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破産事件の種類:同時廃止事件と管財事件

破産免責手続の意義

免責手続は、裁判所の手続です。債務を支払うことができない状態の法人・個人について支払不能であることを認め(これが「破産」といいます)、破産者が換価可能な財産をもっている場合、裁判所から選任された破産管財人が換価し債権者に対し法令により定められた優先順位に従い配当し、更に、破産者が個人の場合は、原則として、債務の支払い義務を免除し、その経済的再生を図る制度です。

 破産免責手続をとった場合のメリットとデメリット又は留意点は次のとおりです。以下、個人を想定します。

【メリット】

   免責が認められれば、債務を支払う必要がなくなり、生活を再建できる。

【デメリット又は留意点】

① 経済的信用を喪失するため、一定期間信用情報にのり、お金を借りたり、クレジット契約ができなくなる。

② 資格・職業によっては破産者が就くことができない場合がある(免責による復権があれば別)。

③ ②のような場合でなくても、破産したことは官報に公告され、最近ではインターネットでも官報を見ることができるので、勤務先に知られる可能性がある。

④ 個人事業主の場合、破産をすれば商売を継続することができなくなる(原告)ので、破産後の生活の糧がなくなる。高齢者で再就職が難しい場合は、破産後の生活について、生活保護の受給申請を検討すべきです。当事務所を利用された方の中には、現に、破産後、生活保護を受給された方もいらっしゃいます。

⑤ 自分は破産するのに支障はないが、自分が破産すると迷惑が掛かる人(連帯保証人等)がいるので、破産したくてもできない。この場合、破産以外の手段、債務整理により分割払いを検討すべきです。

同時廃止と管財事件

【1】同時廃止事件と破産管財事件の特徴

破産手続は「同時廃止事件」と「破産管財事件」区分されます。

(1)破産管財事件の特徴

裁判所が破産管財人を選任して破産手続を進める場合です。

選任される場合は、下記①ないし③のとおりです。

① 破産者に換価すべき財産があり、債権者に配当を実施する必要がある場合

 これが典型的な場合です。

② 破産に至った経緯に不明朗なところが疑われる場合で破産管財人による調査が必要な場合

 例えば、財産隠匿行為がある、一部の債権者に対してだけ破産直前に弁済した等の場合

③ 個人事業主の場合(原則)

④ 破産者に免責不許可事由があり裁量免責の枠に収まるか明らかではなく破産管財人による調査が必要な場合それに関連して破産者に対する将来に向けての指導監督を破産管財人に行わせる場合です。

(2)同時廃止事件の特徴

破産者に換価すべき財産がなく、したがって、裁判所が破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止する場合です。

 但し、個人に換価すべき財産がなくても、個人事業主の法人成りの場合のように、個人が法人の代表者を務め、その法人が債務超過、支払不能の状態(例えば、個人が借り入れたお金を同人が代表者を務める会社に貸し付けたが、同会社が債務超過、支払不能にある場合)であれば、個人・法人双方の破産申立てが必要となり、双方が破産管財事件として取り扱われます。このような場合は、個人・法人双方の資産・負債の状態や個人・法人間のお金の流れを解明しなと、適切な処理が期待できず、債権者の利益に反するためです。

 

【2】同時廃止事件と破産管財事件との振分けの基準

 以下は、大阪地方裁判所における振分けの基準です。※

※ はい6民ですQ1(p2)Q13(p43)

 

☆ 同時廃止事件として取り扱われるための要件

Rule1 現金等と個別財産との区分け

 債務者が破産申立て時に所持している財産を次のとおり区分する。

(1)現金等

 現金及び普通預金がこれに当たります。

(2)個別財産

 現金及び普通預金以外の財産をいい、具体的には、次の①~⑫です。

① 預貯金(普通預金を除く)

② 保険の解約返戻金

③ 積立金等

④ 賃借保証金・敷金の返戻金

⑤ 貸付金・求償金等

⑥ 退職金

⑦ 不動産

⑧ 自動車

⑨ ⑧以外の動産 (例)貴金属、着物、電器製品等

⑩ ①~⑨以外の財産 (例)株式、会員権等

⑪ 近日中に取得することが見込まれる財産

⑫ 過払金

 

Rule2 現金等の金額

 50万円を超えないこと

 

Rule3 個別財産の金額

 個別財産①~⑫の項目毎に裁判所の評価基準により算定した金額を合算し、全ての項目において、20万円未満であること。

 

Rule4 同時廃止事件相当性

 Rule1・2・3によれば同時廃止事件として取り扱うことができる場合であって、次の場合には、同時廃止事件として取り扱う相当性が欠けるため、破産管財事件として取り扱われることがあります。

① 個人事業型 ② 資産等調査型 ③ 否認対象行為調査型 ④ 法人代表型(法人併存型) ⑤ 免責観察型

同時廃止事件と管財事件の振分け(補足1)

1 債務者が所持する現金等の合計額が99万円であれば、破産法34条3項の本来的自由財産であり、破産財団(破産法216条1項)に含まれない。

 しかし、申立て段階での債務者の資産調査には限界があるため、債務者が所持する現金等の合計額が50万円を超過する場合には、実際には、現金等が上記自由財産の限度額99万円を超過していたり、20万円以上の個別財産を所持している蓋然性がある。

 このような事情を考慮して、大阪地裁では、所持する現金等の合計額が50万円を超える債務者については同時廃止事件で処理をしないで、破産管財人により財産調査を行わせるため破産管財事件として処理されるのが原則である。

2 所持する現金等の金額が50万円以下、個別財産の項目毎の評価額が20万円未満であるが、これらの総額が99万円を超える場合

 同時廃止事件として処理される可能性があるが、裁判所の裁量で破産管財事件として処理される可能性も残されている。

3 直前現金化の問題

(例)所持する現金等が10万円、破産申立て費用を調達するため、破産申立て直前に、破産申立て費用を調達するために、保険契約を解約して、解約返戻金50万円を確保した(これら以外の資産はないものとする。)。

Rule3個別財産の金額が20円未満であることにより、同時廃止事件として処理することはできないとも思われるが、大阪地裁では、申立て時に現金等の形であれば現金等として取り扱い、処分前の個別財産があるものとみなす取扱いはしていない(原則として)。

 

同時廃止事件と管財事件の振分け(補足2)

Rule4同時廃止事件相当性について

① 個人事業型

 個人事業主は、事業と個人生活(プライベート)が明白に分離されていないことがあり、事業に属すべきお金が生活に流れていたり、個人生活に属すべくお金が事業に流れていたりすることもまま見受けられる。このため、破産管財人による財産の調査か必要である。

② 資産等調査型

 破産に至る経緯や資産の内容等に疑義があるため、破産管財人によるこれらの点についての調査が必要である。

③ 否認対象行為調査型

 財産減少行為や偏波行為の疑いがあり、破産管財人による否認権の行使についての調査が必要である。

④ 法人代表型(法人併存型)

 法人については、そもそも、裁判所(大阪地裁・東京地裁等)は同時廃止事件として処理することは認めていない。

   法人が、事実上倒産し、破産管財手続に必要な予納金すら調達できない状態であるとしても、かつて、事業を営み、財産を有していたのであるから、現在財産を有していないとしても、そこに至る過程を破産管財人により調査して、債権者の利益保護を図る必要があるためである。

 ①と同様に、代表者個人・法人双方について、破産管財人による財産調査が必要である。

⑤ 免責観察型

 同時廃止事件として申し立てられる(た)が、免責不許可事由が認められる場合、裁判所が、裁量免責の可否を決定するため、破産管財人を選任し、破産管財人が、免責不許可事由の内容についての調査、生活状況(家計収支等)についての調査をする場合である。

【参考・参照文献】

 下記文献を参考・参照して作成しました。

① 川畑正文ほか編・はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)(平成30年 大阪弁護士協同組合)

② 川畑正文ほか編・(第3版)破産管財手続の運用と書式(2020年、新日本法規)

③ 全国倒産処理弁護士ネットワーク編・破産実務Q&A220問(2019年、金融財政事情研究会)

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