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担保物権法 留置権

民法 第2編 物権
第7章 留置権

1 留置権と同時履行の抗弁権との相違

(1)契約の相手方に対してのみ主張できるか、第三者にも主張できるか。

① 留置権

 契約の相手方に対するのみならず、第三者(目的物の譲受人等)に対しても主張できる。←物権として構成されている。

② 同時履行の抗弁権

  契約の相手方に対してのみ主張できる。

(2)留置権にのみ当てはまり、同時履行の抗弁権には当てはまらない。

① 形式的競売権

② 果実収取権(民法297条1項)

③ 代担保の供与による消滅請求(民法301条)

(3)弁済提供により消滅するか、弁済により消滅するか。

① 留置権 

  弁済提供-消滅せず。弁済-消滅

② 同時履行の抗弁権

  弁済提供-消滅

2 商事留置権(商法521条)

  物と債権との牽連性不要

〇 民法295条(留置権の内容)

1項 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。

 ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

2項 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

【解説】

第1 留置権の成立要件

 ① 他人の物の占有者

 ② その物に関して生じた債権を有すること

   (物と債権との牽連性)

 ③ その債権が弁済期にあること

 ④ 占有が不法行為によって始まった場合でないこと

 

第2 要件① 他人の物の占有者

 他人は債務者である必要はない(判例・通説)。

(例)A所有の自動車をBが借り、BがCに自動車に修理を依頼し、Cが自動車を修理した。所有者AがCに自動車の返還を求めた場合、CはAに対し、留置権を主張して、修理代金の支払いがあるまでは、自動車の返還を拒否できるか。

 判例・通説によれば、物の所有者は、債務者Bである必要はなく、第三者Aでもよい。

 

第3 要件②

 物と債権との牽連性

① 債権が物自体から発生した場合

  物の必要費・有益費の費用償還請求権

② 債権が物の返還義務と同一の事実関係又は法律関係から発生した場合

・ 事実関係

 AがBの傘を持ち帰り、BがAの傘を持ち帰った場合において、AのBに対する傘の返還請求権を被担保債権としてBの傘について留置権が成立する。

・ 法律関係

 Aが我妻栄・民法講義Ⅰ(古本)をBに売却した場合において、AのBに対する売買代金債権を被担保債権として本について留置権が成立する。

〇 民法296条(留置権の不可分性)

  留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

〇 民法297条(留置権者による果実の収取)

1項 留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

2項 前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお

残余があるときは元本に充当しなければならない。

〇 民法298条(留置権者による留置物の保管等)

1項 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。

2項 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。

 ただし、その物の保存に必要な使用をすることについては、この限りでない。

3項 留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者がは、留置権の消滅を請求することができる。

1 留置権者は、占有している他人の物について善良な管理者の注意義務を負い、下記2の場合を除き使用できない。

2 使用できる場合

① 物の保存に必要な場合 298条2項ただし書き

② 所有者の承諾がある場合 298条2項本文の反対解釈

 

 不動産の賃貸借契約において、賃借人が費用償還請求権を被担保債権として目的不動産を留置する場合、目的不動産の使用は許されるか?

 判例は、保存に必要な使用(上記①)として許されるとする。

〇 民法299条(留置権者による費用の償還請求)

1項 留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。

2項 留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還をさせることができる。

 ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

〇 民法300条(留置権の行使と債権の消滅時効)

 留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。

〇 民法301条(担保の供与による留置権の消滅

 債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。

〇 民法302条(占有の喪失による留置権の消滅

 留置権は、留置権者が留置権物の占有を失うことによつて、消滅する。

 ただし、第298条第2項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。

【参考・参照文献】

以下の文献を参考・参照して、このページを作成しました。

① 鎌田薫・松岡久和・松尾弘編、新基本法コンメンタール物権(令和元年、日本評論社)

② 平野裕之・コア・テキスト民法Ⅱ物権法(第2版)(2018年、新世社)頁

③ 石田穣 担保物権法(2010年、信山社)13頁

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