 委任契約の終了事由が生じた場合(新653条)

〇 民法648条の2(成果等に対する報酬)(平成29年改正により新設)

1項 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。

2項 第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

1 委任契約における委任者の受任者に対する報酬の支払いの方法は、下記①②に分類することができる。

① 履行割合型

委任事務の処理それ自体に対して、対価である報酬が支払われるもの

② 成果完成型

委任事務の処理によってもたらされる成果に対して、対価である報酬が支払われるもの

2 成果完成型は請負に類似しているが、その報酬について、平成29年改正法は規定を設けた。

(1)報酬の支払時期(1項)

   成果の引渡しと同時

(2)委任が履行の中途で終了した場合の報酬の取扱い(2項)

 請負に関する634条を準用する。その結果、

<要件1>

① 委任者の帰責事由によらないで委任事務ができなくなった場合。

又は、

② 委任契約が履行の中途で解除された場合

<要件2>

① 成果が可分である場合

かつ、

② 受任者が可分給付により利益を受ける場合

<効果>

 可分割合に応じた報酬

〇 民法649条(受任者による費用の前払請求)

 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

〇 民法650条(受任者による費用等の償還請求等)

1項 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2項 委任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。

 この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。

3項 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

〇 民法651条(委任の解除)(平成29年改正)

1項 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2項 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。

 ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

旧651条(委任の解除)

1項 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2項 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

1 委任契約における当事者の一方による任意解除と相手方との利害調整に関する規定である。平成29年改正前、委任契約が受任者の利益のためにもされた場合、委任者による解除権の

行使を制限できるかが争いとなった。

 平成29年改正は、この点に関する判例法理と思われるものを明文化した。

2 受任者の利益をも目的とする委任契約の例

 委任者が受任者に対し、委任者の第三者に対する債権の受領を委任し、受任者が第三者から受領した金員を、受任者の委任者に対する債権の弁済に充てる場合

3 「専ら報酬を得る」を除外した理由

 報酬は委任事務を処理したことの対価であり、受任者の利益は報酬を得ることとは別である。

〇 民法652条(委任の解除の効力)

 第620条(賃貸借の解除の効力)の規定は、委任について準用する。

〇 民法653条(委任の終了事由)

 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡

二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

〇 民法654条(委任の終了後の処分)

 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

〇 民法655条(委任の終了の対抗要件)

 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

〇 民法656条(準委任)

 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

 

【参考・参照文献】

 このページは、下記文献を参考・参照して作成しました。

① 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編・新旧対照でわかる改正債権法の逐条解説(平成29年、新日本法規)342頁

② 日本弁護士連合会編・実務解説改正債権法(第2版)(2020年、弘文堂)506頁

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