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○ 労働契約法18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
1項 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2項 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。
1 趣旨
平成24年8月に改正された労働契約法により新設された。5年を超えて有期労働契約が反復更新された場合、労働者の申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みである。使用者による有期労働契約の濫用的利用を抑制し、労働者を保護する趣旨である。
2 要件
(あ)同一の使用者との間の二以上の有期労働契約
(い)通算契約期間が5年を超えること
(う)現に締結している有期労働契約の契約期間が満了するまでに、無期転換権を行使する(無期労働契約の申込みをする)こと
(う)について、5年を超えた最初の有期労働契約の期間内に権利行使しなかった場合、その後、有期労働契約が更新がされた場合には、その有期労働契約の期間内に権利行使できる。
3 効果
(1)労働者の申込みに対し「使用者の承諾があったものとみなす(=承諾の擬制)」とは、その時に、有期労働契約の契約期間満了日の翌日を就労開始日とする無期(期間の定めのない)労働契約が成立する。
(2)労働条件
① 転換後の無期(期間の定めのない)労働契約の労働条件について別段の定めがある場合は、それによる(契約期間を除く。)。
② ①以外の場合、転換前の有期労働契約の労働条件による(契約期間を除く。)
4 空白期間(クーリング期間)
2項は、「一の有期労働契約の期間」と「次の有期労働契約の期間」との間に一定の空白期間を置けば、契約期間が通算されない制度を設けた、これにより、有期労働契約の無期労働契約への転換制度により、有期労働契約が利用しづらくなることを防止する趣旨である。空白期間は次のとおりである。
① 空白期間は6か月以上である。
② 一の有期労働契約の契約期間が1年に満たない場合
当該契約期間に2分の1を乗じて得た数に1月未満の端数がない場合はその月数(8か月の場合は、8か月×1/2=4か月)、1月未満の端数がある場合は、その端数を切り上げた月数(7か月の場合は、7か月×1/2=3.5か月<4か月よの、4か月)
5 無期転換後の労働条件と就業規則
6 無期転換申込権の放棄
① 申込権発生前
② 申込権発生後
1 事案
日本郵便株式会社で郵便関連業務に従事する者について、「・・・満65歳に達した日以後における最初の雇用契約期間の満了の日が到来したときは、それ以降、雇用契約を更新しない」(本件上限条項)の合理性及び同条項に基づく雇止めの適法性が争点
2 判旨(関連部分)
本件上限条項は、期間雇用社員が屋外業務等に従事しており、高齢の期間雇用社員について契約更新を重ねた場合に事故等が懸念されること等を考慮して定められたものである。
高齢の期間雇用社員について、屋外業務等に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に、その雇用管理の方法を定めることが不合理ということはできない。
一定の年齢に達した場合には契約を更新しない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことには相応の合理性がある。
本件上限条項は、期間雇用者社員について、労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものである。
結論として、本件雇止めを適法と認めた。
☆ 下記文献を参考、参照して書きました。
有斐閣別冊ジュリスト令和元年度重要判例解説p216(川田知子)
【参考・参照文献】
以下の文献を参考・参照して作成しました。
① 西谷敏・野田進・和田肇編「新基本法コンメンタール労働基準法・労働契約法」417頁
② 菅野和夫・労働法(第11版補正版)(2017年、弘文堂)311頁
③ 土田道夫・労働法概説(第4版)(2019年、弘文堂)
316頁
④ 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編・働き方改革実現のための企業法務の重要ポイント~労働時間管理・ハラスメント・同一労働同一賃金~(2020年、ぎょうせい)2頁